ある雨の朝

継津 互

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秋雨の恋煩い

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 屋根をたたく雨粒に、目が覚める。
 普段はこんな時間に起きれないのに、秋雨のいたずらだろうか。

 閉めきった遮光カーテンを開くと、その奥は草ののびた庭が広がっていた。
 荒れている、だがそれも今は天からやってきた水の子たちのおかげで少し神秘的に見えた。

 どうしているかな。

 ととん、とん、となる雨音に、ふと君思う。

 思考に隙間をつくると、鬱陶しいほど君のことで頭が満ちていく。
 甘酸っぱいというが、自分には苦しみにしかならない。

 忘れたい。
 この感情を消してしまいたい。
 それなのに、そう思うほど思いは募る。
 燃えて燃えて、どうしようもないほど強く。

 君には私よりもっといい人がいるはず、だから私が近づいてはいけない。 
 私に好きになられて、君は迷惑をかけられてるね。

 話しかけられるたび、胸は高鳴る。
 他の子と話しているとき、胸のうちにもやがかかる。
 目線が合うだけで、胸はきゅっと音をたてる。

 それを全ておしこんで。

 きっと私じゃ君には似合わないし、君には確か好きな子がいたから。
 隣のクラスで、あまり話したことがない子だっけ、私は同じクラス。

 名前は知らないけど、知った時はちょっと痛かった。
 淡い期待を抱いていた自分を叱った。

 はぁ、と大きくため息をつく。

 暇潰しにとスマホの電源を入れると、誰からかLINEが届いていた。
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