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4.ツワニヤ国
14.
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「お世話になりました」
竜の停留所でモルダミさん、トーリさん達お世話になった方に頭を下げる。
皆んな笑顔でまたおいでと言ってくれた。
一通り挨拶を終えると獣医から元気になったホワイトを引き取った。獣医の腕の中では小さいサイズだったのに俺に渡る瞬間元の大きさになり俺の上に馬乗りになる。
「ちょ、ホワイト重いよ」
「きゃんきゃん」
「あはは、ホワイト久しぶり。心配かけてごめんね」
久しぶりのふわふわに癒される。ホワイトの首周りの毛に顔を埋める。お日様の様な良い匂いがした。
「ホワイトそろそろどいてあげないと帰れないよ」
いつの間にか近づいてきていたアヒン殿下にホワイトの下から救出される。歩くのはまだキツイのでそのまま抱き上げられジョル様の前まで連れてこられた。後ろからホワイトも付いてくる。
「世話になったな」
「!こちらこそ、お世話になりましたっ」
アヒン殿下の腕の中で頭を下げる。その頭をポンと撫でられた。
「アヒンが嫌になったらいつでも迎えに行くからな」
パーンと俺の頭の上に乗っていたジョル様の手が弾かれた。
「三葉に触るな」
「お~こわっ」
かなり強めに叩かれていそうなのにジョル様には効いてなさそうだ。
「私のミツバが世話になりました。暫く会うことはないと思いますがお元気で」
「やっぱお前捻くれたな…」
ジョル様がまた胡乱な目を向けてくる。
「生憎俺らにはある約束がある。だからお前は来なくても良いがミツバはまた来いよ?」
約束とは、ジョル様の出身村のルントンにまた会うと言った約束の事だろう。確かにまた来なくてはいけない。子供との約束は大事。
「その時は伴侶の私も同行します」
「ふ、来たければ来い。俺は器が大きい男だからな、邪魔が入ろうが構わん」
何故だか知らないがジョル様がとても勝ち誇った顔をしている。
この2人本当に仲良いな。あ、後ろのホワイトが欠伸してる。飽きちゃったかな?
「私達は帰りますね。婚約の手続きも進めたいので」
「一々嫌味な奴」
「さ、三葉帰ろう?」
「はい」
やっと帰れる。またみんなと会える。嬉しくて自然と笑顔になる。
「ホワイトは小さくなっておいで」
手を広げるとホワイトは体を小さくして胸に飛び込んできた。もふもふして気持ちいい。ホワイトをぎゅっと抱き込むと俺を強く抱きしめたアヒン殿下が一っ飛びで竜の背中に飛び乗った。
竜が起き上がり羽を羽ばたき始める。
「お世話になりました~。またきまーす!」
みんなに向かって大きく手を振る。何人かは手を振りかえしてくれた。地面を蹴った竜はぐんぐんと上昇しあっという間に皆んなが見えなくなった。
(ジョルビナサイド)
ミツバを乗せた竜が遠くの空まで飛んでいく。
「行っちゃいましたね~」
「ああ」
近くにいたモルダミに声をかけられる。
「宜しかったのですか?ミツバ様を返して」
珍しくトーリが自ら話しかけてきた。それ程疑問に思ったのかもしれない。
「いんだよ」
正直、ミツバを返さないという選択もあった。あの少年の力はそれ程魅力的だった。そして少年自身も貧弱なくせに芯が強くて綺麗で自然と惹かれてしまった。出来れば俺の手の中に収めときたかった。
でもミツバは帰りたがっていた。そして不運な呪いに掛かってしまったあいつの想い人なのだ。諦めるつもりはないが結婚くらい許してやろう。あいつにはミツバが必要だからな。
「あ~俺って良いやつ」
「主人~、失恋話聞きますよ?」
「失恋じゃねーよ」
「私も付き合います」
「だから振られてねーよ」
