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第一章
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「はぁ……どうして平和って長続きしないのかしらね」
王城に行く前の気晴らしにピクニックがしたくて、王都の外れにある湖へ来たのに、ここへも刺客達が来ていた。
「立場が立場ですからね」
「私はただの伯爵令嬢なんですけどね。」
プクッと頬を膨らますハルエルの後ろには刺客の山が出来ていた
「シド、はい、これシドのよ」
「いえ俺は「私が作ったサンドイッチは食べたくないの?」………い、ただきます」
ハルエルの上目使いに負けてサンドイッチを受け取ったシドは青褪めていた。シドはこれを食べたら俺は死ぬのではないかと思いながらも、期待の眼差しで見てくるハルエルを無碍には出来ず、恐る恐る異臭を放つサンドイッチを頬張った。
口の中で喧嘩し合う味付けに体が拒否して吐き出そうとするのを必死に堪えて飲み込んだ
「どう?今回はシドに食べてもらいたくて頑張ったのよ」
「っぅ………とても美味しかったです。勿体無いので後は帰ったら大事に食べさせていただきますね。」
美味しいと言われハルエルは嬉しそうに頬を緩めた。
ハルエルは自分の料理が殺戮兵器だとは気付いてない。
味見をしない訳でもレシピ通り作らない訳でもないのに、ハルエルが作ると全て殺戮兵器に早変わりしてしまうのだった。
「……はぁ……ここ、気持ちいいわね。」
「そうですね、領にあった川辺に似てるからですかね」
ハルエルは昔から何処へ行くにもシドを連れ回していた。
だからシドはハルエルのお気に入りの場所を良く知っていた。
「……」
「領地が……恋しいですか?」
無言で空を見上げるハルエルを見て、シドは問いかけた。
「…………勿論恋しいわ。産まれてからずっと過ごした場所だもの。」
それに此処にはお父様が居ない。
その言葉をハルエルが言う事はなかったけれど、シドは分かってしまった
「お嬢……」
「大丈夫よ……だって一人じゃないもの。シドもサラも…犬達だって居るわ。それにずっといる訳じゃない、いつかは領地に帰れるわ…だから、それまでの我慢よ」
一瞬寂しげに目を伏せたハルエルはすぐに上を向き笑った。
「余り無茶はしないで下さいね」
「あら、酷いわシド。私がいつ無茶したって言うの?」
「お嬢はいつも無茶ばっかりじゃないですか。
迷子の子供を探しに行って、迷子の子供は数時間で帰ってきたのにお嬢は一週間も見つからなかったり……お嬢が首を突っ込むと大したことない問題も大問題になるんですから」
昔の事を思い出しているのかシドは、はぁと深くため息をつき、やれやれと首を振った
「いいのよ。だって私がどこに行ってもシドは絶対に見つけてくれるもの」
そうでしょ?と首を傾げるハルエルの目を見て、シドは息を呑んだ。
シドは自分の休憩時間に居なくなったハルエルをいつも迎えに行っていた。
何時間もの捜索をしても見つからないハルエルを、シドはいつも数時間もかからずに見つけていた。
目元を真っ赤にした、シドの小さなお姫様をいつも迎えに行っていた。
シド、と安心した声で自分の名前を呼ぶ小さな女の子を抱き上げて家まで連れて帰るのがシドの役目だった。
「信頼は嬉しいですが、まずは迷子にならないようにして下さい」
いつもどんな思いで探していると思っているのかと、思いながらシドは珈琲を飲んだ。
穏やかに過ぎる時間……犬達が迫りくる刺客達を潰してるのに目を瞑ればだが。
王城に行く前の気晴らしにピクニックがしたくて、王都の外れにある湖へ来たのに、ここへも刺客達が来ていた。
「立場が立場ですからね」
「私はただの伯爵令嬢なんですけどね。」
プクッと頬を膨らますハルエルの後ろには刺客の山が出来ていた
「シド、はい、これシドのよ」
「いえ俺は「私が作ったサンドイッチは食べたくないの?」………い、ただきます」
ハルエルの上目使いに負けてサンドイッチを受け取ったシドは青褪めていた。シドはこれを食べたら俺は死ぬのではないかと思いながらも、期待の眼差しで見てくるハルエルを無碍には出来ず、恐る恐る異臭を放つサンドイッチを頬張った。
口の中で喧嘩し合う味付けに体が拒否して吐き出そうとするのを必死に堪えて飲み込んだ
「どう?今回はシドに食べてもらいたくて頑張ったのよ」
「っぅ………とても美味しかったです。勿体無いので後は帰ったら大事に食べさせていただきますね。」
美味しいと言われハルエルは嬉しそうに頬を緩めた。
ハルエルは自分の料理が殺戮兵器だとは気付いてない。
味見をしない訳でもレシピ通り作らない訳でもないのに、ハルエルが作ると全て殺戮兵器に早変わりしてしまうのだった。
「……はぁ……ここ、気持ちいいわね。」
「そうですね、領にあった川辺に似てるからですかね」
ハルエルは昔から何処へ行くにもシドを連れ回していた。
だからシドはハルエルのお気に入りの場所を良く知っていた。
「……」
「領地が……恋しいですか?」
無言で空を見上げるハルエルを見て、シドは問いかけた。
「…………勿論恋しいわ。産まれてからずっと過ごした場所だもの。」
それに此処にはお父様が居ない。
その言葉をハルエルが言う事はなかったけれど、シドは分かってしまった
「お嬢……」
「大丈夫よ……だって一人じゃないもの。シドもサラも…犬達だって居るわ。それにずっといる訳じゃない、いつかは領地に帰れるわ…だから、それまでの我慢よ」
一瞬寂しげに目を伏せたハルエルはすぐに上を向き笑った。
「余り無茶はしないで下さいね」
「あら、酷いわシド。私がいつ無茶したって言うの?」
「お嬢はいつも無茶ばっかりじゃないですか。
迷子の子供を探しに行って、迷子の子供は数時間で帰ってきたのにお嬢は一週間も見つからなかったり……お嬢が首を突っ込むと大したことない問題も大問題になるんですから」
昔の事を思い出しているのかシドは、はぁと深くため息をつき、やれやれと首を振った
「いいのよ。だって私がどこに行ってもシドは絶対に見つけてくれるもの」
そうでしょ?と首を傾げるハルエルの目を見て、シドは息を呑んだ。
シドは自分の休憩時間に居なくなったハルエルをいつも迎えに行っていた。
何時間もの捜索をしても見つからないハルエルを、シドはいつも数時間もかからずに見つけていた。
目元を真っ赤にした、シドの小さなお姫様をいつも迎えに行っていた。
シド、と安心した声で自分の名前を呼ぶ小さな女の子を抱き上げて家まで連れて帰るのがシドの役目だった。
「信頼は嬉しいですが、まずは迷子にならないようにして下さい」
いつもどんな思いで探していると思っているのかと、思いながらシドは珈琲を飲んだ。
穏やかに過ぎる時間……犬達が迫りくる刺客達を潰してるのに目を瞑ればだが。
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