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第五章
3 この地に厳冬はないけれど 吸血種の子
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吸血種の子供たちは、最初こそ五人ひとかたまりで動いていた。
けれど、最近はそれぞれの好みや興味や得意に合わせて動くようになってきた。
彼女の場合、手持ちぶさたでいると悪い想像ばかり膨らんでしまうから、積極的に家事のお手伝いをするようになった。
故郷にいた頃の趣味をここでするのは難しいという理由もあった。
副隊長ドレは、文句一つ言わずに働く子供を気に入ったようで、ヒマを見てはいろいろなことを教えてくれる。
だからといって、心が軽くなることはないし、悪夢を見ない日もない。
たとえ歩いていける距離に家があったとしても、今は帰れないのだから。
「はぁー……」
彼女は、他の子たちより早く起きる。
悪夢を見て飛び起きているわけではなく、怯える顔を、絶対に見られたくなかったから。
外に出て顔を洗う。
昼間の一番暖かい時間はともかく、夕方になると吐く息が白くなる。
当然、水は刺すように冷たい。
(帰りたい……。みんなと一緒に踊って騒いで、家族と一緒にお祝いのご飯を食べたい)
ちょっと特別ではあったが、楽しみではあったが、毎年のことだからさほど大事には思ってこなかった新年の習わし。
彼女の家は家族全員健康で、祖父母も元気で、曾祖父母は彼女が産まれるより前に亡くなっていたから、死や別れは縁遠いものだった。
季節の節目に家族に連れられて先祖の墓参りには行っても、そういう習慣だから手を合わせていただけ。
会ったこともない似顔絵も残っていない他人に、思い出話を聞いたこともない他人に、思い入れを持つのは難しかった。
(もう戻れないなんて、考えたくない、考えてはいけない。ダメだ。だめだ)
これからずっとひとりぼっちだなんて、耐えられない。
顔見知りも幼なじみもいるけれど、一番大切な家族も親友もここにはいないのだ。
ここにいる五人は、兄弟ではないし、幼なじみや仲良しや親友だったわけでもない。
顔と名前は知っていても一緒に遊んだことのない相手もいる。
(あぁ、昼間の明るさは、嫌だ)
日が短くなっている時期だが、まだ空は明るい。
赤みも差していない。
冬場は雨が極端に少なくなるのは村と一緒のようで、空にはうっすらと白い雲がところどころにあるだけだ。
言葉も通じる。
文化の違いはあるが、摩擦や亀裂が生じるほどではない。
風向きが変わり、おいしそうな香りが漂ってきた。
ニクスが大鍋から小鍋に煮込みを移して温め直してくれていた。
作ったのは彼ではなく、シシャルだろう。
シシャルが作る料理は、お世辞にも見た目はおいしそうじゃない。
むしろ、湯気と良い香りがなかったら絶対に食べたくないくらいどろどろでまずそうだ。
火加減の調整は苦手なようで、多少強火でも弱火でもなんとかなる煮込み料理以外は滅多に作らない。
この家の食事は主に煮物とパンで、たまに屋台で買ってきた料理が並ぶ。
「おはよー」
桶の水を片付けたあたりで、他の子たちが起きてきた。
朝が一番調子の悪そうな子もいる。
元気いっぱいで起きてくるのなんて一人もいない。
夢見が悪いのは、きっと自分だけではない。
けれど、共有するつもりはない。
弱いところは、見せたくない。
「おはよう。ご飯食べる?」
自分たちと同年代の子供に見えるが精霊なニクスに声をかけられ、うなずく。
人間たちにとっての昼食が自分たちにとっての朝食。いつも煮込みが普通な家だから、量を調整すればさほど問題は起こらない。
「食べる。みんなもご飯食べられるか?」
「あー、うーん。たべるぅー」
寝ぼけている子が最初に返事し、他の三人も食べると続いた。
ニクスは作り置きをしてある鍋に向かい、熱々ではないが冷めてもいない煮込みと、買い置きのぺらぺらした黒っぽいパンを用意して食卓に並べてくれる。
昼間だからか、シシャルとカユシィーとドレの姿はない。
(たしか、久々に三人で魔物討伐に行っているんだっけ)
魔物討伐で金稼ぎという感覚は、いまだに分からない。
村があったのは森の中だけど、暗黒の森の中ではなかった。
だから、魔物もいなかった。
一番危険な野生動物は熊で、次に危険なのがイノシシという森だった。
もしかすると、イノシシ狩りの人間と村人がうっかり鉢合わせしてしまい、村の存在が知られてしまったのかもしれない。
