悪役令嬢の居場所。

葉叶

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番外編

ある男の夢。

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僕にとって姫様は見てるだけで眩しいお姫様。
どうしてなのかわからない。
だけど、姫様の側に居たくて居たくて
僕以外が側に居るのを見るだけで僕の胸の中がグチャグチャにかき混ぜられる。
イライラしてイライラして堪らなくなる。
どうして姫様は僕だけを見てくれないのか 
どうして姫様は僕以外に笑いかけるのかわからなくて
いっその事姫様の手足をもいでしまえば僕から離れなくなるのかななんて考えるけど
姫様が僕に微笑んでくれるだけでどうでも良くなる。
小さくて可愛い姫様。
僕の、僕だけの姫様。

なのに、どうしてだろう。
姫様の事を思うと涙が出るんだ。
悲しくて…胸にぽっかり穴が空くんだ。

最近僕の中に変な物が居る。
僕が僕じゃない時間がある気がする。
記憶がぼやぼやとしていて夢現の中夢の中の僕は姫様を傷つける。

わからない、自分が…わからない。
姫様を大切にしたい。
笑顔の姫様が好き。
美味しそうに甘いものを頬張る姫様が好き。

…姫様が泣いてるのは…嫌だ。

なのに、どうしてこんな感情が湧くんだろう
姫様を傷つけて傷つけて僕だけを見る様にしたい
縛り付けて閉じ込めて僕の手の中でだけ生きていけるようにしたい。
そこには姫様の気持ちなんて必要無くて
姫様が泣いたって哀しんだって…それさえ気にせず姫様を愛でたい。

だから、姫様を殺した。
だから、姫様を僕のものにした。

違う……違うっ

僕は……僕は………っ!!

「っ!?
ゆ…め……?」

「どうかしましたか?大分魘されてましたけど。」

「わ…からない。
何だろう……胸がズキズキ痛む。
とても…悲しい」

どんな夢だったのか覚えてない。
だけど、とても……悲しい夢を見ていた気がする。

何でだろう……
何でこんなに胸がぽっかり空いているんだろう。

「それじゃあ、気分転換に甘い物でも食べますか?
大好物の蜂蜜漬けありますよ。」

「た、食べる!」

きっと甘い物を食べれば忘れられる。
この悲しさも、この胸の痛みも……。

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