6 / 7
1
6
しおりを挟む
「ん、上手に出来た…夜江、要達に伝えてきて…?俺、これ運ぶから」
「ん、わかった」
弥太君に頷いて、エプロンを外して皆の方へ行くと何やら言い合いをしているようだった
「ソファーカバーは水色でしょぉ?」
「いや、女らしさを出す為にもピンクだ!」
「いや、そもそも夜江は黒が好きなんだから黒でいいだろ」
どうやらソファーカバーで揉めてるらしい。
そんなの何色でもいいよなんて言えばやいのやいの言われるのが目に見えている。
「巧さんが選んだ黒がいいです。」
私が巧さんの手から黒のソファーカバーを取ると、ほら見ろと言いたげにドヤ顔する巧さんと悔しそうにする御堂社長達。
「ってか、お前いつまでその呼び方してんの?
別に会社じゃねぇんだからいつも通り居ろよ」
さっきも似たようなセリフを言われたような…
そんな事を思いながら頷いて、散らかったゴミをゴミ袋に纏める
「分かったよ。ご飯出来たからササッと片付けて食べようよ」
「飯っ!?それは急がねぇとな!!ほら、お前も手伝え!」
「あ、はい」
何か男物の服だとか、私の家にはなかった筈のゲーム機とかが見えたのは気のせいという事にしとこう、うん。
片付け終わりリビングへ向かうと、既に料理は並べ終わっていた。
「ん、夜江此処」
隣をポンポンと叩かれ、弥太君の隣に座ると弥太君が少し微笑んでいた。何で微笑んでるのかも分からず首を傾げていると
「此処、夜江の好きな物とり易いんだ……いっぱい食べてね」
少し照れ臭そうに言う弥太君の言葉に、キュン死にするかと思った。彼はこのキャラが濃すぎるメンバーの中で唯一の私の癒やしである。
「ありがとう、弥太君」
嬉しくて、つい頬が緩む。
「お、レアなもん見たわ。」
「あ、本当だぁ。明日はついてるかもぉ」
「久しぶりに見たな、夜江の本気で緩んだ顔」
「っ」
何か口々に失礼な事を言われてる気はするけど、気にしたら負けだよね。
「ま、食べるかー!」
要君の一言で、皆一斉に手を合わせ食べ始める。
そこからは正に宴会騒ぎだった。
私が気のせいだと思いたかったゲーム機でゲームをやり始める要君達とそれを見ながら酒を飲む私と弥太君。
聡の息子は、未だに視線を私に向けたままだった。
こんなにガン見される程の事をした記憶もなければ、美人でもない。よく言って中の上だろう。可もなく不可もなく、平凡な顔つきだと思う。
「夜江ちゃん、それ一口ちょーだい?」
あ、と口を開けて私を見る聖君の口に食べていたさけちーを入れる
「ありがとぉ、夜江ちゃん何飲んでるのー?」
「えーと…今は…梅酒」
何だっけ、とど忘れしてしまい缶を聖君に見せながら言った
「聖君は?」
「もぉ、聖でいいって何度も言ってるのにっ!」
「嫌だ、聖君信者に殺されるもん」
手でバツを作って首を振るとプクッと頬を膨らまして私を見る
イケメン耐性がついてる私にその手は効かないんだけどね
「いいもんっ、その内呼んでもらうからぁ
えーとね、僕が飲んでるのはウォッカのロックー!」
また度数の高い物を…と思いながら梅酒を飲む
「聖一君もちゃんと飲んでるー?」
「あっ、はい飲んでます」
少しオドオドしながらも返事をする聡の息子はどうやら聖一と言うらしい。名前と職業の真逆さよりも、思ったよりも高い声が印象的だった。
聖君がだる絡みしてるのを横目に見ながら、携帯の電源をつけて思わず溜息が漏れた。
隣に座っていた弥太君の肩に頭を乗せるくらいには、私の気力はごっそり奪い取られた。
「どうしたの?」
「……連絡件数が凄くて…見る前に疲れたの、ごめん、突然もたれて」
「それで夜江が楽なら……もたれてていいよ?」
慌てて離れた私を見て、むしろおいでと言わんばかりに手を広げる弥太君。
「……それじゃあお言葉に甘えて」
