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本編
であい
しおりを挟むポジティブな考え方で。
そうしていればきっと、楽しいから。
◆
休日の午後。
液タブを前に、作業中だというのにうつらうつらとしていると、突然、盛大にガラスが割れる音がして、なにかが壁に叩きつけられた。
「へっ!?」
びくっとして目が覚める。
振り向くと、曲がった窓枠と床に散乱するガラス片、そして壁に、家具に、カーペットに飛び散った真っ黒な墨のようなものが目にはいる。
まるで事件現場みたいな。
壁にはずるずるすったようなあとがあり、その先にはこれまた真っ黒な塊があった。
目の前の惨状を嘆く前に、その塊へと駆け寄る。
え、と思わず声をあげてしまったその姿は、どう見ても魚だった。
鯖?サイズ的にはそんなものだ。
だが鯖がこんな陸で……海からは随分と遠いこんなところで、しかも人一人通れそうな大穴をあけて部屋にとんでくるだろうか?
銀色の目が濁りだしていて、死にかけと言うことがわかる。
死んだらどうするかを先に考え出す。
もしかしたら乱暴だけど、鯖を誰かが届けてくれたのかも。
だがこんな得体の知れぬ真っ黒な鯖、誰が食べると言うのだろう?
とりあえず水……と、キッチンから桶に水を入れて持ってくると。
割れていたはずのガラスはもとに戻り、天井付近まで飛び散っていた墨のようなものは消えていた。
そして鯖がいたところには、気絶している男性が、倒れていたのである。
何が起きているのかわからず、彼女は桶をもったまま頭を抱えた。
風に散った落ち葉が、蜘蛛の巣にひっかかりゆれていた。
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