小さなベイビー、大きな野望

春子

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番犬

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学校には、番犬を飼っている。用務員さんが飼育していると聞いた。
アルミンが見逃すはずもない。
学校の番犬は特別であり、一般人は、近寄らない。
が、アルミンは、用務員に頼んでは、会わせてとおねだり。
学校には、貴重品等も保管されており、術式を展開しながらも、力と誇示を見せつけるのも大事。
初等部にいる番犬は、かの有名な地獄の番犬と名高いケルベロス。
頭が三つ。腹の底から唸る声は、地面を揺らすほどの威圧感。
用務員が側にいて、触らないことを条件に、アルミンに会わせる。
いつもは、学校の地下で、厳重に飼われている。
「キャー。可愛い。」
アイドルを見たような感想。ケルベロスは、小さいアルミンの姿を見ては、また来たかと、見ている。自分を恐れない未知の存在に初めは、困惑。
「大きいね!」
リーサが見上げる。アニマとどっちが大きいのかな?と呑気。ちなみに二人の保護者は不在。
ケルベロスと学校側の契約は、学校に無断で出入りした者の制裁及び、貴重品等の盗品を防ぐ為の番犬。代わりに、衣食住の保証。
「ご飯を与えたばかりだから。大丈夫だけど、空腹のケルベロスに近づいてはダメだよ。噛み殺されるから。」
「噛むの?」
リーサの頭のなかには、アルミンのペットにブラックドッグがいて、歯の生え変わりの時なのか、良く、固い物を噛んでる。
賢いケルベロスは、生徒を覚えてるため、襲わないが、アルミンのスキスキ攻撃には、たじたじ。
「うちにもね!色んなペットがいるの!可愛いの!ちょっとヤキモチやきさんな子もいるけど。」
「チャッキー。ヤキモチやき。」
保護したサトリのチャッキーは、最早、ロッシュヴォークのぬいぐるみ的存在。
少しヤンチャなサーベルタイガーのスモモと双子のコモモは、玩具を破壊しちゃう。お転婆過ぎるのだ。例に漏れず、子猫だと勘違いしたアルミンが拾ってきた。
普通なら、冒険者のA級クラスが対峙しなきゃ、いけないほど、強い生物。だが、アルミンにとっては、可愛い猫。猫じゃないけど。
鳥が欲しくて、迷いこんだ鷹を飼っている。鷹と言うより、監視者と異名を持つ鷹の魔物ではあるが、カッコいいと大絶賛。お肉の好き嫌いが激しいので、コルルが贅沢だわとため息を溢している。
「ログに撮れないのか、残念。」
防犯的な意味合いで、ケルベロスの写真は禁止。
はあとため息をつく。

「ねえねえ?アルミン。あの子。だーれ?」
チャッキーをだっこするアルミンに聞く。
「気づいた?あのね!あの子はね!うちの新しい子。白蛇さん。タエコさん。」
「タエコ?変わった名前ね!蛇なの?コルルおばちゃん。倒れてない?」
「連れてきた時は、倒れたよ!」
「おばちゃんに連絡??」
「見て!つぶらなお目目。」
ニョロニョロしてる白蛇のタエコさん。
明らかに大蛇ではなかろうか?
…。
「うん!大きな目だね!」
細かいことは、気にしないマンである。
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