前までなら必ず断っていたけど、今はフリーで誰も気にしなくてもいい。私は弥太君にもたれて目を瞑る。
現実逃避をしたいけど、逃げる限りこの問題は私に付き纏ってくる。それならば早々に区切りをつけた方が精神衛生上良い筈だ。
そうわかってる筈なのに、私は携帯を開く事を躊躇してしまう。
「ん、わかった」
弥太君に頷いて、エプロンを外して皆の方へ行くと何やら言い合いをしているようだった
「ソファーカバーは水色でしょぉ?」
「いや、女らしさを出す為にもピンクだ!」
「いや、そもそも夜江は黒が好きなんだから黒でいいだろ」
どうやらソファーカバーで揉めてるらしい。
そんなの何色でもいいよなんて言えばやいのやいの言われるのが目に見えている。
「巧さんが選んだ黒がいいです。」
私が巧さんの手から黒のソファーカバーを取ると、ほら見ろと言いたげにドヤ顔する巧さんと悔しそうにする御堂社長達。
「ってか、お前いつまでその呼び方してんの?
別に会社じゃねぇんだからいつも通り居ろよ」
さっきも似たようなセリフを言われたような…
そんな事を思いながら頷いて、散らかったゴミをゴミ袋に纏める
「分かったよ。ご飯出来たからササッと片付けて食べようよ」
「飯っ!?それは急がねぇとな!!ほら、お前も手伝え!」
「あ、はい」
何か男物の服だとか、私の家にはなかった筈のゲーム機とかが見えたのは気のせいという事にしとこう、うん。
片付け終わりリビングへ向かうと、既に料理は並べ終わっていた。
「ん、夜江此処」
隣をポンポンと叩かれ、弥太君の隣に座ると弥太君が少し微笑んでいた。何で微笑んでるのかも分からず首を傾げていると
「此処、夜江の好きな物とり易いんだ……いっぱい食べてね」
少し照れ臭そうに言う弥太君の言葉に、キュン死にするかと思った。彼はこのキャラが濃すぎるメンバーの中で唯一の私の癒やしである。
「ありがとう、弥太君」
嬉しくて、つい頬が緩む。
「お、レアなもん見たわ。」
「あ、本当だぁ。明日はついてるかもぉ」
「久しぶりに見たな、夜江の本気で緩んだ顔」
「っ」
何か口々に失礼な事を言われてる気はするけど、気にしたら負けだよね。
「ま、食べるかー!」
要君の一言で、皆一斉に手を合わせ食べ始める。
そこからは正に宴会騒ぎだった。
私が気のせいだと思いたかったゲーム機でゲームをやり始める要君達とそれを見ながら酒を飲む私と弥太君。
聡の息子は、未だに視線を私に向けたままだった。
こんなにガン見される程の事をした記憶もなければ、美人でもない。よく言って中の上だろう。可もなく不可もなく、平凡な顔つきだと思う。
「夜江ちゃん、それ一口ちょーだい?」
あ、と口を開けて私を見る聖君の口に食べていたさけちーを入れる
「ありがとぉ、夜江ちゃん何飲んでるのー?」
「えーと…今は…梅酒」
何だっけ、とど忘れしてしまい缶を聖君に見せながら言った
「聖君は?」
「もぉ、聖でいいって何度も言ってるのにっ!」
「嫌だ、聖君信者に殺されるもん」
手でバツを作って首を振るとプクッと頬を膨らまして私を見る
イケメン耐性がついてる私にその手は効かないんだけどね
「いいもんっ、その内呼んでもらうからぁ
えーとね、僕が飲んでるのはウォッカのロックー!」
また度数の高い物を…と思いながら梅酒を飲む
「聖一君もちゃんと飲んでるー?」
「あっ、はい飲んでます」
少しオドオドしながらも返事をする聡の息子はどうやら聖一と言うらしい。名前と職業の真逆さよりも、思ったよりも高い声が印象的だった。
聖君がだる絡みしてるのを横目に見ながら、携帯の電源をつけて思わず溜息が漏れた。
隣に座っていた弥太君の肩に頭を乗せるくらいには、私の気力はごっそり奪い取られた。
「どうしたの?」
「……連絡件数が凄くて…見る前に疲れたの、ごめん、突然もたれて」
「それで夜江が楽なら……もたれてていいよ?」
