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1章 特殊筋肉奇襲部隊
幻想(ファンタジー)と現実(リアル)
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ふっ、っと意識が戻った。天井を見ている。無機質なコンクリート的材質だ。
どこ?
あ、そっか。
なんか変な所……来たんだっけか。
「はぁ…」っと思わずため息が出る。夢じゃなかったんかい……
これが現実であることの証明のように、先ほど鳥(バサバサいってたからどうせ鳥だろ、とにかくでっかかったが)のかぎ爪にガッチリつかまれた感触が残っている。
あーー、怖かったぁぁぁ……。
テーマパークの恐怖の塔を思い出してしまった。一度乗ったことがあるが、なんというか、落下系アトラクション特有の「ふわっ」とする感覚__言ってしまえば”玉ヒュン”の感覚がやっぱり無理なんだよなああ……
「本当の死」を前にすると一層恐怖が増すな…これは夢に出てきそうだ。
「お、起きたね」
もうこの声も聞き覚えのあるものになってきた。グルカさんだ。
「さっきのと疲れで気絶しちゃってたみたいだよ、生きててよかったねー」
本当に死ぬところだったのだからシャレにならないのだけど…俺は苦笑いを浮かべた。多分相当ひきつっている。
「本当にありがとうございました……ホンキで死ぬところでした」
急に変な所に連れてきたり急に腹パンしてきたりと、よくわからんし正直いい印象のない人だったけど、俺を助けてくれたのは事実だ。……多分でっかいヤツの首折って殺したんだろうけど。
「危なかったねえ、最近魔物なんて来てなかった上に今までないタイプの攻め方だったから、私がたまたま窓際に居なかったら死んでたねー」
……。
結構けろっというもんだから俺は肝が冷えた。ここでは死、あるいは危険は身近なものなのだろうか?
俺の表情から何か察したのか、
「あー、大丈夫だよ!私の意識の及ぶ範囲なら、私以外の理由で負傷することはないからねっ!」
と励ましてきた。自身がふつうじゃない自覚はあるのかもしれない。が、自分がおかしいことを言っている自覚は大してないのかも……
マジでこの人は何者なんだろう…完全に女性ではある。髪は肩につかないくらいの濃いバターブロンド(黄色みの強い金髪)、瞳はまんまるで大きい瞳には多くの光を受けて輝いている。わりと日本人よりの顔立ちで、その雰囲気を含めてあどけない印象をもたせる。クラスにいたら「かわいい」と隠れファンができそうな感じだ。
でも腹パンを、しかも男性ビルダーをダウンさせるほどしっかり重いのを躊躇なくぶち込んでくるし、肩幅がデカい…頸が太い…ここまでアンバランス(というと失礼だが)でユニークな人、なかなかいないだろうなぁ…
「あの、どうしてあんな高いところにいたんですか」
やっぱり気になる。どんな人間にも物理法則は適用される…はず。わかんねぇけど!ここ異世界っぽいし!!
「跳んだんだよね」
「跳んだんですか…
…10数メートルも?」
…四階のその上でっせ?
「いや、私三階から跳んだから…そんなにだよ。えーっと…4~5めーとるくらい?」
あ、そっか、ここだとそもそもの単位が違う……けど「こっちから来た人」がいるから文意が伝わっているのか。
「……いや4,5mも垂直に跳ぶのがおかしいんですよ」
「いやあ、まあそれは……訓練に慣れてくればいけるよぉ」
ないっすよぉそんなのぉ~~なんて言いたくなったが流石にやめた。なんせ証拠はもう出ている。それに命を救われたのだから。
「なんか大丈夫そうだね、一回立ってみて」
ベッドからでてみた。というか俺はベッドの上だったのか。硬いなこれ。
問題なかったので俺らはサカキさんらと合流することにした。
合流してから、今までのことについて多少の説明を受けた。
「おお、タケだいじょぶかよおめぇ」
「今回君に襲いかかったのは『魔物』だな。この世界には地球と同じ『一般生物』と、魔法を主体に生きる『魔法生物』がいて、人間に害をなすものもいれば無関心なもの、さらには相利(互いにメリットを与える)をするものもいる。そしてこれらをその個体や群れのスケールから『魔物』と『魔獣』に分けている。危険な魔獣は大災害レベルの被害をもたらす」
まじでファンタジーの世界じゃないか…。問題はプレイヤーが俺たちってことだ。やだよ化け物と戦うの。俺なんて猛禽類に肩掴まれてそのままあの世行きになるところだったんだぞ…ん?ここで死んだらどうなるんだ??
なんて考えている俺をよそに、
「俺たちってなんかビームとか出せるんすか?」
隣の内田がこれまた能天気な質問をした。しかしこれは結構大事な質問だ。この世界に来たことで俺たちにも何かが「発現」しているかもしれない。モノによっては生き残るどころか化け物退治だって…
「いや、来訪者達にそういったものは発現しない」
ガンッ、と重いもので小突かれた気分だ。ないの?!ないかぁ…
「あの男、尾倉理太郎が言うには、『この世界は基本的に地球と酷似しているが、一点根本的な違い_程度を問わずほぼすべての物質に”魔法”を生み出す因子が含まれている』そうだ。そしてこの地域はその因子の存在量が極端に少ない。いうなれば”痩せた土地”というわけだ」
俺たちを含めて、周りの空気が少し張り詰めたのを感じる。
「人に、街に、自然に、水に森に土に鉄に_その因子は含まれている。この世界の住人はそれを糧にして生きているわけだが、それが極端に少ないというのは最大の地理的不利をもたらす。国力も当然低い_食料も育ちにくく人口も増えない、技術力も軍事力も不十分だからだ」
たまたま通りかかった事務員らしき女性が、うつむいて足早に通り過ぎていった。小声で話しているが、内容は現地の人が聞いてよく思うものではない。サカキさんはずいぶんはっきりとモノを言うタイプなのかもしれない…。
「当然、周囲の国からは狙われる。私たちはちょうど『軍国主義』の流れが生まれた時代に来たようだ、先進国の技術の発展に伴い、今まで植民地支配の動きが顕著になった」
だんだん分かってきた。この国は、今侵攻されている・あるいはそれの標的になろうとしているんだ。
「ウチと対照的に、魔力(魔法因子などを指す慣用的表現)が豊富なのがエトリアの西に存在する広大な『アレス帝国』」これに付け加えたのはグルカさんだ。
「世界一の大帝国と呼ばれてる。でもエトリア西部にはホーキスト山脈っていう数千mの山脈があって、アレス側は断崖絶壁になっていてまず超えられやしなかったんだ。加えてアレス帝国領も山脈付近には魔力が薄いから生活に適していない。そのあたり自体が放置されていたんだよ」
「加えてエトリアの南と東は広大な海しかない。といってもそう遠くない未来、海の向こうから異国の民がやってくるだろうがな」
”何と戦うというのか”_俺の疑問への答えは今のにあらかた詰まっていた。
人間を襲う魔物に魔獣、そして帝国の侵略…正直聞きたいことだらけだけど、この人たちの目的はわかってきた。
ここは軍隊のようなものか。彼らは乏しい資源で絶えず危険から自分たちの生活を守っている。そして反魔法物質は現状を解決する切り札になるかもしれない。
…というかさっきの地理の説明あんまり覚えられなかったな。あとで地図を見せてもらおう。
「まぁ、足りない所はあると思うがそんなところだ……そろそろ時間だな」
サカキさんが出口側に向かい歩きだした。時計もないのに時間わかるんだ…
「お、もうそんな時間か…あっ、てかさ、二人も一緒に行っちゃえば?元気でしょ?」
サカキさんが歩きながら振り返った。
「そうですね、一度顔合わせも必要ですし」
「え、ん?何をするんですか??」
「パトロール兼ロードワーク兼新人歓迎会兼研修兼地域の方々への挨拶周りだ」
めっちゃ真面目な顔してゆうてますけど、……兼すぎじゃなぁい???