今代の村隠しの術者たちはいまいち力が強くないと、長老たちが心配していたのを思い出す。
(違う。悪いのは、神聖騎士って連中だ。村のみんなは誰も悪くない。不運が重なって、悪い奴に目を付けられただけ。不運であることを罪にしちゃダメだ)
悪夢を見たからといって、その時のわけ分からない脈絡もない展開の中で生まれた感情を現実に引きずってはいけない。
(きっと、みんな、無事だ)
信仰している神は遠い遠い昔に殺されてしまったというけれど。
神はいなくとも神の加護は残り、亡き先祖も村を守ってくれていると、言い伝えられている。
「いただきまーす」
五人そろって食卓に着き、見た目は悪いがおいしいご飯を食べる。
おいしいけれど、慣れた味に近いけれど、同じではない。
そのことが寂しさを強くするけれど、顔には出さない。
五人の子供たちは、故郷に帰れればめでたしではない。
故郷が無事で、家族が無事でも、どうして襲われたか分からないままだと同じことがまた起こるかもしれない。
そう聞いて、怖くなった。
それを聞いて以来、みんなの前で帰りたいと泣ける子はいなくなった。
悪夢の中には、家族も友人もご近所さんもみんな無事で、村も何事もなかったようで、無事を喜び合っておみやげ話をしていたら、あの人同じ襲撃が起こってみんな殺されるという、どうしようもなく救いのない内容もあった。
故郷は見つかったが誰もいなくなっていて、呆然としていたら神聖騎士たちが現れて追いかけてきた悪夢も見た。
家族は無事で再会を喜んでいたら神聖騎士に襲われて、殺される寸前に目が覚めたこともあった。
最年長の彼女でさえ、まだ十歳になっていない。
闇属性であることを隠す術も持っていないし、人間に化ける術もない。
自分たちで真相を突き止めるのは不可能だ。
「ごちそうさま」
心はぐちゃぐちゃでも、まだ食欲はある。
身体は食べ物を受け付けてくれる。
きれいに完食して、食器を流し台に片付ける。
「さてと。兄ちゃん。何したらいいー?」
明るく、がさつに、いつも通り。
吐く息が白くなり始めたことさえも気付かないように、声を上げた。
きっと、ニクスは、ぐちゃぐちゃな感情を察した上で、何事もなかったかのように接してくれている。
見た目は年が近そうなのに、長老たちと接しているようだった。
けれど、最近はそれぞれの好みや興味や得意に合わせて動くようになってきた。
彼女の場合、手持ちぶさたでいると悪い想像ばかり膨らんでしまうから、積極的に家事のお手伝いをするようになった。
故郷にいた頃の趣味をここでするのは難しいという理由もあった。
副隊長ドレは、文句一つ言わずに働く子供を気に入ったようで、ヒマを見てはいろいろなことを教えてくれる。
だからといって、心が軽くなることはないし、悪夢を見ない日もない。
たとえ歩いていける距離に家があったとしても、今は帰れないのだから。
「はぁー……」
彼女は、他の子たちより早く起きる。
悪夢を見て飛び起きているわけではなく、怯える顔を、絶対に見られたくなかったから。
外に出て顔を洗う。
昼間の一番暖かい時間はともかく、夕方になると吐く息が白くなる。
当然、水は刺すように冷たい。
(帰りたい……。みんなと一緒に踊って騒いで、家族と一緒にお祝いのご飯を食べたい)
ちょっと特別ではあったが、楽しみではあったが、毎年のことだからさほど大事には思ってこなかった新年の習わし。
彼女の家は家族全員健康で、祖父母も元気で、曾祖父母は彼女が産まれるより前に亡くなっていたから、死や別れは縁遠いものだった。
季節の節目に家族に連れられて先祖の墓参りには行っても、そういう習慣だから手を合わせていただけ。
会ったこともない似顔絵も残っていない他人に、思い出話を聞いたこともない他人に、思い入れを持つのは難しかった。
(もう戻れないなんて、考えたくない、考えてはいけない。ダメだ。だめだ)
これからずっとひとりぼっちだなんて、耐えられない。
顔見知りも幼なじみもいるけれど、一番大切な家族も親友もここにはいないのだ。
ここにいる五人は、兄弟ではないし、幼なじみや仲良しや親友だったわけでもない。
顔と名前は知っていても一緒に遊んだことのない相手もいる。
(あぁ、昼間の明るさは、嫌だ)
日が短くなっている時期だが、まだ空は明るい。
赤みも差していない。
冬場は雨が極端に少なくなるのは村と一緒のようで、空にはうっすらと白い雲がところどころにあるだけだ。
