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第20話 猫脚、差し脚、忍び脚

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「あら、あれは何かしら」

真っ白いふわふわとしたひと塊の綿毛が萌葱色をした垣根の下に落ちている。

それは一陣の山颪に吹かれると、ぎゅと縮まった。

「猫かしら、それとも兎?」

こんな山奥だ。いるとしたら猿や猪、熊などの野性動物くらいなもので、警戒心のつよい兎などは気配を察した時点で文字通り脱兎のごとく逃げ出している。ゆえに前者だろう。

長いこと使われていなかったという離宮ならば野良猫にとっていいねぐらだったに違いない。

そこへ人間がわらわらとやってきて縄張りを荒らされたあげく、トンテンカンテン修繕による騒音と、この上もなくいい迷惑だったはずだ。

「ごめんなさいね、静かに休んでいたところへずかずかとやってきて。騒がしかったでしょう? それも三日の辛抱だから、どうか許してね」

当然のことながら猫からの返答はない。

この離宮は恐山をしばらく下った先の中腹部、鬱蒼とした森の中にひっそりとある。

かつては豪奢で煌びやかだったろう外観は風化されるがままに壮絶な有り様であった。



『ボロいわね』

『ボロというより廃墟ですよ。絶対に出ますよ』

『出るってもしかしてアレのこと? 』

『ぇぇ。こういう廃墟とかを好んで集まると昔からよく言いますし。離宮がこれほど荒廃するからには、以前ここで何かがあったから、とか?』

『ちょっと風鈴! 怖いこと言わないでよ。これからここに泊まるのよ? 夜ひとりでお手洗いに行けなくなったら、風鈴を叩き起こして一緒に連れていくわよ!』

『ぇぇ、いいですとも。わたくしの時もどうぞよろしくお願いしますね』

『あら? いい度胸ね。このわたしを叩き起こしてお手洗いに行くつもりだなんて。別にいいわよ? 扉の向こうから、ずぅぅぅと、助けて、ぐすん、とすすり泣いてあげるわ』

『…………。なんと陰険な嫌がらせ。出るものも出なくなります』

『どっちがよ! 出なくて結構よ。次はひとりで行ってね。二度もついていくなんてわたしはやぁよ』

この主人にしてこの侍女ありで、どっこいどっこいの口汚さ。

あきれかえって二の句が告げられずにいる風鈴はあっさりと引き下がった。

『なんと大人げない』

やれやれと肩をおとした。
軍配のあがった麗凜は得意げに口の端をあげる。

『それはどうもありがとう。賛辞として受け取っておくわ』

フンと鼻を鳴らして軽くいなしてみせたと思いきや、それだけでは終わられず二人の背後から美声があびせられた。

『ホント伎玉は楽しませてくれるね、君は天才だよ』

はは、と笑声をあげたのは煌禿だ。

煌禿はいつの間にやら馬車を下車して朽ち果てた門扉をくぐって苔むした石畳の途を颯爽と歩いてくる。

『これは皇子様』

弾かれたように風鈴は礼をとりながら居ずまいをただした。
これだけなら女官のさらに上位にある筆頭女官の鏡だ。
片膝をついて拱手して、従順なる侍女としての立ち居振舞いをこなしてみせた。

『…………』

呆れた。敵前逃亡をはかり、麗凜としては見捨てられた子羊のようである。

もぅ、と唸る。

皇子のもとに先ほどの洲公が報告に訪れ、席をはずすよう促された麗凜は、一足先に門扉を潜り、専従の女官への先触れのため風鈴とつれだってやってきた。

が、この惨憺たる有り様だ。
離宮を前にして立ち尽くし、皇子不在であることをいいことに、麗凜と風鈴は言いたい放題を繰り出したわけであるが、武術を幼少の砌よりたしなんできた皇子にとって気配を殺すことなど造作もない。