どこ?
あ、そっか。
なんか変な所……来たんだっけか。
「はぁ…」っと思わずため息が出る。夢じゃなかったんかい……
これが現実であることの証明のように、先ほど鳥(バサバサいってたからどうせ鳥だろ、とにかくでっかかったが)のかぎ爪にガッチリつかまれた感触が残っている。
あーー、怖かったぁぁぁ……。
テーマパークの恐怖の塔を思い出してしまった。一度乗ったことがあるが、なんというか、落下系アトラクション特有の「ふわっ」とする感覚__言ってしまえば”玉ヒュン”の感覚がやっぱり無理なんだよなああ……
「本当の死」を前にすると一層恐怖が増すな…これは夢に出てきそうだ。
「お、起きたね」
もうこの声も聞き覚えのあるものになってきた。グルカさんだ。
「さっきのと疲れで気絶しちゃってたみたいだよ、生きててよかったねー」
本当に死ぬところだったのだからシャレにならないのだけど…俺は苦笑いを浮かべた。多分相当ひきつっている。
「本当にありがとうございました……ホンキで死ぬところでした」
急に変な所に連れてきたり急に腹パンしてきたりと、よくわからんし正直いい印象のない人だったけど、俺を助けてくれたのは事実だ。……多分でっかいヤツの首折って殺したんだろうけど。
「危なかったねえ、最近魔物なんて来てなかった上に今までないタイプの攻め方だったから、私がたまたま窓際に居なかったら死んでたねー」
……。
結構けろっというもんだから俺は肝が冷えた。ここでは死、あるいは危険は身近なものなのだろうか?
俺の表情から何か察したのか、
「あー、大丈夫だよ!私の意識の及ぶ範囲なら、私以外の理由で負傷することはないからねっ!」
と励ましてきた。自身がふつうじゃない自覚はあるのかもしれない。が、自分がおかしいことを言っている自覚は大してないのかも……
マジでこの人は何者なんだろう…完全に女性ではある。髪は肩につかないくらいの濃いバターブロンド(黄色みの強い金髪)、瞳はまんまるで大きい瞳には多くの光を受けて輝いている。わりと日本人よりの顔立ちで、その雰囲気を含めてあどけない印象をもたせる。クラスにいたら「かわいい」と隠れファンができそうな感じだ。
でも腹パンを、しかも男性ビルダーをダウンさせるほどしっかり重いのを躊躇なくぶち込んでくるし、肩幅がデカい…頸が太い…ここまでアンバランス(というと失礼だが)でユニークな人、なかなかいないだろうなぁ…
「あの、どうしてあんな高いところにいたんですか」
やっぱり気になる。どんな人間にも物理法則は適用される…はず。わかんねぇけど!ここ異世界っぽいし!!
「跳んだんだよね」
「跳んだんですか…
…10数メートルも?」
…四階のその上でっせ?
「いや、私三階から跳んだから…そんなにだよ。えーっと…4~5めーとるくらい?」
あ、そっか、ここだとそもそもの単位が違う……けど「こっちから来た人」がいるから文意が伝わっているのか。
「……いや4,5mも垂直に跳ぶのがおかしいんですよ」
「いやあ、まあそれは……訓練に慣れてくればいけるよぉ」
ないっすよぉそんなのぉ~~なんて言いたくなったが流石にやめた。なんせ証拠はもう出ている。それに命を救われたのだから。
「なんか大丈夫そうだね、一回立ってみて」
ベッドからでてみた。というか俺はベッドの上だったのか。硬いなこれ。
問題なかったので俺らはサカキさんらと合流することにした。
合流してから、今までのことについて多少の説明を受けた。
「おお、タケだいじょぶかよおめぇ」
「今回君に襲いかかったのは『魔物』だな。この世界には地球と同じ『一般生物』と、魔法を主体に生きる『魔法生物』がいて、人間に害をなすものもいれば無関心なもの、さらには相利(互いにメリットを与える)をするものもいる。そしてこれらをその個体や群れのスケールから『魔物』と『魔獣』に分けている。危険な魔獣は大災害レベルの被害をもたらす」
まじでファンタジーの世界じゃないか…。問題はプレイヤーが俺たちってことだ。やだよ化け物と戦うの。俺なんて猛禽類に肩掴まれてそのままあの世行きになるところだったんだぞ…ん?ここで死んだらどうなるんだ??
