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日常の変化
1.
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「小倉ぁ!!」
「はい!」
「ちょっと来い!!」
忙しないオフィスの中でよく通るバリトンボイスの男の声に呼ばれた。俺は直ぐに立ち上がると小走りで呼び主の元へと急ぐ。
「お呼びでしょうか?」
「お前、この資料どういうつもりだ?」
俺の事を呼びつけた上司、長谷川部長兼所長はバサっと俺が提出した資料を目の前に投げつけた。
その資料を見て俺はしまった。と思った。先週提出期限だったその資料は時間がなくておざなりにまとめた資料だったのだ。
「すいません」
「謝るって事は自覚があるんだな?」
綺麗な顔で睨まれ背中を冷や汗が伝う。
「やり直せ」
「はい…分かりました」
俺は目の前の資料を拾い集めるとそれを持って自分の席へと戻った。心配や好奇心など色んな感情が篭った視線が集まる。俺はその視線を全て無視して椅子にどっかりと座った。
「お先でーす。お疲れ様でした~」
19時過ぎにもなるとほとんどの社員が自宅へと帰って行く。
「湊、まだ終わんねーの?」
「室井…うん。資料作り直さないと…」
同期で営業の室井俊哉が俺に声を掛けて来た。同い年の25歳で若手営業スタッフの中ではトップレベルのスキルを持っており会社から一目置かれてる存在だ。かたや、こちらはそんな営業スタッフをサポートする立場。会社の期待度も違う。
「あーまた、長谷川部長に詰められたんだって?」
営業に出てて昼間の騒動を見ていない筈の室井が知っているという事は、誰かから聞いたのだろう。
「うん…まあ今回は俺が悪いんだけど…いや今回もか…」
長谷川部長は、キレると怖いが理不尽な事では怒ったりしない。寧ろ部下の事をよく見ており頑張ればきちんと褒めてくれる。だから、時間がないからとおざなりにした俺が悪いのだ。
「まーそんなに詰めんなよ?ほら、これ食え」
「いいのか!?」
目の前にドサっと置かれたのは同じビルの3階にある人気菓子店の抹茶のシフォンケーキだった。俺が甘い物が好きで特に抹茶味を好むのを知っている室井の気遣い振りに心が満たされる。
「お前いい奴だな~」
「はは、厳禁な奴。じゃ俺も帰るな?」
「うん。気をつけて!」
「お疲れ様~」
「お疲れ!」
スタスタと帰って行った同期を見送り俺はご褒美の為にやる気を出して差し戻された資料を作り直した。
「はい!」
「ちょっと来い!!」
忙しないオフィスの中でよく通るバリトンボイスの男の声に呼ばれた。俺は直ぐに立ち上がると小走りで呼び主の元へと急ぐ。
「お呼びでしょうか?」
「お前、この資料どういうつもりだ?」
俺の事を呼びつけた上司、長谷川部長兼所長はバサっと俺が提出した資料を目の前に投げつけた。
その資料を見て俺はしまった。と思った。先週提出期限だったその資料は時間がなくておざなりにまとめた資料だったのだ。
「すいません」
「謝るって事は自覚があるんだな?」
綺麗な顔で睨まれ背中を冷や汗が伝う。
「やり直せ」
「はい…分かりました」
俺は目の前の資料を拾い集めるとそれを持って自分の席へと戻った。心配や好奇心など色んな感情が篭った視線が集まる。俺はその視線を全て無視して椅子にどっかりと座った。
「お先でーす。お疲れ様でした~」
19時過ぎにもなるとほとんどの社員が自宅へと帰って行く。
「湊、まだ終わんねーの?」
「室井…うん。資料作り直さないと…」
同期で営業の室井俊哉が俺に声を掛けて来た。同い年の25歳で若手営業スタッフの中ではトップレベルのスキルを持っており会社から一目置かれてる存在だ。かたや、こちらはそんな営業スタッフをサポートする立場。会社の期待度も違う。
「あーまた、長谷川部長に詰められたんだって?」
営業に出てて昼間の騒動を見ていない筈の室井が知っているという事は、誰かから聞いたのだろう。
「うん…まあ今回は俺が悪いんだけど…いや今回もか…」
長谷川部長は、キレると怖いが理不尽な事では怒ったりしない。寧ろ部下の事をよく見ており頑張ればきちんと褒めてくれる。だから、時間がないからとおざなりにした俺が悪いのだ。
「まーそんなに詰めんなよ?ほら、これ食え」
「いいのか!?」
目の前にドサっと置かれたのは同じビルの3階にある人気菓子店の抹茶のシフォンケーキだった。俺が甘い物が好きで特に抹茶味を好むのを知っている室井の気遣い振りに心が満たされる。
「お前いい奴だな~」
「はは、厳禁な奴。じゃ俺も帰るな?」
「うん。気をつけて!」
「お疲れ様~」
「お疲れ!」
スタスタと帰って行った同期を見送り俺はご褒美の為にやる気を出して差し戻された資料を作り直した。
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