もう一度あなたに逢いたくて〜こぼれ落ちた運命を再び拾うまで〜

雪野 結莉

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6章 再生

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ふわふわと、世界を彷徨う。

あっちにいったり、こっちにいったり。

だんだんと、上にあがって行く。

雲の上にあがり、また、それよりも高いところへと、どんどん上昇していく。

ぽわん。

温かいぬるま湯に浸かるみたいに、ふよふよと漂うわたし。

わたし?
わたしって、なに?

あぁ、わたしはだ。

だから、早く会いに行かなきゃ。

きっと、がいなくて泣いている。

だから、早く行かなきゃ。


雲の上にから下を眺める。

と同じぽわぽわの仲間は、それぞれ下界に降りて行く。

も行く。
そっちに行く。

「あら? ダメよ。あなたは今度はあっちの方で生まれるのよ」

なんで?
なんでこっちに生まれてはだめなの?

×××の側に行かなきゃいけないのに。

「あら、この子、魂を浄化されたはずなのに、まだの記憶が残っているみたい。もう一度、浄化に戻さなきゃ」

そしては、また温かなぬるま湯に戻される。

それが終わると、もう一度雲の上から下界を眺める。

「はい。あなたはあちらに行って。いい子で生まれて、幸せになるのよ」

雲の上にから行く方向を指され、は、今度は黙ってあっちの方へ向かって降りて行った。

また嫌がったら、浄化に行かされてしまうから。
浄化されて、忘れてしまったらいけないから。


降りる途中で、がんばって行き先を変える。

が行く方向は、あっちではないの。
あっちでは×××に会えないから。

は、×××に会うために、×××に近い場所に行って、お母さんのお腹に宿った。
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