モルダミに慈愛の篭った目で黙って頷かれたのがムカついて取り敢えず一発殴っといた。
竜の停留所でモルダミさん、トーリさん達お世話になった方に頭を下げる。
皆んな笑顔でまたおいでと言ってくれた。
一通り挨拶を終えると獣医から元気になったホワイトを引き取った。獣医の腕の中では小さいサイズだったのに俺に渡る瞬間元の大きさになり俺の上に馬乗りになる。
「ちょ、ホワイト重いよ」
「きゃんきゃん」
「あはは、ホワイト久しぶり。心配かけてごめんね」
久しぶりのふわふわに癒される。ホワイトの首周りの毛に顔を埋める。お日様の様な良い匂いがした。
「ホワイトそろそろどいてあげないと帰れないよ」
いつの間にか近づいてきていたアヒン殿下にホワイトの下から救出される。歩くのはまだキツイのでそのまま抱き上げられジョル様の前まで連れてこられた。後ろからホワイトも付いてくる。
「世話になったな」
「!こちらこそ、お世話になりましたっ」
アヒン殿下の腕の中で頭を下げる。その頭をポンと撫でられた。
「アヒンが嫌になったらいつでも迎えに行くからな」
パーンと俺の頭の上に乗っていたジョル様の手が弾かれた。
「三葉に触るな」
「お~こわっ」
かなり強めに叩かれていそうなのにジョル様には効いてなさそうだ。
「私のミツバが世話になりました。暫く会うことはないと思いますがお元気で」
「やっぱお前捻くれたな…」
ジョル様がまた胡乱な目を向けてくる。
「生憎俺らにはある約束がある。だからお前は来なくても良いがミツバはまた来いよ?」
約束とは、ジョル様の出身村のルントンにまた会うと言った約束の事だろう。確かにまた来なくてはいけない。子供との約束は大事。
「その時は伴侶の私も同行します」
「ふ、来たければ来い。俺は器が大きい男だからな、邪魔が入ろうが構わん」
何故だか知らないがジョル様がとても勝ち誇った顔をしている。
この2人本当に仲良いな。あ、後ろのホワイトが欠伸してる。飽きちゃったかな?
「私達は帰りますね。婚約の手続きも進めたいので」
「一々嫌味な奴」
「さ、三葉帰ろう?」
「はい」
やっと帰れる。またみんなと会える。嬉しくて自然と笑顔になる。
「ホワイトは小さくなっておいで」
手を広げるとホワイトは体を小さくして胸に飛び込んできた。もふもふして気持ちいい。ホワイトをぎゅっと抱き込むと俺を強く抱きしめたアヒン殿下が一っ飛びで竜の背中に飛び乗った。
竜が起き上がり羽を羽ばたき始める。
「お世話になりました~。またきまーす!」
みんなに向かって大きく手を振る。何人かは手を振りかえしてくれた。地面を蹴った竜はぐんぐんと上昇しあっという間に皆んなが見えなくなった。
(ジョルビナサイド)
ミツバを乗せた竜が遠くの空まで飛んでいく。
「行っちゃいましたね~」
「ああ」
近くにいたモルダミに声をかけられる。
「宜しかったのですか?ミツバ様を返して」
珍しくトーリが自ら話しかけてきた。それ程疑問に思ったのかもしれない。
「いんだよ」
正直、ミツバを返さないという選択もあった。あの少年の力はそれ程魅力的だった。そして少年自身も貧弱なくせに芯が強くて綺麗で自然と惹かれてしまった。出来れば俺の手の中に収めときたかった。
でもミツバは帰りたがっていた。そして不運な呪いに掛かってしまったあいつの想い人なのだ。諦めるつもりはないが結婚くらい許してやろう。あいつにはミツバが必要だからな。
「あ~俺って良いやつ」
「主人~、失恋話聞きますよ?」
「失恋じゃねーよ」
「私も付き合います」
「だから振られてねーよ」
モルダミに慈愛の篭った目で黙って頷かれたのがムカついて取り敢えず一発殴っといた。
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