言葉も通じる。
文化の違いはあるが、摩擦や亀裂が生じるほどではない。
風向きが変わり、おいしそうな香りが漂ってきた。
ニクスが大鍋から小鍋に煮込みを移して温め直してくれていた。
作ったのは彼ではなく、シシャルだろう。
シシャルが作る料理は、お世辞にも見た目はおいしそうじゃない。
むしろ、湯気と良い香りがなかったら絶対に食べたくないくらいどろどろでまずそうだ。
火加減の調整は苦手なようで、多少強火でも弱火でもなんとかなる煮込み料理以外は滅多に作らない。
この家の食事は主に煮物とパンで、たまに屋台で買ってきた料理が並ぶ。
「おはよー」
桶の水を片付けたあたりで、他の子たちが起きてきた。
朝が一番調子の悪そうな子もいる。
元気いっぱいで起きてくるのなんて一人もいない。
夢見が悪いのは、きっと自分だけではない。
けれど、共有するつもりはない。
弱いところは、見せたくない。
「おはよう。ご飯食べる?」
自分たちと同年代の子供に見えるが精霊なニクスに声をかけられ、うなずく。
人間たちにとっての昼食が自分たちにとっての朝食。いつも煮込みが普通な家だから、量を調整すればさほど問題は起こらない。
「食べる。みんなもご飯食べられるか?」
「あー、うーん。たべるぅー」
寝ぼけている子が最初に返事し、他の三人も食べると続いた。
ニクスは作り置きをしてある鍋に向かい、熱々ではないが冷めてもいない煮込みと、買い置きのぺらぺらした黒っぽいパンを用意して食卓に並べてくれる。
昼間だからか、シシャルとカユシィーとドレの姿はない。
(たしか、久々に三人で魔物討伐に行っているんだっけ)
魔物討伐で金稼ぎという感覚は、いまだに分からない。
村があったのは森の中だけど、暗黒の森の中ではなかった。
だから、魔物もいなかった。
一番危険な野生動物は熊で、次に危険なのがイノシシという森だった。
もしかすると、イノシシ狩りの人間と村人がうっかり鉢合わせしてしまい、村の存在が知られてしまったのかもしれない。
今代の村隠しの術者たちはいまいち力が強くないと、長老たちが心配していたのを思い出す。
(違う。悪いのは、神聖騎士って連中だ。村のみんなは誰も悪くない。不運が重なって、悪い奴に目を付けられただけ。不運であることを罪にしちゃダメだ)
悪夢を見たからといって、その時のわけ分からない脈絡もない展開の中で生まれた感情を現実に引きずってはいけない。
(きっと、みんな、無事だ)
信仰している神は遠い遠い昔に殺されてしまったというけれど。
神はいなくとも神の加護は残り、亡き先祖も村を守ってくれていると、言い伝えられている。
「いただきまーす」
五人そろって食卓に着き、見た目は悪いがおいしいご飯を食べる。
おいしいけれど、慣れた味に近いけれど、同じではない。
そのことが寂しさを強くするけれど、顔には出さない。
五人の子供たちは、故郷に帰れればめでたしではない。
故郷が無事で、家族が無事でも、どうして襲われたか分からないままだと同じことがまた起こるかもしれない。
そう聞いて、怖くなった。
それを聞いて以来、みんなの前で帰りたいと泣ける子はいなくなった。
悪夢の中には、家族も友人もご近所さんもみんな無事で、村も何事もなかったようで、無事を喜び合っておみやげ話をしていたら、あの人同じ襲撃が起こってみんな殺されるという、どうしようもなく救いのない内容もあった。
故郷は見つかったが誰もいなくなっていて、呆然としていたら神聖騎士たちが現れて追いかけてきた悪夢も見た。
家族は無事で再会を喜んでいたら神聖騎士に襲われて、殺される寸前に目が覚めたこともあった。
最年長の彼女でさえ、まだ十歳になっていない。
闇属性であることを隠す術も持っていないし、人間に化ける術もない。
自分たちで真相を突き止めるのは不可能だ。
「ごちそうさま」
心はぐちゃぐちゃでも、まだ食欲はある。
身体は食べ物を受け付けてくれる。
きれいに完食して、食器を流し台に片付ける。
「さてと。兄ちゃん。何したらいいー?」
明るく、がさつに、いつも通り。
吐く息が白くなり始めたことさえも気付かないように、声を上げた。
きっと、ニクスは、ぐちゃぐちゃな感情を察した上で、何事もなかったかのように接してくれている。
見た目は年が近そうなのに、長老たちと接しているようだった。
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