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第8話 紫陽花恋歌 (上)
しおりを挟む君は紫陽花を見たことがない、そう言ったね?
同じ場所に根をおろしているのにもかかわらず、紫、赤紫、青や白といった色とりどりが、それぞれに個性を主張しあい、それがいかんなく発揮されてあまりある。
八重のものもあれば、ひし形がよりあわさったものも。
それはまるで人間と一緒だと思わないか。
根付いた土地、気候や風土、住む環境が人間を創る。
どれ一つとして同じものはなく、どれとも交わらない。
凛として、それでいて群れても埋もれもせず。個として煌めきを放つ。
君にもいつか見せてあげたい。
晴天に焼かれ大きく首をもたげた紫陽花が雨つゆにうたれ一斉に天を仰ぎみる、あの雨を乞い唄うかのような様をーーーー
§
古紙と酸えた古墨の臭い。
その嗅ぎなれた臭気に湿っぽさまでが加わって握った古紙に指あとが残る。
書架で埋めつくされた室はパラパラと頁をめくる音とチチッと身を焦がす蝋燭の音がやけに響くなど、文字をおういがいに妨げるものとてなく。
つっと蝋るいが細く伝い、炎が大きく舞った。
ふいに深夜の静寂を破り、低い美声が頭上から降り注がれた。
「先客か」
「ぇ?」
麗凜が驚いて顔をあげると、そこに殷禿がたたずんでいた。
驚きのあまり見開かれたその眸の奥は嬉々として輝き、頬は薄らと赤らめられている。
「すまぬ、驚かせてしまったか?」
真摯な眸でそう問う。
どうやら心から案じてくれているようだった。
「いぇ、少し驚きましたけど大丈夫です」
「そうか」
殷禿にほっこりとした微笑がきざまれ、照れくさそうに何度もうなづく。
時間も時間だ。誰かが訪れようはずもない刻限に、殷禿がひょっこりと現れたのだから驚きもするだろう。
しかも外にも内にもお供も連れている様子もない。
麗凜同様、室をこっそり抜け出してきたのだろう。
「王様、何故かような夜更けに」
すると殷禿は気まずそうに指で頬をかいた。
「寝つけなくてな。そなたは?」
「実は私も」
ぎこちない笑顔で答えると殷禿は何かを察してくれた様子で小さく頷く。
引きこもり生活が長いためか、昼夜が逆転して目が冴えてしまうのだ。
逆に昼間はダルくて調子が悪いぐらいだった。
いつもの自分らしい、という点でいえば、やはり夜が冴え渡り、書架を前にしただけで気持ちも弾む。
心の安らぎはここにある。憬麟に来て日も経ち、ここでの生活にも慣れはじめたのか、いつもの調子を取り戻しつつあった。
「ここは余にとって唯一の憩いの場であったが、そなたにとってもそうなのだろう?」
邪魔だからすぐに立ち去れ、ということか?
麗凜は椅子を蹴倒す勢いで慌ててたちあがる。
「でもすぐにおいとまいたします」
礼をとり踵をかえそうとすると、殷禿は落ち着き払った様子で首をふる。
「その必要はない。余が許可したのだぞ、ともにゆるりと楽しもうではないか」
そう引き止めた殷禿は、怪訝げに眉をひそめた。
「寒かろうに、そのような薄着で 、風邪をひくぞ」
梅雨時の朝晩は冷え込みもます。
そこは紫輝も同様で体調を崩すといった変調はみられないが、夜着の上に厚手の上着を羽織った殷禿からすれば麗凜のいつもの若草色の侍女服では薄着にみえるのだろう。
「それならご心配にはおよびません」
スッと懐から布にくるまれたそれを差し出してみせた。
「それは?」
「焼き芋にございます」
「焼き芋? あの芋を焼いたアレか?」
殷禿の片眉がはねあがった。そりゃ驚きもするだろう。殷禿の想像の斜め上をいくとっぴなものが突然目の前に出されたのだから。
「よかったらお一つどうぞ」
包みをひろげると、ほくほくとした湯気があがる。
一頻りふきだしたあと、そこに大きさ、太さともにややある二本の物体があらわれた。
「王様は温石というものをご存じで?」
「あれか。子供が寝る時に寒くないよう石を焼いて、それを熱くないよう布でくるんだあれか?」
「はい。いずれの俯庫も夜ともなれば冷えます。温石がわりの包みを抱いておれば寒さもやわらぎますし、お腹がすいたら夜食にもなります」
釜戸の隅の灰を掘り起こして濡らした麻布に芋を包み、それを埋める。
燻った釜戸から甘い香りがたちのぼりだしたら食べ頃だ。
