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18章 討伐
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開け放たれた扉の向こうには、すでに討伐隊の隊士が整列して並んでいた。
ミルテ様が歩き出し、ルーク様の前に行こうとすると、横から男性の声がかかる。
「光の副隊長、ご苦労であった。光の隊長、ローゼリア様がいらした。もう、安心して下がるように」
騎士の制服を着た男性が、ミルテ様の前に立ちはだかった。
騎士の制服に討伐隊の印章をつけているから、きっとあの人は討伐関連の人だろうとは思う。多分、討伐塔から街までの守りを固める私兵や騎士団の中の人だろう。
これまで不安に震える光の討伐隊をまとめていたのはミルテ様なのに。
それでも、ミルテ様は一度腰を折って頭を下げると、光の討伐隊の列に入っていった。
2人の騎士に傅かれ、ローゼリア様が颯爽と登場する。
頭上にはティアラを頂き、わたしたちと同じはずの光の討伐隊の隊服には、キラキラと輝くものが散見する。宝石を縫い付けてあるみたい……。
まるで、わたしたちとは格が違うとでも言いたいように、華美なそれはこの緊張した空気の中では浮いていた。
ローゼリア様はわたしたち光の隊員に背を向け、討伐隊士の前に立つ。
「みなのもの、これまでご苦労でした。恙無く、討伐の準備が整ったと聞いています。本当ならお兄様、王太子にもここにいらしていただきたいところですが、討伐エリアの境界線でわたくし達にが討伐に成功するのを待ってくださっています。未来の国王に、朗報を届けましょう」
にこやかにそう告げるローゼリア様の言葉に、力強くうなずく者は誰も居なかった。
王都では人気の高い王族も、これだけ近くでその傲慢さを見ていれば、忠誠心も薄れるというもの。
みんな大人だから表情は崩さないものの、呆れや怒りの空気がそこここに漂っていた。
そんなことは気にせず、ローゼリア様は隊列の一番後ろでみんなを見守っていたルーク様に視線をやり、前へ出てくる様に促した。
わたしはより一層、人の影になるように身を縮ませる。
まだ、見つかりたくない。
ルーク様にもお兄様にも。
討伐が始まって、わたしを追い出せなくなる状況になるまでは、見つかってはいけないのだ。
ルーク様は憮然とした表情で、ローゼリア様の前までやってきた。
「では、ルーク。わたくしが其方に祝福を授けましょう」
ローゼリア様がそう言うのに、ルーク様はローゼリア様を見下ろしたまま、動かない。
「ルーク」
咎めるように、ローゼリア様はルーク様の名を呼んだ。
「ローゼリア殿下。先に隊士の祝福をお願いできませんか? 英雄への祝福は、討伐直前でお願いしたい」
ルーク様がそう言うと、ローゼリア様は隊士達を見回した。
「……いいでしょう。先に隊士達の祝福を済ませましょう」
ローゼリア様は後ろに控えるミルテ様達に指示を出し、それぞれ隊員達に祝福を与えに散っていった。
そこかしこで、祝福の光が見える。
わたしは、誰も祝福する相手がいないので、ルーク様やお兄様に見つからないように、ただ人並みの間を縫うように歩いていた。
しばらくしてみんなの祝福が終わると、それぞれ隊列に戻ってきて、全員の視線がルーク様とローゼリア様に注がれた。
多分、ルーク様の持っている剣は予備の物だと思うからいいけど、ルーク様本人にはわたしの祝福があるからローゼリア様には何もしてほしくないんだけど……。
ちゃんと、剣だけの祝福にしてくれるかなぁ。
みんなの視線が集まる中、ローゼリア様はルーク様に跪くように手を翳す。
それでも、ルーク様はローゼリア様を見下ろしたままだった。
「ルーク、わたくしの前に跪き頭を垂れよ」
ローゼリア様はイライラとしたように片眉を上げる。
ルーク様は黙ってそれを見下ろすと、ローゼリア様ではなく、隊員達に向かって手を上げた。
「今日、これから結界を解き討伐が始まる。オレは、誰にも邪魔されずに討伐に専念したい」
ルーク様はみんなの顔を見回す。
