小さなベイビー、大きな野望

春子

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残業

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この世には嫌いな言葉は多々あるものだ。
中でも、マルクスやサラトガの仕事による残業と言う言葉が大嫌いである。
この日も、サラトガが、仕事で、残業だと言うことをクロッグで伝える。
「残業って嫌いな言葉だわ。」
「わかってる。ツェリ。なるべく、早めに帰るから。リーサにも伝えて。」
「…わかったわ。ご飯は残しておくから。」
「ありがとう。」
ツェリの表情で今日は、サラトガが残業だとわかる。
「まま。パパはなんて?」
「残業ですって。」
リーサは、人に見せられないような顔をする。
リーサは、残業も大嫌いだし、休日出勤も大嫌い。
働く労働者全員が嫌いと思われる、確実なこの二つ。
リーサは、漏れなく、大嫌いである。何度も声に出す。
「ティムにお願いして、パパを帰してって言おう!」
ティムは、サラトガの同僚だ。
ちなみにサラトガの職業は、古代文字の解明やあらゆる文字の解明と分解が主な仕事。
学者と言うのが、多分、近い。
「サラトガの仕事は熱中しやすい人ばかりだから、心配なのよね。」
「まま、ティムに連絡して!」
「気持ちは充分わかるけど、落ち着きなさいな。フィルが黙ってないわ。」
フィルは再三、マルクスやサラトガの仕事を邪魔しないように注意してる。
時に、マルクスの部下のデヴァイスへの攻撃をやめるように言ってるが、やめる兆候がない二人。
サラトガの同僚にあたるティムには、攻撃しない。一重に人柄によるものだ。
リーサの顔が大変だが、ぐっと堪える時だとツェリは愛娘に伝える。

「ふう。」
グロッグで残業を伝えたサラトガは、仕事を再開。
目の前には、古代文字の一つエール文字がびっしり。それを一つずつ、翻訳作業。
サラトガの仕事部屋は、四方八方に本棚があり、本がずらりと、並べて、保管されてる。
同僚のティムが声をかけてきた。
ティムは分厚いメガネを掛けた典型的な文学オタクで、身の回りに何も気にしないので、髪の毛も、仕事の後半では、乱れてる。が、奥さん持ちで、甲斐甲斐しく、世話されている。
「ツェリ嬢とリーサ嬢の機嫌は頗る悪いですかな?」
「ちょっと拗ねただけ。二人とも素直だから。」
「はは!!」
「さて、頑張りますか。」
「そうですな!お泊まりは回避せねば!」
集中する二人。魔力が伝わってるのか、流れるようにペンが紙の上を滑っていく。
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