なんて考えている俺をよそに、
「俺たちってなんかビームとか出せるんすか?」
隣の内田がこれまた能天気な質問をした。しかしこれは結構大事な質問だ。この世界に来たことで俺たちにも何かが「発現」しているかもしれない。モノによっては生き残るどころか化け物退治だって…
「いや、来訪者達にそういったものは発現しない」
ガンッ、と重いもので小突かれた気分だ。ないの?!ないかぁ…
「あの男、尾倉理太郎が言うには、『この世界は基本的に地球と酷似しているが、一点根本的な違い_程度を問わずほぼすべての物質に”魔法”を生み出す因子が含まれている』そうだ。そしてこの地域はその因子の存在量が極端に少ない。いうなれば”痩せた土地”というわけだ」
俺たちを含めて、周りの空気が少し張り詰めたのを感じる。
「人に、街に、自然に、水に森に土に鉄に_その因子は含まれている。この世界の住人はそれを糧にして生きているわけだが、それが極端に少ないというのは最大の地理的不利をもたらす。国力も当然低い_食料も育ちにくく人口も増えない、技術力も軍事力も不十分だからだ」
たまたま通りかかった事務員らしき女性が、うつむいて足早に通り過ぎていった。小声で話しているが、内容は現地の人が聞いてよく思うものではない。サカキさんはずいぶんはっきりとモノを言うタイプなのかもしれない…。
「当然、周囲の国からは狙われる。私たちはちょうど『軍国主義』の流れが生まれた時代に来たようだ、先進国の技術の発展に伴い、今まで植民地支配の動きが顕著になった」
だんだん分かってきた。この国は、今侵攻されている・あるいはそれの標的になろうとしているんだ。
「ウチと対照的に、魔力(魔法因子などを指す慣用的表現)が豊富なのがエトリアの西に存在する広大な『アレス帝国』」これに付け加えたのはグルカさんだ。
「世界一の大帝国と呼ばれてる。でもエトリア西部にはホーキスト山脈っていう数千mの山脈があって、アレス側は断崖絶壁になっていてまず超えられやしなかったんだ。加えてアレス帝国領も山脈付近には魔力が薄いから生活に適していない。そのあたり自体が放置されていたんだよ」
「加えてエトリアの南と東は広大な海しかない。といってもそう遠くない未来、海の向こうから異国の民がやってくるだろうがな」
”何と戦うというのか”_俺の疑問への答えは今のにあらかた詰まっていた。
人間を襲う魔物に魔獣、そして帝国の侵略…正直聞きたいことだらけだけど、この人たちの目的はわかってきた。
ここは軍隊のようなものか。彼らは乏しい資源で絶えず危険から自分たちの生活を守っている。そして反魔法物質は現状を解決する切り札になるかもしれない。
…というかさっきの地理の説明あんまり覚えられなかったな。あとで地図を見せてもらおう。
「まぁ、足りない所はあると思うがそんなところだ……そろそろ時間だな」
サカキさんが出口側に向かい歩きだした。時計もないのに時間わかるんだ…
「お、もうそんな時間か…あっ、てかさ、二人も一緒に行っちゃえば?元気でしょ?」
サカキさんが歩きながら振り返った。
「そうですね、一度顔合わせも必要ですし」
「え、ん?何をするんですか??」
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