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監視役
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リーサは、キャサリン・マガーの性格を聞いていたため、勝手に、フランツの悪口を書かないように、見張らないといけない。
合同訓練が行われる場所は、国の中枢にある機関が管理している訓練場。
回りは、何重にも、警備魔法も結界も施され、外からの観覧が出来ないように、シールドされている。
記者たちも、一応は、中に入れるが、入れるのは、決まった部分まで。撮影も同じく。
が、今回、キャサリン・マガーのフェイクだけは、単独取材が許可されている。
意気揚々と、取材に取り組むキャサリン。
しかしながら、リーサは保険を掛けていた。調子に乗るようなら、容赦はしない。
あらかじめ、キャサリンに、紙面に書く内容を、見せるように提示していた。
キャサリンから上がってくる内容に目を通す。
子供だからと侮られてる。
何故ならば、キャサリンがリーサに、文字は読めるのですか?と無粋にも聞かれた。文字は読めるし、書ける。そりゃあ、古代文字などの専門は読めないし、大人特有の言い回しも読みにくいが、なめるな!!
往復ビンタでも食らわしてやろうか、検討したが、側にいたジオルクがリーサに代わりに怒ってくれたので、怒りを納める。
我ながら偉いと思う。
キャサリンが使用する予定の写真も数枚、同封されていたが、固まる。
それを遠慮なく、机に叩きつける。
「どうした?」
マッキーは目を丸くする。
「こんなじゃあ、フランツおじちゃんの魅力が一つも伝わらない!!!」
ガアアと叫ぶ従姉妹に、叩きつけられた写真を見やる。
なにかを指示するフランツの姿や部下の訓練を見ているフランツの姿等が、写っており、普通な写真だ。
「何年、記者をやってるのか!!!これじゃあ、リーサが撮っても一緒!!」
「…。」
「しかも見て、これ!!フランツおじちゃんのお顔がちょっとぶれてる!!!」
ガルガルするリーサを宥める。
「内容だって、キングブレストの苛烈な土地で流石、鍛えている屈強な軍隊だ。私が囚人なら、決して行きたくない場所である…?その前にきちんと、フランツおじちゃんのかっこよさと素晴らしさを書け!!!写真も素敵な写真を撮るべき!却下!!!」
でなければ、キングブレストに閉じ込めてやると息巻くリーサにどうどうと宥めにかかる。
「フランツ筆頭に、まるで蟻のように、列をならし、命令を聞く姿は、あまりにも異様である。しかしながら、それも致し方ないこと。」
文面でチラホラ書かれるキャサリン・マガーの遠回しな悪意ある文章。
ブチブチ。
「中に入れたからと、何でも好きに書いていいと勘違いしてるな。見てろよ!」
リーサは、立ち上がる。
キャサリンに与えられた部屋で、自由気ままに、執筆している。
グフフフ。
他の記者たちとは違い、行動範囲が広い。これは有利なことであり、キャサリンにとって、正に、幸運。
唸るペンから、綴られる文字たちはいつもよりも、興奮で、汚いかも知れない。けれど、後で清書するのだから、問題ない。
交換条件として、あの子に、内容を送ることを、決められたけど、まあ小さいし、内容なんて、わかりはしないだろう。極一部の内容を渡して、納得させりゃあ、良いのだ。
コンコン…
「はい?」
「失礼します。キャサリン様。ご連絡が入りまして。」
アイリスが持ってきたのは、小型の連絡装置。
ドーム型をしており、通話相手が、浮かんでくるシステムだ。
「誰から?」
訝しげる。部下なら滅多な事で連絡など入れてこないだろう。
しかも罷りに間違っても、ここは、魔法省の管轄。
警備体制は万全。
とりあえず、取ってみる。
すると、浮かんできたのは、リーサだ。
開口一番、放ったのは、
「ふざけてんのかああ!!!!!」
キーン…!!
「この写真は何!!!この角度から見たフランツおじちゃんの姿をもう一回見てみろ!!魅力半減してるじゃん!しかもこっちは顔がぶれてるし!!!ほんとにプロ!?リーサが撮った方がまだいいよ!内容もあり得ない!フランツおじちゃんを貶すために書いてるなら、今すぐに、お前をキングブレストの雪兎の餌にしてやるぞ!!!」
一気に捲し立てる。
「指揮官トップなんだから偉そうに決まってるじゃん!偉そうじゃない!偉いんだあ!ボケ!!!」
リーサは文句をつらつらと述べる。
「フランツおじちゃんが部下を床に沈めた?嘘つくな!」
それは本当である。あまりにも問題児なハッチに対する制裁だ。
賢明に口に出さないアイリスは、佇んでる。
「今度、フランツおじちゃんの魅力をきちんと書かなかったり、お粗末な内容を書くなら、リーサがお前を床に埋めるからな!!」
ブチッと通信が切れた。
なんだったの…?今のは…?
言いたいことを捲し立てて…あのガキ…!
ん?ちょっと待ってよ?確かに写真はあの子に渡したわ。でも内容は無難な内容を渡した筈なのに…何故?フランツが部下を床に沈めた内容の一文を知っている…?
