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1章 特殊筋肉奇襲部隊
異界の地 Ⅱ
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この世界は今春なのだろうか。
あたり一面が深緑の原っぱで、所々に黄色、赤、紫、青、というふうに色とりどりの小さな花が咲いている。
まさに天国のような光景だった。
都会ではなかなか見られないだろう。
やがて街が近づいてきた。森から見て想像していたものよりもずっと大きい。
「なんか中世ヨーロッパみてえだな」
中世もヨーロッパも実際どんなものかは知らないけれど何となく感じた事を言ってみる。
「なんか城に王冠かぶった白ひげの王様いそうだな」
内田も乗ってくる。
まさにファンタジーという言葉が似合う場所だ。
なかなかメルヘンチックな場所ではあったが、それなりに事件は起こるらしい。
都市を取り囲むちょっとした壁を通ると、早速市場で賑わっていた。
と、思った矢先、俺たちの方へ1人の男が疾走してくる。
男の後ろからは店員の助けを呼ぶ声。
盗みの類だろうか。
「どこの世界にも悪い奴はいるもんだねぇ」
内田が呑気に言いながら男の進行方向に立ち塞がる。
突如視界にマッチョマンが入り込み、やや困惑した男だったが、逃げるスピードは変わらない。
「どけ!邪魔だ!」
俺たちの横を通り過ぎようとしたのだが...
「おおっと、待ちなって」
内田は右足を後ろにして男と押し合う体勢になった。
「う...ぐ...!?」
そのまま通り抜けようとしていた男だったが、内田は押しても引いても全く動かない。
まるで壁だ。
内田の不敵な笑みに組み合った男がたじろぐ。
やがて少しずつ強く押し始めた内田は男を自分で覆いかぶせるように押し込んだ。
「うおっ...!?は、離せ...!」
「おいおい、自分から来といてそれはねーんじゃねえのか?」
間も無くして男は押さえつけられた。
苦しそうにもがいているが、取り押さえている内田はビクともしない。
そこに店員が駆けつけてきた。
「ありがとうございます!助かりました!」
内田に頭を下げると、ぐったりとした男を連れて店へ戻っていった。
「盗みなんてするもんじゃねえな、まったく」
2人を見届けながら内田がいう。
まったく相変わらず凄いヤツだ。
だから俺はこいつに勝てないのだろう。
この時、近くで内田(と俺?)を興味深かそうに眺めていた男がいた事に俺たちは気づいていなかった。
あたり一面が深緑の原っぱで、所々に黄色、赤、紫、青、というふうに色とりどりの小さな花が咲いている。
まさに天国のような光景だった。
都会ではなかなか見られないだろう。
やがて街が近づいてきた。森から見て想像していたものよりもずっと大きい。
「なんか中世ヨーロッパみてえだな」
中世もヨーロッパも実際どんなものかは知らないけれど何となく感じた事を言ってみる。
「なんか城に王冠かぶった白ひげの王様いそうだな」
内田も乗ってくる。
まさにファンタジーという言葉が似合う場所だ。
なかなかメルヘンチックな場所ではあったが、それなりに事件は起こるらしい。
都市を取り囲むちょっとした壁を通ると、早速市場で賑わっていた。
と、思った矢先、俺たちの方へ1人の男が疾走してくる。
男の後ろからは店員の助けを呼ぶ声。
盗みの類だろうか。
「どこの世界にも悪い奴はいるもんだねぇ」
内田が呑気に言いながら男の進行方向に立ち塞がる。
突如視界にマッチョマンが入り込み、やや困惑した男だったが、逃げるスピードは変わらない。
「どけ!邪魔だ!」
俺たちの横を通り過ぎようとしたのだが...
「おおっと、待ちなって」
内田は右足を後ろにして男と押し合う体勢になった。
「う...ぐ...!?」
そのまま通り抜けようとしていた男だったが、内田は押しても引いても全く動かない。
まるで壁だ。
内田の不敵な笑みに組み合った男がたじろぐ。
やがて少しずつ強く押し始めた内田は男を自分で覆いかぶせるように押し込んだ。
「うおっ...!?は、離せ...!」
「おいおい、自分から来といてそれはねーんじゃねえのか?」
間も無くして男は押さえつけられた。
苦しそうにもがいているが、取り押さえている内田はビクともしない。
そこに店員が駆けつけてきた。
「ありがとうございます!助かりました!」
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「盗みなんてするもんじゃねえな、まったく」
2人を見届けながら内田がいう。
まったく相変わらず凄いヤツだ。
だから俺はこいつに勝てないのだろう。
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