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21章 責任
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不思議に思って手をじっと見ていると、お兄様がわたしたちの元へと走ってきた。
「ニーナ、ルーク様、無事か?」
「義兄上、こちらは2人とも怪我はありません。義兄上は大丈夫ですか?」
「オレも大事ない」
お互いを心配し合う2人を見て、わたしは首を傾げる。
「お2人とも、身体は痛くないのですか?」
2人は顔を見合わせる。
「なぜかわからないが、急に楽になったんだ。ルーク様は?」
「オレも急に身体が楽になりました」
わたしたちが揃って首を傾げていると、ローゼリア様が乗り込んだ馬車の扉を閉めて、こちらを伺っている御者の少年が目に入った。
「何をしている!? 早く馬車を出しなさい!」
姿は見えないけど、馬車の中からのローゼリア様の怒鳴り声がきこえた。
「は、はいっ」
少年はおずおずとこちらを見てから、御者席の方へと足を向ける。
その後ろ姿に、お兄様が声をかけた。
「少年! もし、君に勇気があるなら、出口の港町で、今見たことを全て話すんだ。王家の命令があっても、君を害することはさせないから!!」
少年は声に一瞬立ち止まったけど、ローゼリア様に急かされて御者席に乗って馬を走らせた。
走り去った馬車を見送ってから、わたしはお兄様の顔を見る。
「お兄様、なんの話ですか?」
「いや、近い未来の話だよ。それより、魔法の効力は消えたということかな、ルーク様」
「そうですね。最後の魔獣が死んだことによって、世の中の魔素が全て消えたのかもしれません」
そう。
魔物は言っていた。
マイナスがあるからプラスがあるように、魔物や魔獣(マイナス)がいるから魔法(プラス)があると。
本当に、討伐は成功したんだ。
ルーク様は、成し遂げたんだ。
ルーク様はお兄様に向き直る。
「ところで、魔法が消えて、オレたちが動けるようになったということは、ここに入るのに激痛が走ったのは魔法だったということですか?」
ルーク様の問いに、お兄様は難しい顔をして答える。
「ああ。魔法だったんだよ。ローゼリアが言っていた。隊服に国王の魔法を描けたと。討伐隊をこの地に留め置き、魔獣の餌とするための魔法を隊服に掛けたとな」
「なっ!?」
なんということを……。
「おそらく、王家が討伐が失敗したらすぐにわかるように花火を上げろというのは、我々を足留めして魔獣の餌にして、自分達は逃げる為だったのだろう。現に、ローゼリア以外の者は避難する様子が見られなかった。それは王都に行ってもきっとかわらないだろう。国王は土魔法が使えたはずだ。その地に留め置く魔法は土魔法しか考えられない。きっと、オレたちの隊服になんらかの形で魔法を付与したんだ。隊服は国から、強いて言えば国王から支給されたものだからな」
お兄様はそう言い終わると、どさりと腰を下ろした。
「あー、痛かったー。最後の激痛は、討伐するより、訓練よりも痛い試練だったなあー」
お兄様の様子を見て、ルーク様も腰を下ろした。
「ほんとですよ。この身が粉々になるかと思いましたよ」
ゴロンとふたりは寝そべった。
「ルーク様、よくあの激痛の中、ここまで来たよなー」
「まあ、そうですね。痛かったですけど」
「愛だよなー。オレなんか、身動きすることすらできなかったのに」
「ま、愛ですね」
「そーだなー。じゃ、しょーがないから、大事な妹だけど、ルーク様にやるよー」
「はい。有り難く、いただきます」
でれーっと寝そべってする会話じゃないような気がするんですけど……。
わたしはしゃがみ込んで、ふたりの顔を見比べた。
「あの……?」
四つの目がわたしに集中する。