慌てて離れた私を見て、むしろおいでと言わんばかりに手を広げる弥太君。
「……それじゃあお言葉に甘えて」
前までなら必ず断っていたけど、今はフリーで誰も気にしなくてもいい。私は弥太君にもたれて目を瞑る。
現実逃避をしたいけど、逃げる限りこの問題は私に付き纏ってくる。それならば早々に区切りをつけた方が精神衛生上良い筈だ。
そうわかってる筈なのに、私は携帯を開く事を躊躇してしまう。
0
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
羽村美海
恋愛
古式ゆかしき華道の家元のお嬢様である美桜は、ある事情から、家をもりたてる駒となれるよう厳しく育てられてきた。
とうとうその日を迎え、見合いのため格式高い高級料亭の一室に赴いていた美桜は貞操の危機に見舞われる。
そこに現れた男により救われた美桜だったが、それがきっかけで思いがけない展開にーー
住む世界が違い、交わることのなかったはずの尊の不器用な優しさに触れ惹かれていく美桜の行き着く先は……?
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
✧天澤美桜•20歳✧
古式ゆかしき華道の家元の世間知らずな鳥籠のお嬢様
✧九條 尊•30歳✧
誰もが知るIT企業の経営者だが、実は裏社会の皇帝として畏れられている日本最大の極道組織泣く子も黙る極心会の若頭
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
*西雲ササメ様より素敵な表紙をご提供頂きました✨
※TL小説です。設定上強引な展開もあるので閲覧にはご注意ください。
※設定や登場する人物、団体、グループの名称等全てフィクションです。
※随時概要含め本文の改稿や修正等をしています。
✧
✧連載期間22.4.29〜22.7.7 ✧
✧22.3.14 エブリスタ様にて先行公開✧
【第15回らぶドロップス恋愛小説コンテスト一次選考通過作品です。コンテストの結果が出たので再公開しました。※エブリスタ様限定でヤス視点のSS公開中】
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
皇帝陛下は身ごもった寵姫を再愛する
真木
恋愛
燐砂宮が雪景色に覆われる頃、佳南は紫貴帝の御子を身ごもった。子の未来に不安を抱く佳南だったが、皇帝の溺愛は日に日に増して……。※「燐砂宮の秘めごと」のエピローグですが、単体でも読めます。
人生を諦めた私へ、冷酷な産業医から最大級の溺愛を。
海月いおり
恋愛
昔からプログラミングが大好きだった黒磯由香里は、念願のプログラマーになった。しかし現実は厳しく、続く時間外勤務に翻弄される。ある日、チームメンバーの1人が鬱により退職したことによって、抱える仕事量が増えた。それが原因で今度は由香里の精神がどんどん壊れていく。
総務から産業医との面接を指示され始まる、冷酷な精神科医、日比野玲司との関わり。
日比野と関わることで、由香里は徐々に自分を取り戻す……。
ヤクザと私と。~養子じゃなく嫁でした
瀬名。
恋愛
大学1年生の冬。母子家庭の私は、母に逃げられました。
家も取り押さえられ、帰る場所もない。
まず、借金返済をしてないから、私も逃げないとやばい。
…そんな時、借金取りにきた私を買ってくれたのは。
ヤクザの若頭でした。
*この話はフィクションです
現実ではあり得ませんが、物語の過程としてむちゃくちゃしてます
ツッコミたくてイラつく人はお帰りください
またこの話を鵜呑みにする読者がいたとしても私は一切の責任を負いませんのでご了承ください*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる