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いつから歪んだのか。
骸side
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目の前で胸に穴を開けて笑う彼女を見て
俺の頭の中に昔からあった枷が外れた音を聞いた。
その瞬間記憶が溢れだした
あの空間で父さんと過ごした日々。
…そして姫様…いや、母さんとの記憶。
やっと会えた。
ずっと会いたかった。
画面越しでしか見れなかった人だった。
後少しで会えると言われたからどれだけ寂しくても我慢した。
「起きてっ…起きてよっ…!!」
いくら揺さぶったって起きてくれない。
俺の一番古い記憶は
母の手に抱かれ強く抱きしめられた時。
泣かないで、そう優しく囁いて
ずっと貴方を愛してると泣きながら告げられた。
そして、俺の前から母は消えた。
「俺っ…大きくなったよっ!
母さんを守れるくらいっ…強くなったよ…っ…」
いつか会った時貴方に褒められたくて頑張ってきた
貴方が胸を張れる様な息子になりたかった。
「どうして…っ
何で…何でっ!!」
「骸…っ」
どれだけ願っても母さんは生き返らない
そんな事…わかってる。
わかってるけど、こんなのってない。
父さんは、母さんは俺を捨てたと言ったけど
父さんが居ないときにコッソリ母さんを画面越しに見てたから知ってた
母さんが俺を捨ててなんかいない事。
いつも俺の幸せを願っていてくれた。
側に居れない事を悔やんでくれていた。
だから、大きくなったら母さんに会いに行こうって
父さんから母さんを守ろうって
そう思ってた。
なのに、どうして…?
何故母さんは死んだ?どうして…どうして?
「あぁ…何で忘れてたんだ…
いつも母さんを苦しめるのは…あの人じゃないか…」
「骸っ!何処行くんだ…!」
立ち上がった俺の手を掴むラン。
「ごめん、俺行かなきゃ。
母さん…守らなきゃ。」
ランの手を振りほどき母さんを抱き上げた
此処には置いていけない。
「母さんって…何言ってんだよ」
「…おかしいって思った事はあったんだ。
俺の存在を。
母さんの力で意思を持つ人体が作れるのかって
でも、そんな不安を信じてしまえば俺の存在は何なのかわからなくなる。
だから、考える事を辞めた。
俺は母さんの為に作られたんだって思う事にしたんだよ。
あの時深く考えれば気づけたかも知れない
多分気づくチャンスは何回もあったんだ。
この自体を回避するチャンスは…何回もあったんだ。
ラン…俺さ、もう見てみぬふりするの嫌なんだよ。」
よく考えれば分かるはずだったんだ
人間の母さんに人格がある人体を作れる訳がないって
それも力を持つ人体なんて作れる訳がないって。
だけど、それを否定すれば俺は何なんだ
それを否定してしまえば俺は俺を保てなくなりそうで怖かった。
だから逃げた。追求することを辞めた。
その結果がコレだ。逃げた結果、俺は母さんを失った。
もう逃げたくない。
可能性があるならどれだけぶざまになっても良いから縋りたい
「…っ!
なら約束してくれ。
絶対帰ってくるって。
俺待ってるからさ。」
二カッと笑うランに笑い返したいのに
うまく笑えない。
「…行ってくるよ」
その約束出来なくてごめん。
俺、お前の事嫌いじゃなかったよ
母さんにはお前みたいに真っ直ぐで優しい人と結ばれてほしかったな
父さんの様に自分の幸せの為に母さんを傷付けるような人じゃなくて。
俺の頭の中に昔からあった枷が外れた音を聞いた。
その瞬間記憶が溢れだした
あの空間で父さんと過ごした日々。
…そして姫様…いや、母さんとの記憶。
やっと会えた。
ずっと会いたかった。
画面越しでしか見れなかった人だった。
後少しで会えると言われたからどれだけ寂しくても我慢した。
「起きてっ…起きてよっ…!!」
いくら揺さぶったって起きてくれない。
俺の一番古い記憶は
母の手に抱かれ強く抱きしめられた時。
泣かないで、そう優しく囁いて
ずっと貴方を愛してると泣きながら告げられた。
そして、俺の前から母は消えた。
「俺っ…大きくなったよっ!
母さんを守れるくらいっ…強くなったよ…っ…」
いつか会った時貴方に褒められたくて頑張ってきた
貴方が胸を張れる様な息子になりたかった。
「どうして…っ
何で…何でっ!!」
「骸…っ」
どれだけ願っても母さんは生き返らない
そんな事…わかってる。
わかってるけど、こんなのってない。
父さんは、母さんは俺を捨てたと言ったけど
父さんが居ないときにコッソリ母さんを画面越しに見てたから知ってた
母さんが俺を捨ててなんかいない事。
いつも俺の幸せを願っていてくれた。
側に居れない事を悔やんでくれていた。
だから、大きくなったら母さんに会いに行こうって
父さんから母さんを守ろうって
そう思ってた。
なのに、どうして…?
何故母さんは死んだ?どうして…どうして?
「あぁ…何で忘れてたんだ…
いつも母さんを苦しめるのは…あの人じゃないか…」
「骸っ!何処行くんだ…!」
立ち上がった俺の手を掴むラン。
「ごめん、俺行かなきゃ。
母さん…守らなきゃ。」
ランの手を振りほどき母さんを抱き上げた
此処には置いていけない。
「母さんって…何言ってんだよ」
「…おかしいって思った事はあったんだ。
俺の存在を。
母さんの力で意思を持つ人体が作れるのかって
でも、そんな不安を信じてしまえば俺の存在は何なのかわからなくなる。
だから、考える事を辞めた。
俺は母さんの為に作られたんだって思う事にしたんだよ。
あの時深く考えれば気づけたかも知れない
多分気づくチャンスは何回もあったんだ。
この自体を回避するチャンスは…何回もあったんだ。
ラン…俺さ、もう見てみぬふりするの嫌なんだよ。」
よく考えれば分かるはずだったんだ
人間の母さんに人格がある人体を作れる訳がないって
それも力を持つ人体なんて作れる訳がないって。
だけど、それを否定すれば俺は何なんだ
それを否定してしまえば俺は俺を保てなくなりそうで怖かった。
だから逃げた。追求することを辞めた。
その結果がコレだ。逃げた結果、俺は母さんを失った。
もう逃げたくない。
可能性があるならどれだけぶざまになっても良いから縋りたい
「…っ!
なら約束してくれ。
絶対帰ってくるって。
俺待ってるからさ。」
二カッと笑うランに笑い返したいのに
うまく笑えない。
「…行ってくるよ」
その約束出来なくてごめん。
俺、お前の事嫌いじゃなかったよ
母さんにはお前みたいに真っ直ぐで優しい人と結ばれてほしかったな
父さんの様に自分の幸せの為に母さんを傷付けるような人じゃなくて。
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