「ニーナ、ルーク様と今度こそ結婚しろよ」
真剣なお兄様の視線に、わたしはしどろもどろになる。
「えっと、あの、でも、」
恋人ならともかく、結婚となると身分の違いが出てくる。
わたしは平民で、ルーク様は次期侯爵様だ。
しかも、逃げて行ったけど、王女であるローゼリア様の婚約者でもある。
お兄様はニヤリと笑う。
「恋人のままでいい、とか侍女として側にいるだけでも、とか考えてんだろ。でもな、ルーク様はおまえ以外とは結婚しないぞ。観念しておまえも覚悟を決めろ」
「えっ、」
驚くわたしを見て、ルーク様が起き上がり、お兄様がここに居るにも関わらず、そっとわたしに口づけをした。
「ひゃっ? ~~ルーク様っ!!」
一瞬、ぽーっとしていたわたしだけど、お兄様の止まらないニヤニヤ笑いに、我に返った。
お兄様は寝そべったまま、右手でパタパタと顔をあおいだ。
「あー、熱い熱い。ヒューヒュー。おふたりさん、独り身の悲しき30男の前で何やっちゃってんの」
お兄様の冷やかしに、ルーク様はツンとして答える。
「やっと、仕事が終わって、思う存分イチャイチャできるようになったんですよ。やらなきゃ損でしょう」
「いや、まだまだ仕事は終わってませんよ、隊長。後処理が残ってますからねー。イチャイチャは、それが終わってからにしてくださーい」
「わかりました。では義兄上、さっさとみんなのところに戻りましょう」
ルーク様はお兄様の腕を掴んで引っ張り起こそうとする。
「いや、ちょっ、ちょっと待てよ。オレ、身体クタクタなんだけど。すごく痛かったんだけど!」
「オレだって痛かったですよ」
「いやいや、若者と一緒にするなよ! しかも、リア充! ルーク様はこれから薔薇色の未来が待っているんだろうけど、オレに待っているのは討伐処理だけなんだぞ!」
「大丈夫です。妹の薔薇色の未来を彩るのも、兄の役目ですよ」
「いーやーだー! もう少し休ませろー!」
ルーク様は子どものようにイヤイヤをするお兄様を引きずって、みんなのところに戻ったのでした。
「ニーナ、ルーク様、無事か?」
「義兄上、こちらは2人とも怪我はありません。義兄上は大丈夫ですか?」
「オレも大事ない」
お互いを心配し合う2人を見て、わたしは首を傾げる。
「お2人とも、身体は痛くないのですか?」
2人は顔を見合わせる。
「なぜかわからないが、急に楽になったんだ。ルーク様は?」
「オレも急に身体が楽になりました」
わたしたちが揃って首を傾げていると、ローゼリア様が乗り込んだ馬車の扉を閉めて、こちらを伺っている御者の少年が目に入った。
「何をしている!? 早く馬車を出しなさい!」
姿は見えないけど、馬車の中からのローゼリア様の怒鳴り声がきこえた。
「は、はいっ」
少年はおずおずとこちらを見てから、御者席の方へと足を向ける。
その後ろ姿に、お兄様が声をかけた。
「少年! もし、君に勇気があるなら、出口の港町で、今見たことを全て話すんだ。王家の命令があっても、君を害することはさせないから!!」
少年は声に一瞬立ち止まったけど、ローゼリア様に急かされて御者席に乗って馬を走らせた。
走り去った馬車を見送ってから、わたしはお兄様の顔を見る。
「お兄様、なんの話ですか?」
「いや、近い未来の話だよ。それより、魔法の効力は消えたということかな、ルーク様」
「そうですね。最後の魔獣が死んだことによって、世の中の魔素が全て消えたのかもしれません」
そう。
魔物は言っていた。
マイナスがあるからプラスがあるように、魔物や魔獣(マイナス)がいるから魔法(プラス)があると。
本当に、討伐は成功したんだ。
ルーク様は、成し遂げたんだ。
ルーク様はお兄様に向き直る。
「ところで、魔法が消えて、オレたちが動けるようになったということは、ここに入るのに激痛が走ったのは魔法だったということですか?」
