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恐るべき学校へ入学します
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「小春、次美術だから早く行くよ」
「うん、シリウス起きて」
学校には少しずつ慣れてきた。
出会いイベントが起こる場所は避けていたからか
今の所攻略対象達との面識はない。
常に琥珀とシリウスが居てくれるから友達は居ないけど寂しくもない。
「あぁ…」
授業中は、剣を抱きしめ眠るのがシリウスの日課になった。
「確か今回は自由に題材決めていいのよね?」
「学校内なら何処でも自由って言ってたね
小春は「琥珀様、よろしければ御一緒してもよろしいかしら?」
琥珀の言葉を遮る様に言葉を重ねられ
声がした方を振り返れば赤紫の髪を軽く巻きブラウンの瞳クリっとした目で琥珀を見つめる二階堂
華。侯爵家の御令嬢であり、悪役令嬢予定の人。
どうやら私とシリウスの事は見えてないらしく目線は真っ直ぐ琥珀だけを捉えていた。
その濁った瞳が義姉を見ているようで…とても気持ち悪かった。
ゲームの中の彼女は、婚約者を愛していたけど
婚約者はヒロインに夢中。
自分を愛さずヒロインを愛す婚約者にも
婚約者に愛を向けられるヒロインにも腹を立て
自分の仕業とは決してわからぬよう巧妙に隠しあの手この手でヒロイン達を苦しめる。
因みにBAD ENDだと全てを奪われ抜け殻となった婚約者を抱きしめ意味深に微笑み終わる。
ゲームの中の彼女は決して自分から異性に話しかけたりなんかしなかった。
やはり少しずつおかしくなっているのか?
「申し訳ないが、先約があるので。
それに、婚約者が居る異性の方と2人で行動するのは僕には無理ですね。
婚約者の方にあらぬ疑いをかけられたくはないので。
それでは失礼します。
小春、遅れるから行くよ」
私の手を引きサッサと歩き始める琥珀の顔は不機嫌そうだった。
彼は義姉の様な女性が苦手だ。
苦手…というよりも嫌悪、憎悪に近いかもしれない。
琥珀と関わりたかったのかもしれないが
あの目は、琥珀にとっては地雷だ。
「アイツまた来るぞ。
小春、いつもより学校内では僕達の傍を離れんなよ
アイツの目、あの糞女とおんなじだ。」
あぁ、やっぱり琥珀もそう思ったのか
人を、人とは思ってない目
自分が欲しいと思ったものは必ず手に入ると疑わない目。
何をしてでも手に入れようとする目。
「わかった。
琥珀、琥珀は何の絵描くの?」
場の雰囲気を変えたくて話を変えた
「小春は?」
「私は神殿にしようかなって。
ほら、彼処ならきっと人も少ないしゆっくり描けるかなって」
多分一番人気は薔薇庭園だろう。
その次に時計塔や噴水広場。
神殿は学校の端にあり人もなかなか寄り付かない。
校舎からも遠くわざわざ神殿に行こうとする生徒も少ないのだ
「それじゃあ、僕もそれにしよっかな」
にっと笑った顔を見てホッと安心する
どうやら機嫌が直ったみたいだ。
「そういえば、もうすぐ野外合宿だなぁ」
「…憂鬱だわ」
野外合宿は、実戦練習のような物
ギルドで受けたクエスト終わるまで帰れません。
余りにも長引く様なら先生や先輩方がサポートに入るんだとか。
まぁ、それの何が憂鬱ってパーティーを組まなきゃいけない事。
もしソロで行く場合はギルドのランクがSランク以上であることが求められる。
上からSSS SS S A B C D Eという具合に下がっていく
二人ならSランクが一人居れば良い
ギルドに登録すらしてない私は最下層のEランクから始まる。
よっぽど魔力が多く属性が多かったりしない限りはEランクスタート。
Eランクは主にお手伝い程度の依頼が多い。
犬の散歩や飼い猫探しや薬草採取などなど
「確かシリウスさんSSS誘われて蹴ったんですっけ?」
「え!?」
驚いてシリウスを見ると未だウトウトしてたらしく
取り敢えず頷けば何となると思ってるのかコクコク頷いている
「琥珀は?」
「僕はSS。」
「!?
い、いつの間に二人ともそんなに上がっているの!?
私登録もまだしてないのに…」
「金稼ぎがてらシリウスさんと運動してたら上がってた
今日学校終わったら登録行くか?
