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2.城下町での暮らし
12.
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街中は今日も活気付いている。露店が所狭しと出ており店主の呼び声があちらこちらから聞こえて来る。
「まずはどこに行こうか?」
「キャウ?」
可愛い~。
俺の問いかけに首をこてんと傾げるホワイトの可愛さに癒される。
「良い匂いするし何か食べようか?」
「キャン!」
凄く良い匂いがする串焼き屋さんに近寄ってみる。
「お!教会のにーちゃんじゃないか!寄ってって」
「こんにちは。この串焼き3本下さい」
「まいど!お、このワンちゃん?は、噂の子か?」
ホワイトは、どうやら噂になっているらしい。教会に礼拝しに来る方から話を聞いたのかもしれない。
「はい。ホワイトです。宜しくお願いします」
「キャン!」
「おお、元気だな。はい、これおまけで1本多くしといたぞ」
「わ、ありがとうございます!」
おっちゃんが4本の串を手渡してくれる。それを受け取り今日貰った給料でお金を払った。ホワイトを連れて少し開けた所にあるベンチに座る。ホワイトも俺の足元でお座りをしている。可愛い。凄く可愛い。
「ホワイト挨拶してから食べようね。……大地に感謝を。命に感謝を。サークティシャ様に感謝を。頂きます」
すっかりこの挨拶に慣れてしまった。当たり前のように口から出る。
「キャンキャン」
ホワイトも一緒に挨拶して出来立ての串焼きを頬張る。
「美味しい~」
ホワイトには、串から取ったお肉を食べさせてあげる。凄く美味しそうに頬張っている。体が大きい為、1串が1口で消えていく。結局残り2本もホワイトに食べさせてあげ口の周りの汚れを拭ってあげた。
「美味しかったね」
「キャン!」
ホワイトも満足したようだ。
「喉渇いたね。飲み物買いに行こうか?」
「キャン」
尻尾をパタパタと振ったホワイトと一緒に露店へと戻った。飲み物も色んな店で売っている様だ。どれにしようか悩んでしまう。果肉がいっぱい入ったフルーツジュースに目がついた。それを一つとホワイト用にミルクを買いまた先程の広場で飲んだ。
「きゃう~」
「はは、美味しいのか?ホワイト?」
「キャン!」
ホワイトが美味しくて可愛い声を出すのが可笑しくて笑ってしまう。
「これ飲んだらどうしようか?」
公爵令嬢が何時に来るのか聞いてなかった。遅く迄はいないだろうが、念の為夜迄帰らない方が良いだろう。幸いにも今日初給料を貰ったのでお金はある。
んー初任給だし、コーナンさん達に何か買って行こうかな?
「ホワイトは、何が欲しい?」
「キャン!」
ホワイトは、先程の串焼き屋を見て鳴いた。
「またあれが食べたいの?でも、折角だから形が残るモノをあげたいんだけど…」
「キャウ?」
「分からないか…」
首をこてんと傾げるホワイトが可愛すぎて串焼き屋の肉をまた買ってあげてしまった。俺は可愛いものに弱いのかもしれない。
満足そうなホワイトを連れ露店に戻り今度は雑貨屋に立ち寄った。店の規模の割に幅広い物が置いてありテンションが上がる。
「いらっしゃい。何をお求めで?」
「普段お世話になっている人に贈り物をしたいんですが」
「ふむ。そしたら人気なのは羽ペンとか万年筆だな」
「ペンか…余り物書きはしない人達なのですが…」
偶に何か書いている姿は見るがあの人達にペンは何だか違う様な気がした。
「んーにーちゃんが贈りたい相手は男か?」
「はい。男性です」
「お洒落な男ならコロンとかも人気だぞ」
「コロン…ヨハンさんなら良いかも」
あ、でも仕事中はつけないかな?
「どんな匂いのものがありますか?」
「ちょっと待ってな」
店主は奥からコロンが入った瓶を4本持って来た。1つ蓋を開けて匂いを嗅がせてくれた。
「これはシンプルなシャボンの匂いだな」
「お、良い匂い」
異世界のコロンのクオリティーに期待していなかったが案外良い匂いだ。
「次はこれだ」
「う、何ですかこれ!?獣臭い」
鼻をつく獣臭に鼻を摘む。
「はっはっはっ!これは野生の男感を出したいやつ向けの獣臭だ」
「え、買う人いるんですか?」
失礼な事を店主に直で聞いてしまう。
「ああ、月に2.3本は売れるな」
「へぇ~」
野生の男になりたい人がいるんだな。正直ホワイトの方が良い匂いだ。むしろホワイトは細めにお風呂に入れているので臭くない。白銀に光る毛もサラサラだ。
「じゃあ次はこれだ」
「ん、爽やか」
柑橘系の匂いが鼻を掠めた。
「これはシトランって言うあったかい国にしか育たない木の実で作ったコロンだ。因みに酸っぱ過ぎて食べる事は出来ない」
「へぇ~良い匂いですね」
「じゃあ、最後はこれだ」
最後の瓶を開けて三葉に手渡してくれる。
「落ち着く匂い」
森林の中にいる様な木の匂いが鼻を一気に駆け抜けた。
「これは森の中にいる様な感覚を味わえるコロンだ。催眠効果があるぞ」
「ん~迷いますね」
「何で今悩んでる?」
「んーとシャボンか森の香りです」
どちらも良い匂いで決められない。
「ホワイトはどっちが良いと思う?」
自分で決められずホワイトに意見を聞くとホワイトは左前足を器用に上げシャボンの瓶の前に置いた。凄く尻尾を振っている。
「はは、ホワイトはお風呂大好きだもんね」
「キャン!」