ルーク様の問いに、お兄様は難しい顔をして答える。
「ああ。魔法だったんだよ。ローゼリアが言っていた。隊服に国王の魔法を描けたと。討伐隊をこの地に留め置き、魔獣の餌とするための魔法を隊服に掛けたとな」
「なっ!?」
なんということを……。
「おそらく、王家が討伐が失敗したらすぐにわかるように花火を上げろというのは、我々を足留めして魔獣の餌にして、自分達は逃げる為だったのだろう。現に、ローゼリア以外の者は避難する様子が見られなかった。それは王都に行ってもきっとかわらないだろう。国王は土魔法が使えたはずだ。その地に留め置く魔法は土魔法しか考えられない。きっと、オレたちの隊服になんらかの形で魔法を付与したんだ。隊服は国から、強いて言えば国王から支給されたものだからな」
お兄様はそう言い終わると、どさりと腰を下ろした。
「あー、痛かったー。最後の激痛は、討伐するより、訓練よりも痛い試練だったなあー」
お兄様の様子を見て、ルーク様も腰を下ろした。
「ほんとですよ。この身が粉々になるかと思いましたよ」
ゴロンとふたりは寝そべった。
「ルーク様、よくあの激痛の中、ここまで来たよなー」
「まあ、そうですね。痛かったですけど」
「愛だよなー。オレなんか、身動きすることすらできなかったのに」
「ま、愛ですね」
「そーだなー。じゃ、しょーがないから、大事な妹だけど、ルーク様にやるよー」
「はい。有り難く、いただきます」
でれーっと寝そべってする会話じゃないような気がするんですけど……。
わたしはしゃがみ込んで、ふたりの顔を見比べた。
「あの……?」
四つの目がわたしに集中する。
「ニーナ、ルーク様と今度こそ結婚しろよ」
真剣なお兄様の視線に、わたしはしどろもどろになる。
「えっと、あの、でも、」
恋人ならともかく、結婚となると身分の違いが出てくる。
わたしは平民で、ルーク様は次期侯爵様だ。
しかも、逃げて行ったけど、王女であるローゼリア様の婚約者でもある。
お兄様はニヤリと笑う。
「恋人のままでいい、とか侍女として側にいるだけでも、とか考えてんだろ。でもな、ルーク様はおまえ以外とは結婚しないぞ。観念しておまえも覚悟を決めろ」
「えっ、」
驚くわたしを見て、ルーク様が起き上がり、お兄様がここに居るにも関わらず、そっとわたしに口づけをした。
「ひゃっ? ~~ルーク様っ!!」
一瞬、ぽーっとしていたわたしだけど、お兄様の止まらないニヤニヤ笑いに、我に返った。
お兄様は寝そべったまま、右手でパタパタと顔をあおいだ。
「あー、熱い熱い。ヒューヒュー。おふたりさん、独り身の悲しき30男の前で何やっちゃってんの」
お兄様の冷やかしに、ルーク様はツンとして答える。
「やっと、仕事が終わって、思う存分イチャイチャできるようになったんですよ。やらなきゃ損でしょう」
「いや、まだまだ仕事は終わってませんよ、隊長。後処理が残ってますからねー。イチャイチャは、それが終わってからにしてくださーい」
「わかりました。では義兄上、さっさとみんなのところに戻りましょう」
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「いや、ちょっ、ちょっと待てよ。オレ、身体クタクタなんだけど。すごく痛かったんだけど!」
「オレだって痛かったですよ」
「いやいや、若者と一緒にするなよ! しかも、リア充! ルーク様はこれから薔薇色の未来が待っているんだろうけど、オレに待っているのは討伐処理だけなんだぞ!」
「大丈夫です。妹の薔薇色の未来を彩るのも、兄の役目ですよ」
「いーやーだー! もう少し休ませろー!」
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