小さなベイビー、大きな野望

春子

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お使いがしてみたい!!(2)

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リーサが友達から借りてきたログをホクホク顔で、見せようと、持ち帰ってきた。
「これだよ!一緒に見よう!」
ニコニコ。差し出されたログを受け取り、困惑。ツェリが双子を呼んだ。
リーサ自体も初めて見るのだ。
楽しみである。
ログを巻き戻し、みんなで観賞。
双子が座りながら、疑問を感じている。



マルクスは帰宅して、直ぐ様、驚いた。
リーサが泣きながら、飛び付いてきた。
「どうしたの?ベイビー。」
何があったのか。マルクスは、泣きじゃくるリーサを抱き上げる。双子から困惑しながら、やって来た。
「おかえりなさい。」
「ただいま。マッキー、オルドー…?どうしたの?」
「いや…それが…。」
「母さんがちょっと衝撃で倒れて…。」
「え?」
目を丸くする。取り敢えず、リビングに向かう。


事のあらましは、こうだ。
ログを見て、番組自体は明るく、陽気に始まった。
しかし、本編に移ると、驚愕。
冒頭に、リーサより幼い子が一人で買い物へ行くと言う。母親は、買い物の品を二、三個、頼み、子供にお金を持たせる。
もちろん、番組の趣旨として、がっちり、子供に気づかれないように、回りの大人が、見張っているが。
重たい牛乳や肉を買っていた。
それだけではない。ある子は、やはり、嫌だと駄々を捏ねたが、母親に突っぱねられた。
いやいやまてと。その子は幾つだと!母親に説教したい。
しかも、自分が幼いのに関わらず、弟妹を連れてのお買い物。案の定、駄々を捏ねる弟妹に何度もあやして、連れていく様は、心を痛めた。
大人とて、小さな子を連れての買い物は大変である。わかってるはずだ。
最後のドドメは、近所の買い物ではなく、乗り合い馬車や渡舟を使用しての長い買い物。
待ってと叫びたい。
双子は真っ青だったし、母であるフィルは、ソファーにグッタリ。
「リーサ、まま、幾らなんでも、許可出来ないわ…。」
ツェリは、呆然。
リーサは、回りの反応が思っていた事態と違い、キョロキョロ。
フィルのグッタリした姿に慌てて、近寄る。
「おばちゃん。」
「…ベイビー。わたしの意識がある内は絶対、やらせないわ。」
「おばちゃん…。」
弱々しくいるフィルに、傷つけるつもりはなかったリーサは泣きはじめた。


現在に至る。
「フィルは寝かせてるわ。あとで、胃に優しいものを持っていくわ。で、夕食が作れないから、頼んだのよ。お兄様のは、勝手に頼んでしまったの。ごめんなさい。」
「それは構わないよ。フィルを見てくるね。」
フィルの部屋へ行く。
ベッドに寝てる横にそっと近づく。
「…フィル。」
「ごめんなさい…。ちょっと衝撃が強すぎて…夕食が作れなかったわ。」
「それは構わないよ。ゆっくりしていて。あとで食べれそうなものを持ってくるから。」
うなずくフィル。


その問題である番組を夕飯を食べてから、見た。想像に難くないが、フィルではないが、グッタリしたい気分も頷ける。絶対やらせない。
「その子のお母様、外国育ちみたいで、お父様もそうみたいだから。取り敢えず、我が国では、子だけの買い物には、満十四才以上の子を同伴がいると教えるわ。」
きっと知らなかったのだ。手遅れになる前に教えねば。
「ベイビー。おいでと。」
こんこんと説明する。



この騒動は、回りに余波を与え、保護者による指導が各家で、行われた。
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