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四天王
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シマの中心にあるビルの一角では、重々しい厳重な警備体制が施されていた。
中々、集まらない四天王が雁首、揃って、集結しているからだ。
四天王のが一人、゙マダム・ジーナ"。
ふくよかな体型で、トレードマークの赤紫の帽子にドレスを身に纏い、大きな宝石をつけた指輪がキラリと光る。
背後に側近二人が立っており、右腕のガランとヨハンが佇む。
マダム・ジーナの前に座るのが、゙ボス・ウォーレン"
四天王の中では、最年少。
鋭い目付きで、甘さがないシャープな顔立ちをしており、落ち着いた色のスーツを着ている。
背後に側近二人が、佇み、回りを警戒。
その左の席に葉巻を吸いながら、椅子に深くもたれ掛かる男は、四天王の中では、最高齢の゙親分・ライオネル"
側近たちも屈強な男たちが、控えている。
ライオネルの前に座り込んでるのが、女性ながらももみ上げを刈り上げている女性で、左の目元から口元まで、魔方陣のような紋様が描かれている。彼女ば女帝・クラウディア"
側近に、同じように女性がおり、目を瞑ってる。
「あたしの可愛い娘が殺られたんだ。どこぞの馬鹿かわからないけど、あたしが始末するよ。」
「待て。マダム。俺のとこの奴も殺られたんだ。落とし前をつけさせる。」
「それを言うなら、ここにいる所属してるメンバーが殺られたんだ。権利は等しく、あるだろうが。」
「娼婦や男娼、体を売ってる奴等が狙われてる。恨みかあるのか、ただ、お前らも覚えてると思うが、大昔に似たような事件は起きてる。それの模倣犯ってこともあり得るのでは?」
大昔に似たような事件は起きてる。
売春などを行っていた人物たちが、無差別に殺されていった。その犯人は、見た感じ、普通な青年。
動機は、彼の母が元は、売春婦で、愛する母の行いに幻滅し、母が亡くなった後は、同じように商売する者に、゙善意"で、救う気持ちで、殺したそうだ。青年は、殺す才能が、偶々、あった。最恐事件の一つとして、歴史上に語れるほど。
何よりも厄介なのは、大きな事件を起こす奴を模倣にするようなタイプの模倣犯は、程度によるが、緻密に、オリジナルを越えるように仕掛けてくる。
「マリンダ事件だね。」
後につけられたマリンダ事件。マリンダとは、彼の母親の名前らしい。彼は母に対する狂った愛を持っていた。鬱屈した想いを抱えていたのだろう。
「小説やらドラマの題材にされるほどの有名な凶悪事件だ。知らんやつは、ほぼ、いないだろう。推測も入ってるが、真似しやすい。」
「暇なやつだ。脳みそを鍛えろと叩きつけてやりたい。」
「あれに共鳴する奴等は、大抵は、不満を抱えた奴等だ。」
「灰を落とすんじゃないよ。ライオネル。…動機云々は関係がないね。模倣犯って言うなら。ここにいる娼館たちの奴等を皆殺しにしなきゃ、気が済まないって話かい?随分、鼻ッたれのガキじゃないかい。」
差し出される茶を飲む。
「モーガン。」
「はっ。」
ウォーレンの部下が資料を渡す。
「証拠品など、奴が現れる時間や推測等を考慮したものだ。」
「流石に早いね。」
「あんたからの情報もあったからな。…やつの現れる比率が多いのは、同伴を終えた頃だ。うちの部下の報告では、音がしないそうだ。」
「?」
「普通なら悲鳴声が響く筈だろう?それである程度は、居場所を絞り込めるが…。音がしないなら、気づくことに遅れる。つまり…。」
「駆けつけても、既に死んでいる。犯人は、逃げてるか。」
何かしらの魔道具または、魔法で、回りの音を塞いでる。防音だ。路地裏で襲われたのも相まって、発見するのに、時間が掛かる。
「ここは治外法権だ。俺らがルール。よそ者に踏みにじれるのは、我慢ならん。」
「同感だ。」
「ここは甘くないことをわからせてやるさ。」
「誰を敵に回したか。嫌でもわかる。あいつらより先に捕まえるよ。」
獰猛な顔つきになる。
警察より先に捕まえてやるさ。
捕まえる算段をする四天王。
が、その計算を狂わす子供がいる。
