小さなベイビー、大きな野望

春子

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オスカーは、学ばない。

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オスカー・オブリウェンは、見たら逃げろ、女子供を隠せと言われるぐらいに、手癖が悪い。
美女のツェリは、あれは、もう治らない不治の病だといい、常識人のマルクスは妹や姪に近寄るなと、再三の忠告を言い渡してるし、かのフランツは、視線で凍らせそうな程の態度を貫いてる。
リーサがあの日から、騙されて、誘拐未遂事件に遭ってから、オスカーを見たら、逃げろと口酸っぱく言われてきた。
リーサがオスカーを気にせずとも、オスカーは、リーサの運の良さを買っている。
賭け事に持って来いの逸材だ。
だが、これは、リーサは悪くないと、フィルに言いたい。


「ねーね。親びん。リーサの足元に模様が広がったの!」
「一瞬だったよね!チカッてしたよ!」
「ビックリして、虫取あみ、離しちゃった!」
「壊れてないかな?」
甘えん坊四人が、今起きたことを次々に話す。
回りが、なんとも言い難い雰囲気でも、構わない。
「親びん、聞いてる?リーサたち、虫取してたのにさ!!」
「…おい。誰があのバカを捕まえてこい。」
「はっ。」
「あー。リーサ、見て、親びんのタバコだよ!何か知ってるよ!えーとね!葉巻って言うんでしょ!アウトロー!!」
親びんこと、色町四天王が一人、ライオネルは、現状把握に、努めているが、思考を放棄したい。
ライオネルに、親びんなどと言えるような子供はこの四人のみ。
まず、ライオネルは近寄りがたい雰囲気で、一発で堅気でないし、恰幅の良さと、一睨みすれば、どんな奴でも、恐怖に陥る。
四人には、通じないのは、謎。
「親びん、見て。ぼくが取ったの!大きな虫さん。」
朗らかに、取った虫を見せるフラン。
ノアがだっこしてとせがみ、遠慮なく、膝に登ろうとしても、リーサがアルミンとわあと辺りを彷徨いても、動じるようなタマではないが、頭が痛い。
「…マルクスたちを黙らしてこい。」
「おじちゃん、呼ぶの?」
「静かにしてろ。」
「なんで、アルミンたち、ここにいるの?」
「親びんが呼んだの?」
「虫が欲しいの?」
呼んでいない。虫など、欲しくない。
舎弟たちが、四人の手綱を握ろうと必死だが、無理である。



「…やられたわ。この魔方陣、オスカーのだわ。」
ツェリに報告がきた。
フラン付きのメイドもノアのメイドもパニックになりながらも、行方を探すために、必死。
オスカーと呟いたが、最後。フランの乳母でもあるアンネの凄まじい程の顔つきの変化。
「ややこしいことをしてくれたわ。転移の魔方陣ね。あのバカ。四人を何処に飛ばしたのかしら?」
ツェリは、魔力の流れを探す。
(フィルに知られたら…ああもう。責任は取ってほしいわ!)
ツェリはプリプリしながらも、行方を探す。

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