小さなベイビー、大きな野望

近況報告

親愛なるハルベル夫妻へ

お久しぶりね。夏とはいえ、毎日が参るような暑さで参るわね。

概ね、いいこにしていました。
リーサは、みんなに構って貰い、元気一杯。
スペンサーは、器用なの。畑の修繕を手伝ってくれたわ。誉めてやってね。
まあ、中々ね、好き嫌いは、治らなくて、ヘレンに叱られていたけれど。

ツェリのお寝坊さんは、治らなかったわ。
頑張ってはいたのよ？でもまだ無理みたい。あまり叱らないでやって頂戴。

ヘレンが仕込みたくて、いろいろ、みんなにやらせていたから、誉めてやって。ヘレンは、あなたの指導に感銘を受けているからね。
ヘレンからも便りがいくと思うけれど、よろしくね。

またあの頃みたいに、お茶会を開きたいわ。

                                                                プラネット






「なに書いてるの！｣
「あらあら、リーサ、泥だらけね。どうしたの？」
「見て。リーサの作ったゴーレム。」
手のひらで歪な形をしたゴーレムがいる。
書いていた万年筆を止める。
後ろから追いかけてきたらしい夫が抱き上げる。
「一瞬…目を離した隙に、まさか、こんな泥だらけに…。」
普段表情を変えない夫は、眉が困ったように、への字。
「ベイビー？いた。あらあらもう。そんな泥だらけで…おいで。父さん、お風呂お願い。」
「一緒にはいるう。」
元気すぎるリーサは連れていかれた。

きっちりと封を締めて、蝋を垂らして、封蝋する。
さて、リーサが汚してしまった廊下を掃除しなきゃね。


リーサは取っ捕まり、ヘレンからの何度めかの説教を憮然と受けていた。