「ほぅ。一石二鳥というわけか、実におもしろい」
もらおう、と言って殷禿は麗凜に腰をおろすよう命じ、自らも向かいの椅子に座す。
方卓の上でゆらゆらとすきま風によって右や左に大きくゆれる蝋燭をかこみ、包みをひろげると、並べられた細長いものをそれぞれ手にとる。
「釜戸の灰で蒸し焼きにされたお芋は甘くて美味しいですよ」
直火にあたると焦げてしまう上に苦味がでる。とても食べる気にもならないが、こうして灰の中で蒸し焼きにされたものはほくほくとして甘味が増すのだ。
「どのように食すものなのだ?」
「簡単ですよ」
お手本を見せるように麗凜は茶ばんだ麻布をほどき、紅色の薄皮をそぅとむく。
むきだしにされた黄金色のお芋から甘い香りがたちのぼる。
それをパクり、とかじる。
「美味しい。よかったらどうぞ」
目で合図をおくる。
すると殷禿も見よう見まねで皮をむく。
「まだ熱いですからお気をつけて」
「ぅ、ぅむ。簡単というわりに意外に難しいな」
熱々のそれを不器用な手つきで爪をつかってむいていく。
「いぇ、大変お上手ですよ」
「で、こうすればよいのか?」
皮をむき終えると殷禿はおそるおそる口をつける。
ぎこちなく歯をたてた殷禿。おそらく丸かじりなどこれまで一度もしたことがないだろう。
だがそれが普通だ。どんな食材であれ、王宮では果物にいたるまで何もかもが食べやすいひとくちの大きさで切られてだされるのが慣例だ。
そもそもの形も知らないし、どのようにして育つものかもわからない。
というより王族には知る必要などないのだ。
国は違えど同じような境遇を経ただろうから理解できることもある。
だが必ずしも王族だからといってすべからく皆同じではない。
「どうでしょう、お口にあいますか?」
麗凜が前のめりぎみに殷禿に顔を近づけると顔を赤くして、咀嚼もそこそこうちにゴックンと飲み下した。
「ん!? う、うまい。ただ焼いただけの芋がこれほどうまいとは」
「真夜中お腹が急にすくことってありません? これなら夜食にもなるうえ腹持ちもいい。翌朝まで空腹を我慢しないですみます。それにお腹が温まれば身体も温まります」
「うむ。理にかなっておる」
「特に書架に没頭していると頭を使うせいかただお腹がいっぱいになるだけじゃ物足りなくて、ちょっぴり甘いものが食べたくなるんです。でもこれなら糖分も摂取できてお腹も満足できます」
「なるほど、確かに。よく考えられておるな。これなら人を呼んで誰の手もわずらわせることもなく、くすぶった灰に仕込んでおけばいつでも食べられる。うむ。実にいい。余も試してみよう」
夜分に火をおこせない宮殿ならではの事情があってこそ生まれた知恵であるが。他にも蒸し鶏や蒸し魚も試してみたが、どれも絶品だった。時間がたって固くなった饅頭もふかしたてのようで、これも成功したことも付け加えた。
「ほぅ。凄いではないか」
感心しきった風に殷禿は大きく頷く。
「身体の芯から温まった気がするぞ」
「でしょう? だから私はちっとも寒くはありません」
「なるほどな。だが……ここ数日は梅雨晴れが続いておったが、明日は雨のようだ」
芋をひとかじりした麗凜の目が瞬く。
「なぜ?」
窓を仰いだ殷禿は格子戸の隙間からわずかに見える濃い闇夜を指さす。
「見よ。月が雲に隠れておる。しかもジメジメとして不快だろう。なのに底冷えしておる。ゆえに明日は雨だ」
梅雨らしい天候へと激変するのだろうか。
こういう時期には肺を病みやすい。うんざりとする黒カビやぬめりけの帯びたナメクジやら、憂鬱さも増す。
室に閉じこもることも増えるためか、気分もめいり、また湿度のせいで不快指数もあがり、頭痛がするなど何かと気分の浮き沈みが激しくなることも。
梅雨。あまり良い想い出なるものはなかった。
いつも室で雨音に耳をかたむけながら気だるげに過ごしていた。
忘れ去られた宮女たちが最終的に追いやられる後宮の最奥をわざわざ訪う人もなく、そこはまるで時が止まっているかのように過去の異物が押し込められていた。
それらに囲まれ、ぼぅと過ごす。
心を和ませる一輪の花すらもなく、やぶのように雑草が一面にしげる庭には、まったく手入れのほどこされないドブのような濁って異臭をはなつ池があるのみ。
ナマズのような主がゆうゆうと泳いでいる。
