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番外編 もしも壺に落ちて居なかったら。
4 はじめてのおつかい
しおりを挟む「いいか、幸。
最高神様の所に行ってコレと物を交換してもらうんだぞ」
「うん!わかった!
行ってきます!」
笑顔で手を振ってワープゲートに入っていく幸。
「ど、どうしようどうしよう
やっぱり後追いかけるぅううう!!」
「着いてくのはいいが、くれぐれも見つかるなよー」
ダッシュで追いかけていった千歳に一応声を掛けてタブレットを起動する。
念の為に幸に付けた高性能カメラ(マイク付)の映像がタブレットから流れる。
そもそもの事の発端は千歳である。
人界のテレビを見ていて、一人で頑張っておつかいに行く小さな子供を見てポロポロと泣き
何を思ったのかはじめてのおつかいをさせたいと言い始めた。
そもそも、神界にスーパーだのコンビニだのは無いし
買いに行く場所なんて一個もない。基本自給自足。欲しければ自分で作れの精神だ。
それをアイツは幸までやる気にさせて
仕方ないから最高神様に頼んでお使い先にした。
フンスンフスと鼻息荒く自信満々に歩く幸は俺にはちっとも寝てない。
殆ど千歳の要素で構成されたと言っても過言ではない。
生涯子供を持つ気なんてなかった。
自分みたいな奴に親が勤まるとは到底思えなかった。
「本当…立派に育ったなぁ」
試行錯誤しながら自分なりに育児を頑張ってきた
育児書だって沢山読んだし、それでも思う様にいかなくてイライラすることだってあった。
幸は夜泣きが凄くて俺はその度に起こされて幸をあやした。
その横で、スヤスヤ寝てる千歳を見て何度息の根止めてやろうかと思った事か……
『すみません!最高神?様ってどこにいますか!』
『えーっとね、この道を真っ直ぐ行くと大きな扉があるからそこを入れば会えるよ』
今回の事は他の天使達にも知らせておいたから優しく教えてくれる。
天使達が驚いてるって事はどうせ千歳が泣いてんだろうな
『ありがとうございます!』
「つっくんんんんんん!!
ヤバイよ!もう感動だよ!!バレそうだったから戻ってきた!!!
……って何それ!え!?」
「うるせぇよ」
タブレットを見てまた騒ぎ出す千歳。
「こんなのあったなら言ってよ!!
あ、でも直接も見たかったからちょうど良かったのかな…?」
首を傾げながら横に座る千歳。
「つっくん、帰ってきたらご褒美に何作ってあげたらさっちゃん喜ぶかなぁ?」
「幸スペシャルでいいんじゃね?
あれ好きじゃん」
「よし!それじゃあ、それに追加でさっちゃんの好きないちごゼリーつけてあげよっと!」
冷蔵庫を確認したりタブレットを確認したりバタバタと騒がしい千歳。
本当にこいつ一人居るだけで煩さ5倍増しなんだよなぁ
「つっくん!さっちゃん後どれくらいでつく!?」
「後5分もしないだろうな。」
「!?やばい!間に合うかな?いや間に合わせる!
あっ!!!それ録画してあるよね!?」
「勿論」
「流石!!後で僕に送っといてね!」
ゲート前まで幸が来たのを見て俺はタブレットを閉じてそこら辺にあった雑誌を手に取った
「ただいま!おつかいちゃんとできたよ!」
ダーッと俺目掛けて走ってきて飛びついてくる幸をしっかりと抱きしめる
「ありがとう。幸は凄いな。」
「えへへへ
ちぃパパにも報告してくる!」
「おう、行っといで」
キッチンからワーキャーと騒がしい声が聞こえてくる。
俺も少しは慣れたのかこの騒がしさがそんなに嫌じゃなくなっていた。
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