すると、アイリスはにっこり微笑む。
「゙きちんと書くことは、書いてくださいませ"」
微笑みが、冷たい。
合同訓練が行われる場所は、国の中枢にある機関が管理している訓練場。
回りは、何重にも、警備魔法も結界も施され、外からの観覧が出来ないように、シールドされている。
記者たちも、一応は、中に入れるが、入れるのは、決まった部分まで。撮影も同じく。
が、今回、キャサリン・マガーのフェイクだけは、単独取材が許可されている。
意気揚々と、取材に取り組むキャサリン。
しかしながら、リーサは保険を掛けていた。調子に乗るようなら、容赦はしない。
あらかじめ、キャサリンに、紙面に書く内容を、見せるように提示していた。
キャサリンから上がってくる内容に目を通す。
子供だからと侮られてる。
何故ならば、キャサリンがリーサに、文字は読めるのですか?と無粋にも聞かれた。文字は読めるし、書ける。そりゃあ、古代文字などの専門は読めないし、大人特有の言い回しも読みにくいが、なめるな!!
往復ビンタでも食らわしてやろうか、検討したが、側にいたジオルクがリーサに代わりに怒ってくれたので、怒りを納める。
我ながら偉いと思う。
キャサリンが使用する予定の写真も数枚、同封されていたが、固まる。
それを遠慮なく、机に叩きつける。
「どうした?」
マッキーは目を丸くする。
「こんなじゃあ、フランツおじちゃんの魅力が一つも伝わらない!!!」
ガアアと叫ぶ従姉妹に、叩きつけられた写真を見やる。
なにかを指示するフランツの姿や部下の訓練を見ているフランツの姿等が、写っており、普通な写真だ。
「何年、記者をやってるのか!!!これじゃあ、リーサが撮っても一緒!!」
「…。」
「しかも見て、これ!!フランツおじちゃんのお顔がちょっとぶれてる!!!」
ガルガルするリーサを宥める。
「内容だって、キングブレストの苛烈な土地で流石、鍛えている屈強な軍隊だ。私が囚人なら、決して行きたくない場所である…?その前にきちんと、フランツおじちゃんのかっこよさと素晴らしさを書け!!!写真も素敵な写真を撮るべき!却下!!!」
でなければ、キングブレストに閉じ込めてやると息巻くリーサにどうどうと宥めにかかる。
「フランツ筆頭に、まるで蟻のように、列をならし、命令を聞く姿は、あまりにも異様である。しかしながら、それも致し方ないこと。」
文面でチラホラ書かれるキャサリン・マガーの遠回しな悪意ある文章。
ブチブチ。
「中に入れたからと、何でも好きに書いていいと勘違いしてるな。見てろよ!」
リーサは、立ち上がる。
キャサリンに与えられた部屋で、自由気ままに、執筆している。
グフフフ。
他の記者たちとは違い、行動範囲が広い。これは有利なことであり、キャサリンにとって、正に、幸運。
唸るペンから、綴られる文字たちはいつもよりも、興奮で、汚いかも知れない。けれど、後で清書するのだから、問題ない。
交換条件として、あの子に、内容を送ることを、決められたけど、まあ小さいし、内容なんて、わかりはしないだろう。極一部の内容を渡して、納得させりゃあ、良いのだ。
コンコン…
「はい?」
「失礼します。キャサリン様。ご連絡が入りまして。」
アイリスが持ってきたのは、小型の連絡装置。
ドーム型をしており、通話相手が、浮かんでくるシステムだ。
「誰から?」
訝しげる。部下なら滅多な事で連絡など入れてこないだろう。
しかも罷りに間違っても、ここは、魔法省の管轄。
警備体制は万全。
とりあえず、取ってみる。
すると、浮かんできたのは、リーサだ。
開口一番、放ったのは、
「ふざけてんのかああ!!!!!」
キーン…!!
「この写真は何!!!この角度から見たフランツおじちゃんの姿をもう一回見てみろ!!魅力半減してるじゃん!しかもこっちは顔がぶれてるし!!!ほんとにプロ!?リーサが撮った方がまだいいよ!内容もあり得ない!フランツおじちゃんを貶すために書いてるなら、今すぐに、お前をキングブレストの雪兎の餌にしてやるぞ!!!」
一気に捲し立てる。
「指揮官トップなんだから偉そうに決まってるじゃん!偉そうじゃない!偉いんだあ!ボケ!!!」
リーサは文句をつらつらと述べる。
「フランツおじちゃんが部下を床に沈めた?嘘つくな!」
それは本当である。あまりにも問題児なハッチに対する制裁だ。
賢明に口に出さないアイリスは、佇んでる。
「今度、フランツおじちゃんの魅力をきちんと書かなかったり、お粗末な内容を書くなら、リーサがお前を床に埋めるからな!!」
ブチッと通信が切れた。
なんだったの…?今のは…?
言いたいことを捲し立てて…あのガキ…!
ん?ちょっと待ってよ?確かに写真はあの子に渡したわ。でも内容は無難な内容を渡した筈なのに…何故?フランツが部下を床に沈めた内容の一文を知っている…?
すると、アイリスはにっこり微笑む。
「゙きちんと書くことは、書いてくださいませ"」
微笑みが、冷たい。
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