小さなベイビー、大きな野望

ギルド見学 ~報告会~

昼寝から起きてきたリーサは、夕食時に、ベラベラ話す。
｢それでね！ロザリーがね！こう持って、ぶんって、腕を振り回してね！男の人がね！出口まで、飛んでいったの!!女の人も飛んでね！ブンブン。｣
｢冒険者をぶっ飛ばすって、良いのか？｣
｢C級の冒険者達だろ？」
｢一定を越えた行為をした冒険者に対して、自己防衛の為に、事務員が、手を出しても良いってこともあるけど、大抵は、事務員は、その非戦闘員だから、なかなか。｣
サラトガの説明に頷く双子。
｢あら、ロザリーに負けるなんて、大した冒険者ではないわ。大体、女の子の襟を掴むなんて、何様かしら？」
｢冒険者は荒くれ者が多いと聞くけれど、ちょっと無いわ。｣
｢ロザリーは手加減をしたのね。あの子、優しすぎるきらいがあるじゃない？私なら、再起不能にするわ。二度と、逆らわないようにね。｣
男女関係なく、逆らう相手に容赦しないツェリ。
｢コーザもいたの！ラブラブだったよ！で、ギルドマスターが、声をかけたらね！ロザリーが、背中をバンッて叩いたの！そしたら、痛い！って。元S級の冒険者なのに！きっと、ロザリーのが強いんだよ！｣
｢それは違うよ。｣
ギルドマスターの実力は折り紙つき。
しかしながら、リーサの目には、目の前で起きた事が、衝撃だったのだろう。
｢お肉も食べたの！｣
｢ベイビー。お野菜は食べたの？」
｢食べたよ！｣
カボチャと玉ねぎを少々。
ギルド見学名物、焼き肉パーティーは、年々、お楽しみ企画で、大人気。スペンサーも双子もあれが一番、嬉しかったと、感想を述べている。



ロッシュヴォーク家でもアルミンによる報告会が始まっており、リーサとは違う内容を話してる。
｢ロザリーがね！倒した人たちは、お医者さんたちが、連れていってね！でもお肉屋さんのみんなが、囲んでたよ！｣
アルミンの言うお肉屋さんは、解体部門で働く、コーザ達だ。
｢ロザリーは、気に入られてるから、気にくわなかったんだろう。…バカな冒険者。｣
ロザリーは、度々、事務員たちに、横柄な態度を取る一部の冒険者たちを何度も窘め、時には、手を出し、解決してきた。
ギルドマスターからの信頼も厚いと聞く。
しかもあそこの解体部門は、ロザリーをボスと決めており、年齢関係なく、ロザリーに従ってる。
冒険者に負けず劣らずの解体部門のボスに対して、そのような真似は、命取りだ。
しかも、ロザリーは、ミレアム三姉妹の長女。
母であるアンジェリカの耳に入るだろう。
｢地獄の特訓が待ってるだろうな。｣
｢なーに？聞こえないよ！｣
アルミンは、首を傾げる。


｢なんだい？あんたたち。ロザリーから聞いていたけど、足腰がなっちゃいないね！もっと、足腰を鍛えな！立派な冒険者になりたいんだろ！｣
アンジェリカは、問題を起こした一連の冒険者一行をミレアムの敷地内に連れてきた。
｢ロザリーのド突き程度でのびたと聞いたよ！仮にもC級の冒険者が情けない！待ち構える気概を見せないで、どうすんだい!!!｣
アンジェリカは、指導員の顔つきだ。たまに、ギルドで問題を起こした冒険者たちの根性を直すために、ミレアム家に連れていき、アンジェリカによる指導を行うプログラムがある。
筋肉隆々の屈強な男も、身だしなみだけを綺麗に整えた女も高飛車に物を言う女も、自尊心強めの魔法使いも、ここでは、等しく、アンジェリカからのダメ出しを食らう。
まず、ぶうたれで文句を放っていたリーダーがアンジェリカに対して、ばばあとほざき、果敢にも挑んだ。が、アンジェリカは一捻り。
｢力任せの単純な技だね！アクビ が出ちまうよ!!｣
恐れ戦いた魔法使いが魔法を使うが、上回る術で防御。
｢ドミニクがあたしに任せた事がわかったよ！いいかい。あんたら、ここに来たからには、生半可な事は許さないよ！覚悟しな！｣
アンジェリカの潔い発言に、黙る一行。
数ヵ月に渡るアンジェリカの愛ある指導が行われた。