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第2話 届かぬ聲
しおりを挟む足音が聞こえる。
苔むして古びた参道をヒタヒタと。
暗夜と同化するように全体が真っ黒いそれは足の甲だけが生々しく仄白い。
拝殿を前にすると小銭を一枚放り、大鈴がかきならされた。
そうして礼儀正しくも二拝二拍手、作法にのっとり、行ったり来たりをくりかえしているようだ。
『どうか僕の祖父母を助けてください』
どれだけ、尽くしても、尽くしきっても、叶えられない願いがある。
そんな小さな願いをひろいあげ、耳を傾けてやりたい。
数百年、埃をかぶりながら、こんこんと眠りつづけ、何故この令和になって目覚めたのか。
きっと何かしらの理由があるはずだ。
拾ってあげたい。
か弱き、誰にも届かぬ願いをーーーー
「…………」
「あらあら、お目覚めですか。ただいまお手水をお持ちしますね」
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