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4.ツワニヤ国
13.
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「おい、人の城でやり過ぎだ」
「すいません。三葉が可愛すぎて」
ジョル様が朝食を一緒に食べようと部屋を訪ねて来たのだが、昨日アヒン殿下に離してもらえず朝方まで繋がっていた為、俺はベットから起きれないでいた。同じ時を過ごしたはずのアヒン殿下は元気そうだ。と言うかいつもより機嫌が良いのが伝わってくる。
「はぁ~見せつけてんじゃねーよ。さっさと服着ろ。飯食うぞ」
アヒン殿下は上裸で俺は全裸なので布団から出られない。それを見抜いたジョル様はそれだけ言うと部屋から出て行った。
何故か俺の服をアヒン殿下が着せてくれて歩けない俺を横抱きするとそのまま朝食会場へと移動した。
顔を真っ赤にした姫抱きの俺とにこにこ笑顔のアヒン殿下の登場を見たジョル様はまた大きなため息をついた。
「お前会わない内に捻くれたな?」
「何の事でしょう?」
アヒン殿下がとぼけると胡乱な目を向けられた。俺は身動きが取れない為居た堪れない。
アヒン殿下の隣の席に下ろして貰いジョル様の顔を見ると「目の毒だ」と言われた。
ん?俺の顔そんなに酷い?
不安になってアヒン殿下を見るとにこっと笑って頭を撫でられた。
ジョル様の号令で朝食を食べ始める。
「体は大丈夫なのか?」
「ええ、三葉から沢山力を貰ったので暫くは大丈夫そうです」
「お前怒ってんだろ?いい加減その他人行儀の敬語やめろ」
「怒ってな「嘘つくな」………はぁ…怒るに決まってんだろ?」
初めて聞いた殿下の低い声に目を見開いて凝視してしまう。
「三葉を連れ去るなんてジョルじゃなかったら潰してたよ?」
「おお~こぇ」
俺も怖くてぶるっと体が震えたがジョル様は余り怖がっている様には見えない。
「だからちゃんと書簡だって送っただろ?」
「連れ去った後に届いても意味ない」
「こっちも切羽詰まっていたからな。それはすまん」
ジョル様が素直に謝った。
「だけど正直に言った所でお前、三葉を出さなかっただろ?」
「…………場合による」
あ、これ出すつもりなかったな…
何だかいつも大人びている殿下が年相応に見えて自然と笑ってしまう。
「何で笑ってるの?」
アヒン殿下が気付いて、ん?と聞いてくる。
「普段と違うお前を見て面白かったんだろ」
流石、ジョル様。人を見る目がある。
「そう言う事…何か恥ずかしいな…」
「可愛い…」
照れてる殿下が可愛い。
「ふっ…三葉の方が可愛いよ?可愛すぎるからジョルの前で笑わないで?」
頬を手で挟まれ殿下の事しか視界に入らなくなる。
「おい、束縛腹黒呪われ男。変な事ミツバに吹き込んでんじゃねーよ」
「事実しか言ってない。大体お前は女好きだろ?私の三葉が可愛いからと言って手を出すな」
「で…でんか…」
恥ずい。恥ずい恥ずい。真剣な顔でそんな事言わないでほしい。
「仕方ねーだろ?たまたま惚れた奴が男だっただけだ」
「諦めろ。三葉は私の婚約者になった」
「ふーん?たかが婚約者だろ?それに既婚者であっても俺は関係ない」
あまりのイケメン発言に心がきゅっとなった。
「辞めろ。ケダモノ。三葉に悪影響だ」
殿下の綺麗な手で耳を塞がれた。何も聞こえなくなって目だけキョロキョロしてしまう。
その後もいくらか会話が進んだみたいだが俺は聞かせてもらえず暫く耳を塞がれながら食事を進めた。
「すいません。三葉が可愛すぎて」
ジョル様が朝食を一緒に食べようと部屋を訪ねて来たのだが、昨日アヒン殿下に離してもらえず朝方まで繋がっていた為、俺はベットから起きれないでいた。同じ時を過ごしたはずのアヒン殿下は元気そうだ。と言うかいつもより機嫌が良いのが伝わってくる。
「はぁ~見せつけてんじゃねーよ。さっさと服着ろ。飯食うぞ」
アヒン殿下は上裸で俺は全裸なので布団から出られない。それを見抜いたジョル様はそれだけ言うと部屋から出て行った。
何故か俺の服をアヒン殿下が着せてくれて歩けない俺を横抱きするとそのまま朝食会場へと移動した。
顔を真っ赤にした姫抱きの俺とにこにこ笑顔のアヒン殿下の登場を見たジョル様はまた大きなため息をついた。
「お前会わない内に捻くれたな?」
「何の事でしょう?」
アヒン殿下がとぼけると胡乱な目を向けられた。俺は身動きが取れない為居た堪れない。
アヒン殿下の隣の席に下ろして貰いジョル様の顔を見ると「目の毒だ」と言われた。
ん?俺の顔そんなに酷い?
不安になってアヒン殿下を見るとにこっと笑って頭を撫でられた。
ジョル様の号令で朝食を食べ始める。
「体は大丈夫なのか?」
「ええ、三葉から沢山力を貰ったので暫くは大丈夫そうです」
「お前怒ってんだろ?いい加減その他人行儀の敬語やめろ」
「怒ってな「嘘つくな」………はぁ…怒るに決まってんだろ?」
初めて聞いた殿下の低い声に目を見開いて凝視してしまう。
「三葉を連れ去るなんてジョルじゃなかったら潰してたよ?」
「おお~こぇ」
俺も怖くてぶるっと体が震えたがジョル様は余り怖がっている様には見えない。
「だからちゃんと書簡だって送っただろ?」
「連れ去った後に届いても意味ない」
「こっちも切羽詰まっていたからな。それはすまん」
ジョル様が素直に謝った。
「だけど正直に言った所でお前、三葉を出さなかっただろ?」
「…………場合による」
あ、これ出すつもりなかったな…
何だかいつも大人びている殿下が年相応に見えて自然と笑ってしまう。
「何で笑ってるの?」
アヒン殿下が気付いて、ん?と聞いてくる。
「普段と違うお前を見て面白かったんだろ」
流石、ジョル様。人を見る目がある。
「そう言う事…何か恥ずかしいな…」
「可愛い…」
照れてる殿下が可愛い。
「ふっ…三葉の方が可愛いよ?可愛すぎるからジョルの前で笑わないで?」
頬を手で挟まれ殿下の事しか視界に入らなくなる。
「おい、束縛腹黒呪われ男。変な事ミツバに吹き込んでんじゃねーよ」
「事実しか言ってない。大体お前は女好きだろ?私の三葉が可愛いからと言って手を出すな」
「で…でんか…」
恥ずい。恥ずい恥ずい。真剣な顔でそんな事言わないでほしい。
「仕方ねーだろ?たまたま惚れた奴が男だっただけだ」
「諦めろ。三葉は私の婚約者になった」
「ふーん?たかが婚約者だろ?それに既婚者であっても俺は関係ない」
あまりのイケメン発言に心がきゅっとなった。
「辞めろ。ケダモノ。三葉に悪影響だ」
殿下の綺麗な手で耳を塞がれた。何も聞こえなくなって目だけキョロキョロしてしまう。
その後もいくらか会話が進んだみたいだが俺は聞かせてもらえず暫く耳を塞がれながら食事を進めた。
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