小さなベイビー、大きな野望

春子

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ツェツリーエのお出迎え

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魔法省に度々、呼び出しを食らうサラトガは、持ち前の気の良さと、スルースキルで、役人たちを交わす。
リーサへの魔法省の連行には、首を振り、拒否。マルクスも何故に、姪が行かねばならないのだと、断然拒否させ、不快感を表してる。
「マダムからの通達があったのですね。では、近々、彼らは引くと理解しました。」
「サラトガ。あまり、舐めた真似をするなよ。」
「肝に命じます。」
にっこり。
あくまでも敵ではないのだ。対立する必要はない。馴れ合うこともまたないが。

魔法省を出ると、ツェツリーエが待っていた。
魔法省の関係者は、ツェツリーエの姿に、慌てるが、当人は、気にしてない。
「お帰りなさい。サラトガ。」
「ただいま。誰かに声をかけられなかった?」
「そうね。そう言えば、門番が何かと言ってきたわ。煩いから、口を塞いだわ。あ。今は、解いたわよ?」
「んー。」
門番は、問題児であるツェツリーエの姿に、いよいよ、魔法省を潰しに来たかと危惧していたのではないか。
ツェリは、特段、気に入らない人間への攻撃を緩めないから、警戒するのは、わかるけれど。
「やっぱり、ここは空気が悪いわ。帰りましょう?フィルが少しなら、お茶して来てもいいって。」
「じゃあ、ロザリアに行こうか。」
古き良き、喫茶店である。
店内に流れる曲は、穏やかで、シックな曲が流れている。拘りのコーヒーは絶品。


店主の拘りの家具。重厚な椅子にテーブル。
店内に流れるサウンドは、会話に邪魔にならない程度の耳障りがよい。
二人はブレンドコーヒーを頼んだ。
「じゃあ、撤退するのね?良かった。あまり気分が良くないだもの。」
「まあ、今回は、被害も少ないし、色町で起きたことで、マダムたちが、尽力してくれたお陰だけれど。ずっと、家の中じゃ、リーサも可哀想だからね。」
「家のテリトリーには一切、入ってこないけれど、出たら、お構い無く、監視よ?暇なのかしら?」
確かに保有するガルガンズは脅威的だが、あくまでも、リーサはまだ幼い子である。よってたかって、リーサを危険扱いし、何かあれば、犯人のように、捕まえようとする態度。腸が煮える。
「大反対していたからね。でもリーサ以外、適合者がいなかっただけなんだけど、人は過ぎる力を恐れるから。」
「ロッシュヴォークが認めたのを魔法省がとやかく、言うこと自体、おかしいのよ。あいつらは、自分たちに従順でない、力の持ち主が怖いのよ。まるで、今回のチキンヤローと同じね?」
「ツェリ。誰から聞いたの?」
「自然に耳に入るものだわ。」
芳醇なコーヒーを飲む。
「トラウマに漬け込んで、集団でしか、物事を決められない、行動出来ない連中は、いつかは、破滅するものよ。今、安全地帯から、眺めてる連中なんて、総じて、そんなものよ。」
今回の黒幕は、あまり頭が良くなかったのが、結果的に良かった。
数がいれば、押し通せると、勘違いしたのなら、想定が崩れただろう。
「足元を掬われないように、精進すべきね。」
なにも、悪だけが彼らを狙ってるわけではないのだ。今回は失敗したが、次回はわからない。
「辛辣だね。」
「だって、私、あの連中、嫌いだわ。」
好き嫌いが激しいツェリにサラトガは、音を立てて笑った。
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