「当然だろう。これが失敗すれば、オレ達の命はもちろん、外で待っている家族達の命も危険に晒される。よって、オレは王女の祝福は受けない」
「なっ!」
ローゼリア様が顔を赤くして、怒りの表情でルーク様を見た。
それを無視して、なおもルーク様は隊員達に語りかける。
「見せかけだけの祝福はいらない。オレは、王女の力なしに、魔物を討伐してみせよう」
ルーク様がそう宣言すると、隊員達や光の討伐隊から歓声が上がった。
訓練には遅れてくる。
ルーク様に掛ける魔法は見せかけだけのもの。
全てが整った後で、さも自分の成果のように演説だけする。
そんなローゼリア様を支持する者は、この中にはいなかったのだろう。
この命をかけた現場では、地位や名誉など関係なく、誠意をこめて対応したルーク様にみんなの気持ちが集まったのだ。
「おのれ、ルーク!」
ローゼリア様は怒りから持っていた扇子でルーク様を叩こうとした。
でも、振りかぶったその手を、ルーク様にいとも簡単に止められる。
「王女様、あなたは安全なところで見ていてください。あなたではなく、隊員達がこれまでがんばってきた成果を」
あなたは蚊帳の外の存在なのだから。
そんな意味を滲ませて言い放つと、ルーク様はローゼリア様の手を離した。
「そこの王女の護衛。使命通り王女を安全なところに連れて行ってくれ。ここに居たら危険だぞ」
ルーク様は掴んだその手を、ローゼリア様をここに連れてきた近衛に引き渡した。
「ルーク! 不敬であるぞ! 討伐が終わったら覚えているがいい!」
ローゼリア様は悔しそうに声を荒げると、そのまま踵を返して塔の中に入っていった。
塔の中には、ローゼリア様が待機するための部屋があったので、おそらくそこへ移動したんだろう。
ルーク様は隊員達に向き直る。
「ミルテ殿、光の討伐隊諸君、ここまでよくがんばってくれた。あとはオレ達魔物の討伐隊に任せてくれ。魔物討伐隊諸君、これまでの辛い訓練によく耐えてくれた。思う存分、その成果を発揮してくれ」
ルーク様の呼びかけに、みんなが顔を輝かせる。
これまで、何もしてくれなかったくせに、威張り散らしていたローゼリア様がいなくなり、すっきりしたのだろう。
そして、ルーク様はゆっくりと右手を頭上に上げる。
「これより、討伐を開始する。皆の者、位置につけ!」
ルーク様の声に合わせて「おおーっ!」と勇ましい声が上がり、隊員達が持ち場へと散って行った。
そして、討伐が始まった。
ミルテ様が歩き出し、ルーク様の前に行こうとすると、横から男性の声がかかる。
「光の副隊長、ご苦労であった。光の隊長、ローゼリア様がいらした。もう、安心して下がるように」
騎士の制服を着た男性が、ミルテ様の前に立ちはだかった。
騎士の制服に討伐隊の印章をつけているから、きっとあの人は討伐関連の人だろうとは思う。多分、討伐塔から街までの守りを固める私兵や騎士団の中の人だろう。
これまで不安に震える光の討伐隊をまとめていたのはミルテ様なのに。
それでも、ミルテ様は一度腰を折って頭を下げると、光の討伐隊の列に入っていった。
2人の騎士に傅かれ、ローゼリア様が颯爽と登場する。
頭上にはティアラを頂き、わたしたちと同じはずの光の討伐隊の隊服には、キラキラと輝くものが散見する。宝石を縫い付けてあるみたい……。
まるで、わたしたちとは格が違うとでも言いたいように、華美なそれはこの緊張した空気の中では浮いていた。
ローゼリア様はわたしたち光の隊員に背を向け、討伐隊士の前に立つ。
「みなのもの、これまでご苦労でした。恙無く、討伐の準備が整ったと聞いています。本当ならお兄様、王太子にもここにいらしていただきたいところですが、討伐エリアの境界線でわたくし達にが討伐に成功するのを待ってくださっています。未来の国王に、朗報を届けましょう」
にこやかにそう告げるローゼリア様の言葉に、力強くうなずく者は誰も居なかった。
王都では人気の高い王族も、これだけ近くでその傲慢さを見ていれば、忠誠心も薄れるというもの。
みんな大人だから表情は崩さないものの、呆れや怒りの空気がそこここに漂っていた。
そんなことは気にせず、ローゼリア様は隊列の一番後ろでみんなを見守っていたルーク様に視線をやり、前へ出てくる様に促した。
