小さなベイビー、大きな野望

春子

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オスカーと言う男

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オスカー・オブリウェンは、魔法使いでもあり、錬金術師でもある。どちらの才能も秀でるぐらい、能力の高さはあるが、何分、内面が、体たらくの自堕落。学生の頃から、女関係は激しく、賭場などの賭け事は当たり前。卒業出来たのは、裏で何かしたのではないかと、疑われるぐらいに、信憑性の低いもの。卒業後は、真面目に働くかと思われたが、なかなか、無理であり、借金をこさえては、逃げ、愛人の家を転々としてるジゴロ生活。本人は気に入ってるようだが、回りは、そんな穏やかではいられない。
身内の女を守るために、オスカーを見つけたら、女を隠せが常識。
借金は当たり前で、踏み倒している。しかも色町の四天王の縄張りでも金を借りてるため、躍起になって、探している。が、逃げ足と身を隠す術は、他者に比毛を取らない。
至るところで、指名手配犯。

とある酒場で、安い酒を飲みながら、タバコを吹かす。独特な香りで、好みにわかれる香りだ。以前、リーサから、お薬みたいな匂いがするうと嫌がられた。生意気なので、煙を吹いたが、まあ、いいだろう。己の発明品である盗聴機の魔道具のログを再生。雑音が切り替わり、聞こえてくる、物騒な単語。微かな声ではあるが、耳を澄まして、聞く。
「ー。カー…あの方のー。」
ふうと、タバコの煙を吐くと、いつの間にか、現れていた一人の男。
「帰れ。クソガキ。」
「残念ですが、成人は越えておりますし、何より、マルクス様からの伝達を伝えに参りました。」
軽薄そうに見えて、あのマルクスの秘書の一人として、任務につく、優秀な補佐官。
「邪魔物は消せ。」
「あいつは、意外と過激だな?」
「敵対になるように仕向けたのは、そもそも、あちらですからね。言われても。それから、テリトリー内に入ってくるなと仰せです。」
「ツェリなら兎も角、あの乳離れもまだのガキに、興味はねーよ。賭け事ならいざ知らず。」
「死にたいのです?」
「バカいえ。普通に長生きしたいわ。」
可愛い妹や姪にそのような発言を聞けば、マルクスは怒り狂う。かつての誘拐未遂事件は、マルクスの逆鱗に触れ、制裁を行った。
「あの方は三兄弟の中では一番温厚な方ですが、それはあくまでも、彼の逆鱗に触れなかった場合…ちょっと、煙に撒かないでくださいよ!」
煙を吐いた瞬間、オスカーは消えた。逃亡である。


「まま。お腹痒い!」
「見せてみなさい。あら。肌が赤くなってるわ。薬を塗りましょ。急に荒れたわね。保湿、しっかりしないと。」
お腹に赤く、かゆみが出た。ツェリがかゆみ止めを塗っていく。リーサは、なんだか、お腹がモヤモヤする。
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