『大丈夫だよ。中はちゃんと手入れがされているはずだから』

ククッと喉の奥が鳴らされた。
おそらく冒頭のボロいのくだりから煌禿には聞かれていたよう。
悪意がない? いいぇ。だからたちが悪い。

『立ち聞きなんて酷いわ』

『これ、伎玉!』

そう叱ってみせた風鈴もさすがに罰が悪いそうで、ほほほ、と苦い笑いで一蹴してみせる。

『いいんだ。伎玉はだから。声をかけなかった僕に非がある。許してやれ』

『ですが…………』

そりゃそうよ。この有り様だもの、自らを肯定した。

煌禿から免罪符をもらってはこれ以上風鈴も叱りつけることができない。歯がゆそうだ。
あとでこっぴどく叱られる可能性は否定できないが、離宮を互いに酷評した仲だ。相見互い、痛み分けとなるだろう。めでたしめでたしだ。

『さ、中へ入ろう』

さりげなく麗凜の背にすっと手がそえられた。

『ーーぇ!?』

驚いて振り返った麗凜に対して煌禿は唇に指一本を押しあて、秋波が送られる。

ーーど、どうしよう。

おそらく風鈴からはその手は見えていない。

けれど、どうにも落ちつかない。

皇子の体温が伝わるかのようで、そこだけが熱い。
否応なしに皇子を意識させられる。

『…………』

、という単語にこめられた皇子の真意を麗凜は噛みしめることになった。

兄いがいの他の誰にもされたこともない。ましてや一度も相まみえることのなかった婚約者、前王、翔禿にさえも。

白くて美しい女人のような手。なれど、長い指は骨張って男の人特有のごつさ。

長年にわたり剣をふるい、鍛練に鍛練をかさね、切磋琢磨された兄のものによく似ている。

その手にそぐわぬ美しい端正な顔だちは、まるで神の手によって丹精こめて創造されたように美麗である。

その手の持ち主が今まさに麗凜の背でオスを主張してくるのだ。

『…………』

麗凜はその場に縫い止められたように固まってしまった。

『どうしたの?』

煌禿が悪戯っぽく眸を覗きこんでくる。

『…………』

麗凜の頬にカァと朱をつらした。

人目を逆手にとられている。
仮にも嫁入り前の娘にこんなことを!?

 キッと睨めつけると、煌禿は素知らぬ素振りで『皇女殿下を案内せよ』とぞんざいにいい放った。

『……な!?』

風鈴もさすがに何かしら察したのだろう。

けれど皇子の命をうけては従わずにはいられない。ちらりと麗凜を見、冴えない表情で踵をかえした。

『……で、では……』

ちょ、待って、行かないでーーーーという悲痛なる叫びが風鈴にとどくことはなかった。
とっとと踵を返して偽姫を迎えに行ってしまった。
裏切り者!

『…………』

こんな非道徳てき行為は許すまじ!!

麗凜は身を翻してバッと皇子の手を振り払った。

『皇子様!! 誰かに見られでもしたらどうするおつもりですか!?』

もぅ信じられないっ、プンプンと憤りつつ、心底どこか憎めないでいた。
それは皇子の迫真の演技によるものだろう。
オヨヨとよろめく。

『ごめん。君があまりにも可愛らしくて』

手套をおくびもなくきられたのでは怒りようもない。

『皇子様、あなたは確信犯ですか?』

はぁ、と嘆息を吐いた。
説教をたれる気力も萎えてしまう。

『ぁぁ、残念。邪魔者だ』

しばらくして軽装ながらも美しく着飾った偽皇女をともない、風鈴によって手をひかれ門扉をくぐって現れた。

ーーはて、邪魔者?

『皇女殿下をお連れしました』

『そうか。ご苦労。殿下、これより離宮のものに引き合わせましょう。ご用のさいはこの者らへお申し付けを。逗留中、ゆるりとお過ごされますように』

偽皇女が、ぇぇ、と返答するかしないかで、奥のほうからバタバタと忙しない足音が。

『これは皇子様。お待ち申し上げておりました』

出迎え現れたのは、品のよい老女。腰をかばいつつ丁重に腰をおる。

玉揺ぎょくよう、久方ぶりだな、息災であったか? しばらく厄介になる。まずは姫をお室へ案内せよ。さぞお疲れであろうから丁重にもてなすように』

そう言いおく。

久しぶり? 
というと、皇子はここへ訪れたことがあるのだろうか。
それとも後宮で働く宮女なれば老齢であることを理由に王族施設の管理へまわされることがる。この玉揺もそのひとりなのかもしれないが、顔見知りには違いない。