無邪気に、そして、より、ある意味では、四天王のより恐ろしい結末を用意してる子供だ。
動き出すまで…。
中々、集まらない四天王が雁首、揃って、集結しているからだ。
四天王のが一人、゙マダム・ジーナ"。
ふくよかな体型で、トレードマークの赤紫の帽子にドレスを身に纏い、大きな宝石をつけた指輪がキラリと光る。
背後に側近二人が立っており、右腕のガランとヨハンが佇む。
マダム・ジーナの前に座るのが、゙ボス・ウォーレン"
四天王の中では、最年少。
鋭い目付きで、甘さがないシャープな顔立ちをしており、落ち着いた色のスーツを着ている。
背後に側近二人が、佇み、回りを警戒。
その左の席に葉巻を吸いながら、椅子に深くもたれ掛かる男は、四天王の中では、最高齢の゙親分・ライオネル"
側近たちも屈強な男たちが、控えている。
ライオネルの前に座り込んでるのが、女性ながらももみ上げを刈り上げている女性で、左の目元から口元まで、魔方陣のような紋様が描かれている。彼女ば女帝・クラウディア"
側近に、同じように女性がおり、目を瞑ってる。
「あたしの可愛い娘が殺られたんだ。どこぞの馬鹿かわからないけど、あたしが始末するよ。」
「待て。マダム。俺のとこの奴も殺られたんだ。落とし前をつけさせる。」
「それを言うなら、ここにいる所属してるメンバーが殺られたんだ。権利は等しく、あるだろうが。」
「娼婦や男娼、体を売ってる奴等が狙われてる。恨みかあるのか、ただ、お前らも覚えてると思うが、大昔に似たような事件は起きてる。それの模倣犯ってこともあり得るのでは?」
大昔に似たような事件は起きてる。
売春などを行っていた人物たちが、無差別に殺されていった。その犯人は、見た感じ、普通な青年。
動機は、彼の母が元は、売春婦で、愛する母の行いに幻滅し、母が亡くなった後は、同じように商売する者に、゙善意"で、救う気持ちで、殺したそうだ。青年は、殺す才能が、偶々、あった。最恐事件の一つとして、歴史上に語れるほど。
何よりも厄介なのは、大きな事件を起こす奴を模倣にするようなタイプの模倣犯は、程度によるが、緻密に、オリジナルを越えるように仕掛けてくる。
「マリンダ事件だね。」
後につけられたマリンダ事件。マリンダとは、彼の母親の名前らしい。彼は母に対する狂った愛を持っていた。鬱屈した想いを抱えていたのだろう。
「小説やらドラマの題材にされるほどの有名な凶悪事件だ。知らんやつは、ほぼ、いないだろう。推測も入ってるが、真似しやすい。」
「暇なやつだ。脳みそを鍛えろと叩きつけてやりたい。」
「あれに共鳴する奴等は、大抵は、不満を抱えた奴等だ。」
「灰を落とすんじゃないよ。ライオネル。…動機云々は関係がないね。模倣犯って言うなら。ここにいる娼館たちの奴等を皆殺しにしなきゃ、気が済まないって話かい?随分、鼻ッたれのガキじゃないかい。」
差し出される茶を飲む。
「モーガン。」
「はっ。」
ウォーレンの部下が資料を渡す。
「証拠品など、奴が現れる時間や推測等を考慮したものだ。」
「流石に早いね。」
「あんたからの情報もあったからな。…やつの現れる比率が多いのは、同伴を終えた頃だ。うちの部下の報告では、音がしないそうだ。」
「?」
「普通なら悲鳴声が響く筈だろう?それである程度は、居場所を絞り込めるが…。音がしないなら、気づくことに遅れる。つまり…。」
「駆けつけても、既に死んでいる。犯人は、逃げてるか。」
何かしらの魔道具または、魔法で、回りの音を塞いでる。防音だ。路地裏で襲われたのも相まって、発見するのに、時間が掛かる。
「ここは治外法権だ。俺らがルール。よそ者に踏みにじれるのは、我慢ならん。」
「同感だ。」
「ここは甘くないことをわからせてやるさ。」
「誰を敵に回したか。嫌でもわかる。あいつらより先に捕まえるよ。」
獰猛な顔つきになる。
警察より先に捕まえてやるさ。
捕まえる算段をする四天王。
が、その計算を狂わす子供がいる。
無邪気に、そして、より、ある意味では、四天王のより恐ろしい結末を用意してる子供だ。
動き出すまで…。
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