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日常の変化
19.
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さて家に帰って来たが、何もやる気が起きなくて帰ってきた姿のままベッドに倒れている。
嫌な気持ちが頭を埋め尽くして心臓が痛い。涙も自然と出て来た。
「あ~くそ」
意味もなく悪態をつく。
全て自業自得なのに。何で俺勝手に傷つけられた気でいるんだろう。性懲りもなく携帯を開く自分に嫌になり携帯の電源を落として遠くに投げた。こんな事しても意味なんてないのに。
「護さん…嫌い…」
あんなに睨む事ないのに。羽柴部長にベタベタ触らせやがって。楽しそうに思い出話して。
「嘘…やっぱり好き…」
部長は何も悪くない。勝手に体に触れたのは自分だ。怒るのも無理ない。そして羽柴部長とは大学からの仲で先輩達に話を振られたからその話をしただけだ。何も部長は、悪くない。
「う~嫌いにならないで…」
涙が先程から出て止まらない。段々頭が痛くなって来た。もう何も考えたくなくて痛みから解放されたくてそのまま意識を手放した。
ピンポーン
「っ」
何か音がした気がして意識が浮上した。起き上がるとまだ自分が着替えておらず風呂も歯磨きも済ませてない事を思い出す。
重い溜息を吐くとまたインターホンが鳴った。
「誰だろ」
時刻は23時半を示していた。家に帰って来て1時間くらい寝ていた様だ。
「っ」
いつもの癖でろくに相手も確認せずドアを開けると1番会いたくて会いたくない人がそこにいた。
「入っていいか?」
「ど、どうぞ…」
少し息が荒い長谷川部長が1人立っていたのだ。
「1人ですか?」
やべ、ちゃんと掃除しとくんだった。取り敢えずスリッパを出し、寝室の扉を急いで閉める。
「ああ、1人だ」
何しに来たんだろう?
「どうぞ座って下さい」
座布団とこたつを勧め、コーヒーの用意をする。いつもならコタツでお湯が沸くのを待つが今は気まずくてキッチンでお湯が沸くのを待った。その間部長は喋らない。でも背中に視線を感じる。
変な緊張感の中、コーヒーを作ると二つのマグカップを持って席に座った。
「ありがとう」
「いえ」
暫く沈黙が続く。どうすればいいのか分からなくて目の前で湯気を立てているコーヒーを見つめる。
「泣いたのか?」
「え?」
「目が赤くなっている」
そう言えばさっき、泣き疲れて寝てたんだった。心配そうに見つめる部長に心臓が早くなる。ずるい。そんな目で見ないで欲しい。そもそもこんな時間に家に来るなんて期待しちゃうじゃないか。
「あー眠くて目を擦ったのかもしれません」
「そうか。すまなかったなこんな時間に」
「いえ、何かあったんですか?」
自分で本題を切り出しといて緊張が体を支配する。
「………どうして2次会に行かなかった?」
2次会?何でいきなりその話?
「ちょっと、飲みすぎてしまって」
「そうか…」
また黙る部長に困惑する。
「どうして俺が2次会に行かなかった事を知ってるんですか?」
「岡本から室井に連絡が来たらしい」
岡本…恭子ちゃんの事だ。心配で同期の室井に連絡をしてくれたのかもしれない。
「そうですか…」
ってか、それを聞いて何で俺の家に来るんだ?
「何かあったのかと思ったんだ。無事でよかった」
「っ」
心配して来てくれたって事?すごい嬉しい。
「なんで…なんで…」
いきなりボロボロと泣き始めた俺にびっくりする部長。
「どうした?湊?」
「なんでっ…ひ……く…そんっ…なにっ…」
「ゆっくり話せ」
俺の背に手を回し摩ってくれる。そんな所も優しくて好きだ。
「優しいっ…んっ……ですかっ…?」
あんなに酷い事したのに。全部自分勝手な事をしたのに。羽柴部長の事好きなんじゃないの?何で俺にまだ優しくしてくれるの?