わたしはより一層、人の影になるように身を縮ませる。
まだ、見つかりたくない。
ルーク様にもお兄様にも。
討伐が始まって、わたしを追い出せなくなる状況になるまでは、見つかってはいけないのだ。
ルーク様は憮然とした表情で、ローゼリア様の前までやってきた。
「では、ルーク。わたくしが其方に祝福を授けましょう」
ローゼリア様がそう言うのに、ルーク様はローゼリア様を見下ろしたまま、動かない。
「ルーク」
咎めるように、ローゼリア様はルーク様の名を呼んだ。
「ローゼリア殿下。先に隊士の祝福をお願いできませんか? 英雄への祝福は、討伐直前でお願いしたい」
ルーク様がそう言うと、ローゼリア様は隊士達を見回した。
「……いいでしょう。先に隊士達の祝福を済ませましょう」
ローゼリア様は後ろに控えるミルテ様達に指示を出し、それぞれ隊員達に祝福を与えに散っていった。
そこかしこで、祝福の光が見える。
わたしは、誰も祝福する相手がいないので、ルーク様やお兄様に見つからないように、ただ人並みの間を縫うように歩いていた。
しばらくしてみんなの祝福が終わると、それぞれ隊列に戻ってきて、全員の視線がルーク様とローゼリア様に注がれた。
多分、ルーク様の持っている剣は予備の物だと思うからいいけど、ルーク様本人にはわたしの祝福があるからローゼリア様には何もしてほしくないんだけど……。
ちゃんと、剣だけの祝福にしてくれるかなぁ。
みんなの視線が集まる中、ローゼリア様はルーク様に跪くように手を翳す。
それでも、ルーク様はローゼリア様を見下ろしたままだった。
「ルーク、わたくしの前に跪き頭を垂れよ」
ローゼリア様はイライラとしたように片眉を上げる。
ルーク様は黙ってそれを見下ろすと、ローゼリア様ではなく、隊員達に向かって手を上げた。
「今日、これから結界を解き討伐が始まる。オレは、誰にも邪魔されずに討伐に専念したい」
ルーク様はみんなの顔を見回す。
「当然だろう。これが失敗すれば、オレ達の命はもちろん、外で待っている家族達の命も危険に晒される。よって、オレは王女の祝福は受けない」
「なっ!」
ローゼリア様が顔を赤くして、怒りの表情でルーク様を見た。
それを無視して、なおもルーク様は隊員達に語りかける。
「見せかけだけの祝福はいらない。オレは、王女の力なしに、魔物を討伐してみせよう」
ルーク様がそう宣言すると、隊員達や光の討伐隊から歓声が上がった。
訓練には遅れてくる。
ルーク様に掛ける魔法は見せかけだけのもの。
全てが整った後で、さも自分の成果のように演説だけする。
そんなローゼリア様を支持する者は、この中にはいなかったのだろう。
この命をかけた現場では、地位や名誉など関係なく、誠意をこめて対応したルーク様にみんなの気持ちが集まったのだ。
「おのれ、ルーク!」
ローゼリア様は怒りから持っていた扇子でルーク様を叩こうとした。
でも、振りかぶったその手を、ルーク様にいとも簡単に止められる。
「王女様、あなたは安全なところで見ていてください。あなたではなく、隊員達がこれまでがんばってきた成果を」
あなたは蚊帳の外の存在なのだから。
そんな意味を滲ませて言い放つと、ルーク様はローゼリア様の手を離した。
「そこの王女の護衛。使命通り王女を安全なところに連れて行ってくれ。ここに居たら危険だぞ」
ルーク様は掴んだその手を、ローゼリア様をここに連れてきた近衛に引き渡した。
「ルーク! 不敬であるぞ! 討伐が終わったら覚えているがいい!」
ローゼリア様は悔しそうに声を荒げると、そのまま踵を返して塔の中に入っていった。
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ルーク様の呼びかけに、みんなが顔を輝かせる。
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そして、ルーク様はゆっくりと右手を頭上に上げる。
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