お座りしてても立っている俺と同じくらいの目線にあるホワイトの頭を撫でまくりシャボンの香りがするコロンを包んでもらった。
「毎度あり~」
「まずはどこに行こうか?」
「キャウ?」
可愛い~。
俺の問いかけに首をこてんと傾げるホワイトの可愛さに癒される。
「良い匂いするし何か食べようか?」
「キャン!」
凄く良い匂いがする串焼き屋さんに近寄ってみる。
「お!教会のにーちゃんじゃないか!寄ってって」
「こんにちは。この串焼き3本下さい」
「まいど!お、このワンちゃん?は、噂の子か?」
ホワイトは、どうやら噂になっているらしい。教会に礼拝しに来る方から話を聞いたのかもしれない。
「はい。ホワイトです。宜しくお願いします」
「キャン!」
「おお、元気だな。はい、これおまけで1本多くしといたぞ」
「わ、ありがとうございます!」
おっちゃんが4本の串を手渡してくれる。それを受け取り今日貰った給料でお金を払った。ホワイトを連れて少し開けた所にあるベンチに座る。ホワイトも俺の足元でお座りをしている。可愛い。凄く可愛い。
「ホワイト挨拶してから食べようね。……大地に感謝を。命に感謝を。サークティシャ様に感謝を。頂きます」
すっかりこの挨拶に慣れてしまった。当たり前のように口から出る。
「キャンキャン」
ホワイトも一緒に挨拶して出来立ての串焼きを頬張る。
「美味しい~」
ホワイトには、串から取ったお肉を食べさせてあげる。凄く美味しそうに頬張っている。体が大きい為、1串が1口で消えていく。結局残り2本もホワイトに食べさせてあげ口の周りの汚れを拭ってあげた。
「美味しかったね」
「キャン!」
ホワイトも満足したようだ。
「喉渇いたね。飲み物買いに行こうか?」
「キャン」
尻尾をパタパタと振ったホワイトと一緒に露店へと戻った。飲み物も色んな店で売っている様だ。どれにしようか悩んでしまう。果肉がいっぱい入ったフルーツジュースに目がついた。それを一つとホワイト用にミルクを買いまた先程の広場で飲んだ。
「きゃう~」
「はは、美味しいのか?ホワイト?」
「キャン!」
ホワイトが美味しくて可愛い声を出すのが可笑しくて笑ってしまう。
「これ飲んだらどうしようか?」
公爵令嬢が何時に来るのか聞いてなかった。遅く迄はいないだろうが、念の為夜迄帰らない方が良いだろう。幸いにも今日初給料を貰ったのでお金はある。
んー初任給だし、コーナンさん達に何か買って行こうかな?
「ホワイトは、何が欲しい?」
「キャン!」
ホワイトは、先程の串焼き屋を見て鳴いた。
「またあれが食べたいの?でも、折角だから形が残るモノをあげたいんだけど…」
「キャウ?」
「分からないか…」
首をこてんと傾げるホワイトが可愛すぎて串焼き屋の肉をまた買ってあげてしまった。俺は可愛いものに弱いのかもしれない。
満足そうなホワイトを連れ露店に戻り今度は雑貨屋に立ち寄った。店の規模の割に幅広い物が置いてありテンションが上がる。
「いらっしゃい。何をお求めで?」
「普段お世話になっている人に贈り物をしたいんですが」
「ふむ。そしたら人気なのは羽ペンとか万年筆だな」
「ペンか…余り物書きはしない人達なのですが…」
偶に何か書いている姿は見るがあの人達にペンは何だか違う様な気がした。
「んーにーちゃんが贈りたい相手は男か?」
「はい。男性です」
「お洒落な男ならコロンとかも人気だぞ」
「コロン…ヨハンさんなら良いかも」
あ、でも仕事中はつけないかな?
「どんな匂いのものがありますか?」
「ちょっと待ってな」
店主は奥からコロンが入った瓶を4本持って来た。1つ蓋を開けて匂いを嗅がせてくれた。
「これはシンプルなシャボンの匂いだな」
「お、良い匂い」
異世界のコロンのクオリティーに期待していなかったが案外良い匂いだ。
「次はこれだ」
「う、何ですかこれ!?獣臭い」
鼻をつく獣臭に鼻を摘む。
「はっはっはっ!これは野生の男感を出したいやつ向けの獣臭だ」
「え、買う人いるんですか?」
失礼な事を店主に直で聞いてしまう。
「ああ、月に2.3本は売れるな」
「へぇ~」
野生の男になりたい人がいるんだな。正直ホワイトの方が良い匂いだ。むしろホワイトは細めにお風呂に入れているので臭くない。白銀に光る毛もサラサラだ。
「じゃあ次はこれだ」
「ん、爽やか」
柑橘系の匂いが鼻を掠めた。
「これはシトランって言うあったかい国にしか育たない木の実で作ったコロンだ。因みに酸っぱ過ぎて食べる事は出来ない」
「へぇ~良い匂いですね」
「じゃあ、最後はこれだ」
最後の瓶を開けて三葉に手渡してくれる。
「落ち着く匂い」
森林の中にいる様な木の匂いが鼻を一気に駆け抜けた。
「これは森の中にいる様な感覚を味わえるコロンだ。催眠効果があるぞ」
「ん~迷いますね」
「何で今悩んでる?」
「んーとシャボンか森の香りです」
どちらも良い匂いで決められない。
「ホワイトはどっちが良いと思う?」
自分で決められずホワイトに意見を聞くとホワイトは左前足を器用に上げシャボンの瓶の前に置いた。凄く尻尾を振っている。
「はは、ホワイトはお風呂大好きだもんね」
「キャン!」
お座りしてても立っている俺と同じくらいの目線にあるホワイトの頭を撫でまくりシャボンの香りがするコロンを包んでもらった。
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