登録先に済ませとけば後で楽でしょ」
「そうね。」
簡単そうに言ってるが現実は簡単ではない
AランクからSランクに上がるには試験がある
ギルド側が決めた依頼を本人がクリアする事。
不正防止の為監視もつく。
SランクからSSランクに上がる時も同様だ。
学生として過ごす時間はまだまだある
やらなきゃいけない事も山積みだ。
日に日に薄れていくゲームの記憶を忘れぬよう思い出す度にノート書き込んだ
それを見て攻略対象を避けてきた
これからもそうしていければいいが、現実はそう甘くないと私は知っていた
「うん、シリウス起きて」
学校には少しずつ慣れてきた。
出会いイベントが起こる場所は避けていたからか
今の所攻略対象達との面識はない。
常に琥珀とシリウスが居てくれるから友達は居ないけど寂しくもない。
「あぁ…」
授業中は、剣を抱きしめ眠るのがシリウスの日課になった。
「確か今回は自由に題材決めていいのよね?」
「学校内なら何処でも自由って言ってたね
小春は「琥珀様、よろしければ御一緒してもよろしいかしら?」
琥珀の言葉を遮る様に言葉を重ねられ
声がした方を振り返れば赤紫の髪を軽く巻きブラウンの瞳クリっとした目で琥珀を見つめる二階堂
華。侯爵家の御令嬢であり、悪役令嬢予定の人。
どうやら私とシリウスの事は見えてないらしく目線は真っ直ぐ琥珀だけを捉えていた。
その濁った瞳が義姉を見ているようで…とても気持ち悪かった。
ゲームの中の彼女は、婚約者を愛していたけど
婚約者はヒロインに夢中。
自分を愛さずヒロインを愛す婚約者にも
婚約者に愛を向けられるヒロインにも腹を立て
自分の仕業とは決してわからぬよう巧妙に隠しあの手この手でヒロイン達を苦しめる。
因みにBAD ENDだと全てを奪われ抜け殻となった婚約者を抱きしめ意味深に微笑み終わる。
ゲームの中の彼女は決して自分から異性に話しかけたりなんかしなかった。
やはり少しずつおかしくなっているのか?
「申し訳ないが、先約があるので。
それに、婚約者が居る異性の方と2人で行動するのは僕には無理ですね。
婚約者の方にあらぬ疑いをかけられたくはないので。
それでは失礼します。
小春、遅れるから行くよ」
私の手を引きサッサと歩き始める琥珀の顔は不機嫌そうだった。
彼は義姉の様な女性が苦手だ。
苦手…というよりも嫌悪、憎悪に近いかもしれない。
琥珀と関わりたかったのかもしれないが
あの目は、琥珀にとっては地雷だ。
「アイツまた来るぞ。
小春、いつもより学校内では僕達の傍を離れんなよ
アイツの目、あの糞女とおんなじだ。」
あぁ、やっぱり琥珀もそう思ったのか
人を、人とは思ってない目
自分が欲しいと思ったものは必ず手に入ると疑わない目。
何をしてでも手に入れようとする目。
「わかった。
琥珀、琥珀は何の絵描くの?」
場の雰囲気を変えたくて話を変えた
「小春は?」
「私は神殿にしようかなって。
ほら、彼処ならきっと人も少ないしゆっくり描けるかなって」
多分一番人気は薔薇庭園だろう。
その次に時計塔や噴水広場。
神殿は学校の端にあり人もなかなか寄り付かない。
校舎からも遠くわざわざ神殿に行こうとする生徒も少ないのだ
「それじゃあ、僕もそれにしよっかな」
にっと笑った顔を見てホッと安心する
どうやら機嫌が直ったみたいだ。
「そういえば、もうすぐ野外合宿だなぁ」
「…憂鬱だわ」
野外合宿は、実戦練習のような物
ギルドで受けたクエスト終わるまで帰れません。
余りにも長引く様なら先生や先輩方がサポートに入るんだとか。
まぁ、それの何が憂鬱ってパーティーを組まなきゃいけない事。
もしソロで行く場合はギルドのランクがSランク以上であることが求められる。
上からSSS SS S A B C D Eという具合に下がっていく
二人ならSランクが一人居れば良い
ギルドに登録すらしてない私は最下層のEランクから始まる。
よっぽど魔力が多く属性が多かったりしない限りはEランクスタート。
Eランクは主にお手伝い程度の依頼が多い。
犬の散歩や飼い猫探しや薬草採取などなど
「確かシリウスさんSSS誘われて蹴ったんですっけ?」
「え!?」
驚いてシリウスを見ると未だウトウトしてたらしく
取り敢えず頷けば何となると思ってるのかコクコク頷いている
「琥珀は?」
「僕はSS。」
「!?
い、いつの間に二人ともそんなに上がっているの!?
私登録もまだしてないのに…」
「金稼ぎがてらシリウスさんと運動してたら上がってた
今日学校終わったら登録行くか?
登録先に済ませとけば後で楽でしょ」
「そうね。」
簡単そうに言ってるが現実は簡単ではない
AランクからSランクに上がるには試験がある
ギルド側が決めた依頼を本人がクリアする事。
不正防止の為監視もつく。
SランクからSSランクに上がる時も同様だ。
学生として過ごす時間はまだまだある
やらなきゃいけない事も山積みだ。
日に日に薄れていくゲームの記憶を忘れぬよう思い出す度にノート書き込んだ
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