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1章 人質姫が人質でなくなってから
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エリシアの二人を招いてからの一週間は、あっと言う間に過ぎて行った。
あっさりとなんなく講義を終えるエドワード。
研究熱心で、ついつい力が入り、講義が長引いてしまうリリー。
当然、講義の始まりの時間は同じでも、終わり時間はいつもリリーの方が遅かった。
コーディもなるべくシャーロットの近くにいるようにしていたが、平民の身分である。(見た目だけだが)
エドワードがなんとかかんとか理由をつけると、席を外さざるを得ない。
シャーロットはまんまと罠に嵌るように、エドワードとの逢瀬を重ねていった。
最終日、この日は早めに最後の講義を終えて、夜はハミルトン兄妹への感謝の気持ちを込めて、ボナールの貴族との交流会を兼ねた舞踏会が開かれる。
機関車の最後の講義を終えたシャーロットは、舞踏会の準備と自らの支度を整えるために、まだ聴講生が残る部屋を急いで出ようとしていた。
「シャーロット陛下」
エドワードが、質問をする聴講生に断りを入れ、シャーロットの後を追って廊下に出てくる。
「エドワード様、何かございまして?」
忙しいと断ることもできるのに、丁寧にエドワードに向き合うシャーロットに、エドワードは優しい笑みを浮かべた。
「シャーロット陛下。舞踏会では陛下をパートナーとして、出席したいのですが、もうパートナーはお決まりなのでしょうか?」
シャーロットは少し考える。
いつも、ボナール城で行われる舞踏会にはフレッドがパートナーを買って出てくれた。
黙っていれば、おそらく今回もそうなるだろう。
しかし、約束をしている訳ではないし、フレッドは伴侶や婚約者のいないシャーロットに付き合ってくれているだけだ。
シャーロットはランバラルドでフレッドが令嬢達からの人気が高かったことを知っていた。
もちろん、ボナールの令嬢達からも熱い視線を向けられていることも。
そして、シャーロットはいつも思っていた。
自分が手がかかるから、フレッドは令嬢達の誘いを断って、パートナーを務めてくれている。それを申し訳なく思っていたのだ。
「でもエドワード様、私がエドワード様のパートナーになってしまっては、リリー様がお寂しいのではないでしょうか?」
眉をハの字にしておずおずと言うシャーロットに、エドワードは微笑みを向けた。
「大丈夫ですよ。リリーは聴講生の貴族子息からすでに声をかけられています。それに、フレッド殿もシャーロット陛下のパートナーを務めないのでしたら、リリーをパートナーとしてくれるかもしれません」
フレッド様が、リリー様をパートナーに……?
シャーロットは頭の中で、フレッドとリリーが手を取り合い、微笑みながら歩いてくる姿を想像した。
リリーは清楚な中にも光るような美しさがあり、フレッドは愛嬌のある笑顔の中にも凛々しさがある。
とても似合いの二人だった。
「……そうですわね。いつまでも私がフレッド様の邪魔をするわけにはいきませんわね。フレッド様は危機的状況だったボナールを立て直すくらい優秀な方ですもの。素敵なご令嬢との出逢いがあっても良いですわよね」
「では、わたしのパートナーに?」
「はい。エドワード様。よろしくお願いします」
エドワードはにっこりと微笑んだ。
あっさりとなんなく講義を終えるエドワード。
研究熱心で、ついつい力が入り、講義が長引いてしまうリリー。
当然、講義の始まりの時間は同じでも、終わり時間はいつもリリーの方が遅かった。
コーディもなるべくシャーロットの近くにいるようにしていたが、平民の身分である。(見た目だけだが)
エドワードがなんとかかんとか理由をつけると、席を外さざるを得ない。
シャーロットはまんまと罠に嵌るように、エドワードとの逢瀬を重ねていった。
最終日、この日は早めに最後の講義を終えて、夜はハミルトン兄妹への感謝の気持ちを込めて、ボナールの貴族との交流会を兼ねた舞踏会が開かれる。
機関車の最後の講義を終えたシャーロットは、舞踏会の準備と自らの支度を整えるために、まだ聴講生が残る部屋を急いで出ようとしていた。
「シャーロット陛下」
エドワードが、質問をする聴講生に断りを入れ、シャーロットの後を追って廊下に出てくる。
「エドワード様、何かございまして?」
忙しいと断ることもできるのに、丁寧にエドワードに向き合うシャーロットに、エドワードは優しい笑みを浮かべた。
「シャーロット陛下。舞踏会では陛下をパートナーとして、出席したいのですが、もうパートナーはお決まりなのでしょうか?」
シャーロットは少し考える。
いつも、ボナール城で行われる舞踏会にはフレッドがパートナーを買って出てくれた。
黙っていれば、おそらく今回もそうなるだろう。
しかし、約束をしている訳ではないし、フレッドは伴侶や婚約者のいないシャーロットに付き合ってくれているだけだ。
シャーロットはランバラルドでフレッドが令嬢達からの人気が高かったことを知っていた。
もちろん、ボナールの令嬢達からも熱い視線を向けられていることも。
そして、シャーロットはいつも思っていた。
自分が手がかかるから、フレッドは令嬢達の誘いを断って、パートナーを務めてくれている。それを申し訳なく思っていたのだ。
「でもエドワード様、私がエドワード様のパートナーになってしまっては、リリー様がお寂しいのではないでしょうか?」
眉をハの字にしておずおずと言うシャーロットに、エドワードは微笑みを向けた。
「大丈夫ですよ。リリーは聴講生の貴族子息からすでに声をかけられています。それに、フレッド殿もシャーロット陛下のパートナーを務めないのでしたら、リリーをパートナーとしてくれるかもしれません」
フレッド様が、リリー様をパートナーに……?
シャーロットは頭の中で、フレッドとリリーが手を取り合い、微笑みながら歩いてくる姿を想像した。
リリーは清楚な中にも光るような美しさがあり、フレッドは愛嬌のある笑顔の中にも凛々しさがある。
とても似合いの二人だった。
「……そうですわね。いつまでも私がフレッド様の邪魔をするわけにはいきませんわね。フレッド様は危機的状況だったボナールを立て直すくらい優秀な方ですもの。素敵なご令嬢との出逢いがあっても良いですわよね」
「では、わたしのパートナーに?」
「はい。エドワード様。よろしくお願いします」
エドワードはにっこりと微笑んだ。
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