小さなベイビー、大きな野望

春子

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お茶会

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フィルが主催するお茶会は、ご近所の紳士や婦人たちが、やってくる。紳士会や婦人会のみんなである。
和やかな雰囲気で情報交換するのだ。
フィル自慢のティーセットを広げ、出迎える。
まあ、リーサもいるのだが。
「いらっしゃい!!お泊まりする!?」
「ベイビー?練習と違うわ。」
「あれ?」
欲望を丸出しの挨拶。フィルはリーサにおもてなしの練習をさせようと、同伴させることが、多い。大抵は、リーサが構ってもらい、遊ぶ。
「お邪魔するよ。甘えん坊さん、いいこにしてたかい?」
「いいこ・オブ・ザ・イヤーだよ!」
キリッ!
「フィル。これ、お土産だよ。」
「ありがとうございます。まあ!うれしい!ここの茶葉、美味しいのよね!」
綻ばせるフィルを横目に、泊まる?攻撃するリーサに、これこれと宥める客人。
「いらっしゃい。」
ツェリだ。フィル主催のお茶会にも参加する。
「ツェリ。元気そうだね。フィルの言うことは、きちんと聞いてるかな?」
「私は常にいいこでいるわ。あと、私は成人を越えた立派な淑女だわ。お母様に誉められるぐらいのね!」
「そうだったね。」
「さあ。中にどうぞ。」
フィルが取り仕切った内装。可憐で清楚な花を花瓶に生けており、気持ちを和やかにさせる。
食べやすいクッキーやパウンドケーキ、摘まみやすい果物など。
「今日は来てくださってありがとうございます。ゆっくり楽しんでくださいね。」
フィルは、にっこり。

夕方になると、帰宅する準備にをするが、リーサの駄々が始まる。
「帰っちゃやだあ。」
「また来るよ。」
拗ねるリーサを宥める。そこにやってくる迎えにきた人々。
「リーサ、私にお義父様たちを返してくれる?」
「…。」
むう。
「いいよ…。」
「甘えん坊さん。私にも返してくれる?」
次々に、言われ、うなずく。ちょっと拗ねてるが、フィルに宥められてる。
「今度はうちにいらっしゃい。」
「うん!」
帰っていくみんなを見送る。


ツェリも主催のお茶会を開く。ただ、フィルと異なるお茶会になってしまう。参加者のせいだ。
ジオルクの母親、カイヤに、ルーシリアの母親、マーガレット、アンジェリカ。
ちなみに可笑しな話だが、お茶を淹れるのは、今回は、サラトガである。
従兄弟たち、避難済み。
目元がハッキリした華やか美人のマーガレットが、サラトガ特製のお茶を優雅に飲む。
「サラトガの茶は何時でもうまいね。うちのメイドに師事してほしいぐらいさ。」
「そうでしょう。サラトガは、あのお母様が太鼓判を押したほどの実力者よ。」
「ありがとう。マーガレット。強いて言うなら、リーサがいるから、それはやめてほしかったな。」
マーガレットの尻の下は、椅子ではない。マーガレットの狗と呼ばれる特殊性癖の狗を椅子にしてる。マーガレットはそのような狗を何頭か、所持してる。
「リーサ。これは狗だ。わかるね?」
「見たことある狗?」
「…いや?まだ調教中。」
「マーガレット。」
「リーサ。ジオルクたちと別の部屋で遊びなさいな。マーガレット。教育上、よろしくないわ。」
リーサは言われた通り、ジオルクたちと別室に向かう。
「サラトガ、睨むな。」
「リーサで遊ばない。」
「まあいいじゃないか。…目が治ったんだ。快気祝いに持ってきたこれで許せ。」
「あら。美味しそう。」
サラトガは肩を竦める。

「ルーシリアはあの時、助けてくれたから、一応、お礼。」
「別に気にしなくていいが…なんだこれ?」
「紳士的になるには?っていう本…いて!!」
本を投げつけられた。ジオルクがやめてと止める。コビトがまあまあと宥める。
「俺は常に、紳士的だ。」
「紳士は、スカートめくりしない。」
「つい、動くものだ。」
「ついもしないよ。」
ジオルクがあきれ顔。コビトは、ため息。
「マリーも来れたら良かったのに。」
「ニコルとお出かけらしいから。仕方ないよ。また誘おう?」
マリー不在。
「フィルがいないようなら、今回のお茶会は羽目を外すぞ。」
「アンジェリカおばちゃんもパパもいるから大丈夫。おばちゃんはコルルおばちゃんと、婦人会のみんなとボランティアに行ってるし。」
ストッパーがいないが、まだ、アンジェリカがいるから大丈夫。
「あと、おばちゃんを呼び捨てにするな。様つけろ。」
「人のこと、言えるのか。お前。」
張り合う。ジオルクやコビトが仲裁。
「リーサもお茶会、大人になったら、開くんだ。」
「お前の場合、゙おかしなお茶会"になりそう。」
「童話のおかしなお茶会なら、楽しそうでいいじゃないですか。ねえ?」
「うん。」
童話の"おかしなお茶会"。要約すると、多種多様な人種たちが、お茶会を開くのだ。終わることない、楽しいお茶会。女王様に聞かせるために、集まる参加者たちは、次々に、楽しい話をする。
小さい子なら、一度は、読む本だ。
絵本にしては、ページは多く、読みごたえがある。
「おかしなお茶会と言えば、女王様が、一人一人の話を聞くんですよね。愉快極まりないお話。僕、木こりのお話が一番すきです!」
「僕は時計屋の話がすき。」
「リーサはね。歌姫のお話。…ルーシリアは?」
「…強いて言うなら、女王の話だろうな。」
「女王のお話?そんな内容あったけ?」
首を傾げるリーサに、ルーシリアは、持ってきた茶を飲む。

「また呼ぶわ。来て頂戴な。」
「今度は、私ん家ね。じゃあね。」
「じゃあ。」
駄々を捏ねたが、諦めなさいと、サラトガに言われ、渋々、ジオルクを離したリーサは、サラトガにだっこされてる。
「ねえ。パパは、おかしなお茶会だと、なんの話がすき?」
「おかしなお茶会?…ふくろうのお話かな?」
「ふくろうのお話か。ままは?」
「え?…かかしの話かしら?強いて言えば。」
「ルーシリアが女王様の話がすきだって。女王様の話なんて、ないよね?」
「そうだね…。」
「聞いたことないわ。そんな描写ないわよ。女王様にみんなが話をする話だもの。ルーシリアは何か、勘違いしてるんじゃない?登場人物多いし。」
だよねと思いつつ、何か、釈然としない。
ルーシリアは、聡明な部分がある。知らないことを知ってそうだ。

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