『僕はこのあと少し休むから、君たちは温泉を楽しんでおいで』

そう唐突に暇をだされ、暇潰しに離宮を散策しつつ現在にいたるのだった。



「猫ちゃん、おいで」

ちちち、と舌を鳴らす。

煌禿の言うとおり外観のボロさからは想像もおよばないほど内はキレイなもので、きちんと補修および修繕された箇所がみうけられ、回廊のちょっとした彫り物でさえ古びていながらも凝った造りである。

その一枚一枚をとくと眺めていくと、それらは紫耀の建国神話にも登場する混沌とした大地にはじめて根付いたとされる聖樹の一場面が切りとられものからはじまり、憬麟が立国されまでが彫られていた。

また別の回廊を渡ると、子供への脅し文句の筆頭である床下に潜んで子供をさらう妖怪の昔話が克明に彫られたものや、さらには天仙の言い伝えなども。ひとさしの彫り物でさえ凝った造りだ。

それらは一貫していないようでいて、それでいて見ている人を楽しませる仕掛けが随所にもりこまれており、陽が暮れるまで眺めていられるだろうそれらは離宮建造を命じた当時の王の人柄が偲ばれるようである。

「何かおびき寄せられるようなものはないかしら…………」

辺りを見回せど、猫の好むようなヒモや竿の類いでさえあるはずもなく。
腰ひもをふってみせる。ーーが、無反応。

「猫ちゃん、いい子ね、おいで」

根気よく呼びかけているうちに応じるようになった白い綿毛は、もぞもぞと垣根の下から顔をだし、二つの眼が麗凜を観察する。

「あなた、お腹はすいてない? いいものがあるのよ、ほら」

胸元から懐紙につつまれたそれを取り出して、膝をおり、さしだす。

「お饅頭よ。ほら、大丈夫よ、何もしないから」

と言いつつその半分は嘘になる。
今すぐにでも触れたくてうずうずとしている。

綿毛の塊は警戒心をとききれずに恐る恐る距離をつめてくる。

あと少し。あと一歩があまりにももどかしい。

じれったくて、しびれをきらした麗凜は少し固くなった饅頭を指でちぎり、それを綿毛へ放る。

ーーーーくん、と嗅いだ。

「美味しいわよ、食べてごらんなさい。まだいっぱいあるわよ、ほらほら」

誘われるがまま、気づけばそれは足元にまで寄ってきていた。
長い毛足にそっと触れる。

「ふわふわのモコモコね。猫ちゃんかと思ったけど、あなた、変わっているのね」

顔はどことなく犬っぽいし、尻尾が八本? いや、小さくはえかけのものもふくめれば九本ある。

「憬麟には珍しい動物がいるのね、あなたみたいな子、はじめて見たわ」

ちぎってやったそれらをあっという間にすべてたいらげた綿毛は、くぅんと鳴く。

「お礼なんていいのよ、律儀な子ね。おみやげにもう一つお饅頭をあげる。仲良くみんなで食べるのよ、いい? 独り占めせずに仲良くみんなでよ」

すると白い綿毛の塊は麗凜の手にすりよって、くんと嗅ぎ、仲間同士でするような鼻先でちょんとついてきた。

「懐かれちゃったみたいね。ますますワンコみたい。まるで手の甲に接吻でもされたみたいでくすぐったいわ。ーーーーあら、もう行くの?」

饅頭をくわえるとそれは踵をかえした。

「気をつけて山へ帰るのよ」

綿毛は返答をするかのように九尾をそよがせ、元いた垣根の下を器用にくぐる。

まったりとした良い時間だった。
バイバイと手を振った甲につっと目をとめる。

「あらヤダ。手の甲が少し赤い? 変ね、虫にでも刺されたのかしら」

すぐに治るだろう、そう安易に考え、痛くも痒くもない小さな発疹はこうして見過ごされることになる。

「さ、一日一善をすませたあとは温泉よ!」

麗凜は意気揚々と風鈴たちの待つ温泉場へと急ぐのだった。
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