「決まってるだろ。好きだからだ」
嫌な気持ちが頭を埋め尽くして心臓が痛い。涙も自然と出て来た。
「あ~くそ」
意味もなく悪態をつく。
全て自業自得なのに。何で俺勝手に傷つけられた気でいるんだろう。性懲りもなく携帯を開く自分に嫌になり携帯の電源を落として遠くに投げた。こんな事しても意味なんてないのに。
「護さん…嫌い…」
あんなに睨む事ないのに。羽柴部長にベタベタ触らせやがって。楽しそうに思い出話して。
「嘘…やっぱり好き…」
部長は何も悪くない。勝手に体に触れたのは自分だ。怒るのも無理ない。そして羽柴部長とは大学からの仲で先輩達に話を振られたからその話をしただけだ。何も部長は、悪くない。
「う~嫌いにならないで…」
涙が先程から出て止まらない。段々頭が痛くなって来た。もう何も考えたくなくて痛みから解放されたくてそのまま意識を手放した。
ピンポーン
「っ」
何か音がした気がして意識が浮上した。起き上がるとまだ自分が着替えておらず風呂も歯磨きも済ませてない事を思い出す。
重い溜息を吐くとまたインターホンが鳴った。
「誰だろ」
時刻は23時半を示していた。家に帰って来て1時間くらい寝ていた様だ。
「っ」
いつもの癖でろくに相手も確認せずドアを開けると1番会いたくて会いたくない人がそこにいた。
「入っていいか?」
「ど、どうぞ…」
少し息が荒い長谷川部長が1人立っていたのだ。
「1人ですか?」
やべ、ちゃんと掃除しとくんだった。取り敢えずスリッパを出し、寝室の扉を急いで閉める。
「ああ、1人だ」
何しに来たんだろう?
「どうぞ座って下さい」
座布団とこたつを勧め、コーヒーの用意をする。いつもならコタツでお湯が沸くのを待つが今は気まずくてキッチンでお湯が沸くのを待った。その間部長は喋らない。でも背中に視線を感じる。
変な緊張感の中、コーヒーを作ると二つのマグカップを持って席に座った。
「ありがとう」
「いえ」
暫く沈黙が続く。どうすればいいのか分からなくて目の前で湯気を立てているコーヒーを見つめる。
「泣いたのか?」
「え?」
「目が赤くなっている」
そう言えばさっき、泣き疲れて寝てたんだった。心配そうに見つめる部長に心臓が早くなる。ずるい。そんな目で見ないで欲しい。そもそもこんな時間に家に来るなんて期待しちゃうじゃないか。
「あー眠くて目を擦ったのかもしれません」
「そうか。すまなかったなこんな時間に」
「いえ、何かあったんですか?」
自分で本題を切り出しといて緊張が体を支配する。
「………どうして2次会に行かなかった?」
2次会?何でいきなりその話?
「ちょっと、飲みすぎてしまって」
「そうか…」
また黙る部長に困惑する。
「どうして俺が2次会に行かなかった事を知ってるんですか?」
「岡本から室井に連絡が来たらしい」
岡本…恭子ちゃんの事だ。心配で同期の室井に連絡をしてくれたのかもしれない。
「そうですか…」
ってか、それを聞いて何で俺の家に来るんだ?
「何かあったのかと思ったんだ。無事でよかった」
「っ」
心配して来てくれたって事?すごい嬉しい。
「なんで…なんで…」
いきなりボロボロと泣き始めた俺にびっくりする部長。
「どうした?湊?」
「なんでっ…ひ……く…そんっ…なにっ…」
「ゆっくり話せ」
俺の背に手を回し摩ってくれる。そんな所も優しくて好きだ。
「優しいっ…んっ……ですかっ…?」
あんなに酷い事したのに。全部自分勝手な事をしたのに。羽柴部長の事好きなんじゃないの?何で俺にまだ優しくしてくれるの?
「決まってるだろ。好きだからだ」
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