小さなベイビー、大きな野望

極秘ミッション

双子は、リーサが、キャサリン・マガーに近づくことを好ましく、思わなかった。
しかもこんなことを父にバレたら、父はどんな手を使っても、リーサからキャサリンを離すだろう。
父はキャサリン・マガーの品のない内容に、辟易としてるし、近寄ることを嫌がる。
ツェリの耳に入ってみろ。
父より、過敏に、あの女を嫌がる。
リーサに近づいたことを知れば、どんなことが起きるか。ブルッと震えてしまう。
「んーと。ノートと鉛筆とー。」
キャサリン・マガーに会うために、用意してるリーサ。
「やめようぜ。リーサ。あいつに近づいてもろくなことにはならないんだからさ。」
「そうだぜ。フランツおじさまなら、プライベートで撮ってもらおう。な？」
リーサは違うもん。勇姿を撮すんだと、駄々を捏ねる。
「キャサリンがフランツおじ様のことを侮辱するような内容を書いたら、どうするんだよ？」
「そんなこと、書いたら、キャサリン・マガーの執務室に、ダンゴムシを放つ。」
「地味に嫌だな。それ。」
「フランが、動きが早いダンゴムシを見つけたって聞いたから、それを、ぽいって。あとキャサリン・マガーの恥ずかしい過去をバラシちゃう。」
「…。」
「マッキー。オルドー。これはね！極秘ミッションなの！誰にも知られないように、記事を書いて、御披露目するんだから！」
「他の方法がいくらでもあるだろ？」
「合同訓練なんて、秘密裏なのに。」
「フランツおじちゃんの素晴らしさを見せつけてやる。見てろよ！古狸。」
小癪な古狸など、高潔なフランツに比べたら、どこまでも小さい。


重ねて言うが、リーサは、内緒に向いてない。
キャサリン・マガーにとって、最悪な事態に陥ることになるが、それも仕方ない。
なぜならば、同類が現れた。
甘えん坊集団である。
「ねえ！リーサ。何してるの？混ぜて。」
無邪気な誘いに、断らない。
「いいよ！」
キャッキャッ。
「どうすんだ。これ。」
「…。」
遠い目をする双子が哀れ。