そのどす黒い影が大きくうねり、何かを丸飲みにする。
せめてここに一輪の花でもあればーーーー
「っぷ」
苦い思い出が甦る。気づけば吹き出していた。
「!?」
殷禿が目の前にいたことすら忘れかけていた。急に思い出し笑いをして怪訝に思われただろう。
「急にごめんなさい。つい昔のことが思い出されて」
「いゃ、構わん。どんな思い出か、訊いてもよいか?」
少し考えたあと、麗凜は思い立ったかのようにつむぐ。
「王様は紫陽花はお好きですか?」
「紫陽花? 花の紫陽花のことか? 特に好きも嫌いもない」
「そうですか。実はわたし紫陽花を見たことがないのです」
「見たことがない?」
どこの国でもごく普通にみられる、さして珍しくもない花だ。
王宮の庭院にだってあってしかるべき梅雨時の代表花。群れて咲き誇る様は実に美しく、憂鬱な気分を和らげてくれる魅力がある。
「図鑑でなら見たことならあります。確か4つ菱の花弁がよりあつまったような花ですよね?」
情報事態に間違いはない。
小難しげな表情でうなった殷禿は大きく頷く。
「ふぅむ。ならば明日王宮殿に参るがよい。旨いものを馳走になった礼に特別に見せてやろう。論ずる前に一度その目で見てみねば花の良し悪しもわかるまい。書架もいいが、美しいものに魅力し、心を満たすというのもいいぞ? 」
それに、と言っていい継ぐ。
「きっと心の慰めぐらいにはなるだろう」
麗凜が寝つけない理由が他にある、そう誤解されたのか。
ただの昼夜逆転生活が長くて引きこもりの名残なのだが。
「はぃ? それはどういう……」
「うむ。それは明日のお楽しみだ」
そういって可可と笑った殷禿はご機嫌そうに室へと戻っていった。
それとは対称的に沈痛な面持ちになった麗凜。
「おかげで嫌なことを思い出してしまったわ」
悪夢の訪れを予感していた。
『なんと穢らわしい』
美しい母の顔が醜くゆがんだ。
今の麗凜と同じ年に王妃として後宮に迎えられ、翌年には長女を出産、その二年後に次女を出産。
四十半ばだというのにその色香は健在で、三人の妃を持つ父王はどの妃とも比べ物にならぬほど王妃を寵愛していた。
ゆえに彼女の権力がいかばかりか、想像を絶するものだった。
白も彼女が黒といえば黒にかえさせられた。
絶対的権力を誇り、その美貌で男を魅了し、才媛さにおいて二物以上に恵まれ、なに不自由ない幸福で栄華をきわめた。
そんな彼女に足りなかったもの。それは皇太子となる男児だった。
『なぜこの娘がここにおる』
あるモノを受け取りに後宮の入り口近くまで足を運んでいた。
普段なら侍女か女官まかせだったが、待ちわびすぎていてもたってもいられなかった。
ーーーーが。それがそもそもの間違いだった。
『も、申し訳ございません王妃様。すぐに室におつれしますので……さ、姫様』
子供の手にはあまる大きめの箱を大事にかかえながら、母の横を通りすぎる。
『待て』
『はぃ?』
『それは何じゃ』
ギクリと肝をつぶしかけた。
まるで蛇蝎をみるような冷たい視線が麗凜に降り注がれる。
よくも悪くも母にこれほど注視されたことはない。
ぎゅと箱を抱きしめる。
『何でもありません、お母様っ』
『お母様だ? 妾が誰の母だと? 一体そなたたちはどういう教育をしておるのじゃ!?』
『も、申し訳ございません。何分まだ幼いゆえ……』
『言い訳はききとうない。その箱を取り上げるのじゃ』
命をうけた母の取り巻きたちが一斉に箱をむしりとろうとする。
必死に抵抗するも、大人と子供の力の差は歴然。奪い取られるのは時間の問題だった。
『お母様、違うのです! どうしても紫陽花という花を見てみたいと取り寄せたのです。決しておかしなモノでは…………』
だから、どうか、ひと目たりともーーーー
『なに、紫陽花じゃと? 』
母の目の色が変わった。怒りとも恐れともつかないものへ。
『ぁ』
身体をはった抵抗もむなしく、あっさりとうばいとられた。
箱の中をあらためられることもなく、そのまま女官は焼却のために後宮外へと走り出す。
そのご気を取り直した母は唖然としてたたずむ宮女たち麗凜をふくめ、声をはりあげて申し渡した。
『皆よく聞くがよい。今後一切、王宮への紫陽花の持ち込み禁ずる』
『!?』
ぶたれたわけでもないのに、何かがズタズタにされた。
ふと、眼裏が明るくなり、眠りを浅くする。
