悪役令嬢の居場所。

葉叶

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いつから歪んだのか。

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「此処は……
いっ!?」

気づけば私は真っ白な空間にいた。
ポケーっと周りを見渡していると突然頭に激痛がはしる

『瑠璃、俺と約束して?』

『えー、またー?』

『うん。
あのね、俺の事…忘れないでね。
例え瑠璃が死んでも…俺のことは覚えていてね』

『はぁ?死んだ後の事まで約束できないって。
んー、だけど今私が生きてる間の事なら約束したげるよ』

『むぅ、それは当たり前!!
瑠璃、俺瑠璃が大好きだよ。本当は監禁して瑠璃を蕩けるほど甘やかして俺なしじゃ生きていけなくしたいけど…』

『無理無理無理。』

『あっ!お姉ちゃん!ーーさん!』

手を振りこちらへ向かう女の子に向かって走るトラックが見えて私は走り出した

『馬鹿っ!!!危なっ!!!』

ドンっと女の子を押した。

『瑠璃!!!』

『瑠璃…お願いだから…俺を置いていかないで。
瑠璃…瑠璃。
愛してる…大好きだよ。』

『…っ…し…っ…てる…』

『瑠璃…?瑠璃っ!!』

あぁ、これは…私が死んだ時の記憶だ…
最後くらい私も好きだといえばよかったのに
私は言えなかった。ソレを言えば彼を縛り付ける事だと私は知っていた。
彼が私なしで生きていけないんだと…私は知っていた。
だから、言わなかった。

「瑠璃!」

突然グイッと引っ張られる

「な、なに!?
…誰」

引っ張られた方を見ると茶色い髪にグレーの眠そうな目。
私のよく知っている顔。
小さい頃から何度も見てきた顔。

「俺の事忘れたの…?約束したのに…
だけど、今回は許してあげる。
瑠璃、一緒に行こう。」

そう言って私を何処かへ連れて行こうとする手を振り払い距離を取る

「誰だって聞いてるの。
貴方は…真斗じゃない。
顔は同じだけど…貴方は違う」

声も、話し方も、姿も彼なのに
違うと私の本能がいう。
彼じゃない。
アレは、違う

「何を言ってるの?俺は真斗だよ?」

「近寄るな!!お前は違う!
此処が何処だかわかんないし、また死んだし
頭の中とっちらかってるけど、それでもこれだけはわかる!
お前は真斗じゃない!!」

気持ちが悪い。
真斗の顔で、真斗の声で
真斗みたいに話すコイツは何だ、誰だ。
何でこうなってる。何が起きてる。
流れる涙が鬱陶しくて乱暴に腕で拭う。

「ハハッ、やぁっと思い出したの?
362回目でやっとかぁ。本当にどれだけ頭空っぽなの?」

突然に聞き覚えがある声が聞こえた。
振り向けばそこには、あの空間で私を犯しまくった強姦魔が居た。
え、何この変なやつに囲まれる状態。

「な、何でお前が此処に…っ!?」

強姦魔を見て真斗…とは呼びたくないからそっくりさんは驚き強姦魔をキッと睨みつけた

「何でだって…?
そりゃあ、瑠璃が記憶をやぁっと全て思い出したからだよ?
お前がやってくれた傷がやっと癒えたんだ。
あー、本当に長かったよ。何回も何回も繰り返して何回も何回も愛する人の死を目にするなんて何の拷問かと思ったよ」

「何回も…傷…?」

何だろう…この取り残され感。
出てた涙も引っ込んだよね…。


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