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17章 王族としての生活
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「それで、今後のことなんだけど、セリーヌ王女がこの城を出るまでは、ここで大人しくしていて欲しい」
「幽閉ではないのですね?」
ライリー殿下は目を見開いた。
「幽閉なんてするわけないだろ! まったく…。何をどうしたらそんなことを考えるのか」
「申し訳ありません。小さい頃から塔の上に閉じ込められていたので……。では、お散歩もダメですか?」
「ああ、日課にしてるんだっけ? しかし、マリーはすごいな。シャーロットを塔から連れ出して歩かせていたのはマリーなんだろ? ディリオンが言っていた。塔の上にこもって歩かなければ、シャーロットの足に筋肉がつかず、歩けなくなっていただろうって。マリーと言えば城の採用試験、ふたりとも合格したらしいぞ」
「ほんとうですかっ!」
「ああ、予定通りもうすぐ登城するだろう」
マリーがお城に来てくれる!
それだけでかなり心強い。
「アーサーはボナールでは第二騎士団の副団長だったっけ? アーサーの剣の腕も大したもんだとうちの騎士団長が言っていた。すぐにでも、側妃専任護衛騎士に任命できそうだ」
私がニコニコとしていると、ライリー殿下が言いづらそうに私に再度話しかけた。
「それで、しばらく側妃として少し外交してもらいたいんだけど……。オレの側妃として、諸外国に少しでも名が知られたら、申し訳ないがボナールの王位交代に一役かってもらいたい」
私が側妃として、ライリー殿下の側に居るから、王位を継承してランバラルドでボナールの政治を行う建前ができる。
「ライリー殿下、国王に王位を退いてもらう算段はできてますの?」
ライリー殿下は冷めた紅茶に口をつける。
「あぁ。実は、ボナール国王が奴隷売買に関わっていた証拠が出てきた。まあ、言い逃れようと思えばできるくらいの小さなものだけど。もう少し周りを固めて、突きつけるつもりだ」
まあ……!
奴隷売買って、ボナールでも奴隷制度は廃止されているのに。
「セリーヌ王女には、夜会で散々嘘をつかれて邪魔をされたけど、王族は処刑せずに修道院へ行ってもらうようにしようと思ってる」
私も、いくら今までの仕打ちがひどくても、死んで欲しいとまでは思っていない。
「ライリー殿下。お優しいですね。その気持ちを理解して、国王が早く退位してくれればいいですけれど」
「そうだな」
それだけ話すと、ライリー殿下は席を立った。
私が部屋の出口までお送りしようと席を立ち、部屋を出ようとしたライリー殿下に近付くと、ライリー殿下は私を振り返り、こう言った。
「シャーロット、今後は、ギルバートと言えども、あんな狭いところで二人っきりになったらダメだからな。ジュディかマリーが必ず側にいるようにしてくれ」
あんまりにも真剣に言われたので
私もつい真剣に言葉を返す。
「はい。かしこまりましたわ。必ず、誰かに側にいてもらいますわ」
ライリー殿下はにこりと笑い、私の髪をひと撫でして、部屋を出て行った。
その日から数日後には、マリーがお城にやってきた。
アーサーも一緒に登城したそうだけれど、アーサーは一度騎士団の方でランバラルドの騎士の勉強をしてから、私の護衛になるそうだ。
こうして、マリーとアーサーの二人がお城にやってきた後、私の王族としての本当の生活が、始まった。
「幽閉ではないのですね?」
ライリー殿下は目を見開いた。
「幽閉なんてするわけないだろ! まったく…。何をどうしたらそんなことを考えるのか」
「申し訳ありません。小さい頃から塔の上に閉じ込められていたので……。では、お散歩もダメですか?」
「ああ、日課にしてるんだっけ? しかし、マリーはすごいな。シャーロットを塔から連れ出して歩かせていたのはマリーなんだろ? ディリオンが言っていた。塔の上にこもって歩かなければ、シャーロットの足に筋肉がつかず、歩けなくなっていただろうって。マリーと言えば城の採用試験、ふたりとも合格したらしいぞ」
「ほんとうですかっ!」
「ああ、予定通りもうすぐ登城するだろう」
マリーがお城に来てくれる!
それだけでかなり心強い。
「アーサーはボナールでは第二騎士団の副団長だったっけ? アーサーの剣の腕も大したもんだとうちの騎士団長が言っていた。すぐにでも、側妃専任護衛騎士に任命できそうだ」
私がニコニコとしていると、ライリー殿下が言いづらそうに私に再度話しかけた。
「それで、しばらく側妃として少し外交してもらいたいんだけど……。オレの側妃として、諸外国に少しでも名が知られたら、申し訳ないがボナールの王位交代に一役かってもらいたい」
私が側妃として、ライリー殿下の側に居るから、王位を継承してランバラルドでボナールの政治を行う建前ができる。
「ライリー殿下、国王に王位を退いてもらう算段はできてますの?」
ライリー殿下は冷めた紅茶に口をつける。
「あぁ。実は、ボナール国王が奴隷売買に関わっていた証拠が出てきた。まあ、言い逃れようと思えばできるくらいの小さなものだけど。もう少し周りを固めて、突きつけるつもりだ」
まあ……!
奴隷売買って、ボナールでも奴隷制度は廃止されているのに。
「セリーヌ王女には、夜会で散々嘘をつかれて邪魔をされたけど、王族は処刑せずに修道院へ行ってもらうようにしようと思ってる」
私も、いくら今までの仕打ちがひどくても、死んで欲しいとまでは思っていない。
「ライリー殿下。お優しいですね。その気持ちを理解して、国王が早く退位してくれればいいですけれど」
「そうだな」
それだけ話すと、ライリー殿下は席を立った。
私が部屋の出口までお送りしようと席を立ち、部屋を出ようとしたライリー殿下に近付くと、ライリー殿下は私を振り返り、こう言った。
「シャーロット、今後は、ギルバートと言えども、あんな狭いところで二人っきりになったらダメだからな。ジュディかマリーが必ず側にいるようにしてくれ」
あんまりにも真剣に言われたので
私もつい真剣に言葉を返す。
「はい。かしこまりましたわ。必ず、誰かに側にいてもらいますわ」
ライリー殿下はにこりと笑い、私の髪をひと撫でして、部屋を出て行った。
その日から数日後には、マリーがお城にやってきた。
アーサーも一緒に登城したそうだけれど、アーサーは一度騎士団の方でランバラルドの騎士の勉強をしてから、私の護衛になるそうだ。
こうして、マリーとアーサーの二人がお城にやってきた後、私の王族としての本当の生活が、始まった。
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