目を開けると最近では見慣れた天井がぼんやりと浮かび上がる。
組み木細工の枠内を色とりどりの鮮やかな花や蝶々が生き生きとして描かれている。
のろのろと起きあがり、風鈴と伎玉の待つ皇女の室にむかう。
「おはよう」
ボサボサ髪を指で梳きながら皇女のための室の扉を開く。
「あらまぁ、おそようございます。ぐっすりよくお眠りでしたねぇ?」
風鈴は涼しい顔をして事も無げに毒を吐いた。
「…………皮肉に悪意がこもると怖いわね」
顔半分をひきつかせながら、もろともせず言い返す。が、自業自得なのでこれ以上言い返せず、扉を後ろ手にしめ、のろのろと歩く。
風鈴と伎玉の二人は昼食をすませ、茶をすすっている。
その横を通りすぎ、いつもの席の椅子に手をかけた。
「夕べは寝つけなかったのよ」
言い訳もそこそこに、麗凜は円卓の椅子に座す。
「風鈴たちこそ悠長じゃない?」
「今日はこのあと第三皇子様とお茶をともにする予定です」
「ぁぁ……」
皇女との親睦会をかねた憬麟有力の子息を招いたお茶会に招待されていた。
麗凜が出席せねばならない理由は今のところないが、不慮の事態を考慮するならば出席した方がいいに決まっている。
だが貴族の子息との交流が必要ともおもえない麗凜は、伎玉と風鈴の二人にその場を任せる気でいた。
有能な侍女たちだ。二人に任せて問題はないだろう。
麗凜は面倒くさそうに手のひらをふる。
「そう。任せるわ。私はもう一眠りしたいのよ」
と言っているそばから睡魔が襲う。
「しゃんとなさりませ!」
寝息をたてると風鈴が激怒した。
「!?」
それを受け、麗凜の背筋が張りつめた弓のごとくピンとのびた。
「…………あら、もしかしてわたし、寝てた?」
「何をのんきに。戯れ言は寝てからもうされませ」
戯れ言、か。と思う。
「そういえば母の夢をみたわ」
「なら、王妃様が夢枕にでも立たれたのやもしれませんね。このていたらくぶりは目にあまると嘆かれて」
風鈴は立ち上がり麗凜の背後にまわりこむ。
すると伎玉が化粧箱を飾り棚から持ち出して麗凜の前におき、箱を開ける。
箱の中からクシをとり、髪を梳きだした。
鏡の中の麗凜の眸はひどく怯えてみえた。
「あの人が私を案じる? ありえないわ。そんなこと天地がひっくり返るぐらいありえないことよ」
母が生前のころからよく母の夢をみてはうなされていた。母は悪夢の象徴だった。可能なら、長年にわたって悩まされつづけた悪夢を貘に食べてもらいたいものだ。
「きっとあれよ。呪い殺しにきたか、祟りにきたのよ。死んでからも化けてでるなんて実に母らしい」
「ぁぁ」
麗凜の言わんとすることを風鈴にはすぐに察しがついたようだ。
麗凜付きの女官のなかで一番の古株だ。あの時にはすでに宮中にあがっていた。
ならば知っているかもしれない。
「ね、どうして紫輝の王宮には紫陽花だけなかったのかしら?」
高価な芍薬や牡丹、四季折々な花ばなが咲き誇るにもかかわらず庭院のどこにも紫陽花らしき花は一輪とて姿を拝したことがなかった。
野に咲く野菊やスミレなどの素朴な花が至るところで見られるにもかかわらずだ。
「ぁ、それなら聞いたことがあります」
何か思い出した風に伎玉が手をあげた。
「紫陽花には毒があるため触れればただれ死ぬと申されたと人づてに聴いたことがあります」
そんなわけあるか、と麗凜は思った。しょせん噂だ。いくらなんでもあの母が、この程度のことで紫陽花を毛嫌いするとは考えにくい。
「いぃぇ、私の聞いた話では、幼少のころ紫陽花の近くを通った折りに、うっかり大きなカタツムリを踏み潰してしまわれ、それ以来紫陽花がトラウマになったとか。それで王様は王妃様のために王宮から一株も残さず処分を命じられたと」
これだ、と閃いた。
「っぷ。そんな理由で? 」
母の幼い内面を垣間見た気がした。
子供だましの迷信を生涯にわたり、ずっと信じ続けた少女のような母。
ますます紫陽花に興味がわいた。
「姫様、それはそうと、今日のご予定は?」
手早く髪をまとめ侍女の伎玉となった鏡の中の麗凜に、もはや怖れといった感情はみられない。
むしろ好奇心がまさっていた。
「そうね。紫陽花を見てくるわ」
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