悪役令嬢の居場所。

葉叶

文字の大きさ
上 下
40 / 73
平和は突然に壊れる

4

しおりを挟む
「此処は…」

真っ暗で何も見えないのに何処か悲しくて…寂しい場所…

「はぁー…何であんな事しちゃうかなぁ?」

「誰…?」

中性的な声が聞こえてくるけれど姿は見えない

「僕は僕だよ。
僕は僕でしかなく、君も君でしかない。
何でそんなにわかりきってる事を今気にするのかわからないなぁ…」

そういう事を聞きたい訳ではないのだけど…

「そんな事より何であんなつまらない事したの?」

「…何がですか」

「わかってるくせに~
しょうがないから具体的に言ってあげる
何で窓から飛び降りて死のうとしたか聞いてるんだよ」

「それは、貴方には関係ない事では?」

私が死のうと生きようと見ず知らずのこの人には関係ないはずだ。

「関係大ありだよー
だって、僕が君をこの世界へ転生させたんだから
せっかく転生させたのにあんなつまらない終わり方は許せないなぁ」

「…何を…言っているんですか?」

この人は…何を言ってるんだろう。
自分が私を転生させた?

「駄目なんだよ。君は死だけは選んじゃ駄目なんだよ。
ーーーだったとしても。」

なんで…何でそれを知ってるの…誰も知らないはずなのに…

「僕は君の事なら何でも知ってるよ。
君が怖い物も、何をずっと欲しているかも…ね?」

「っ!?」

突然頬を誰かに触られビクッと体が強張る

「あぁ、そうだっ!
今回は君に選ばせてあげるよ。」

「えら…ぶ?」

声が耳元で聞こえゾワゾワゾワッと鳥肌がたつ

「1つ、生き返り僕に楽しいモノを見せる
2つ、僕と此処でずぅっと一緒にいる
さぁ、どっちがいい?」

「ひぅっ!?」

ふぅーっと耳に息を吹きかけられ変な声が出た。

わからない、この人が何をしたいのか
何を考えているのか…わからない。

「考えたければ考えてていいよ
その間、僕は好きに動かしてもらうけど、ね?」

「っんっ…やめっ!」

耳をカリッと噛まれる。
やめてほしくて声が聞こえた方から離れ手を振り回す

「おっと、危ない危ない。
手足動かないようにしようか」

その言葉が聞こえた瞬間突然手足を動かせなくなった
触られてる感覚はあるのに、動かせない

「えっ…な、何で動かないの…!?」

「さぁ、考えてよ。
じゃなきゃ、最後までヤッちゃうよ?」

「っんぅっ!?」

突然唇を奪われ唯一動かせた口さえ塞がれる
こんな事されて考えられる訳がない!
触れられる度に頭の中が真っ白になる。

「アハハッ、もうそんなトロンとした顔しててこの後どうなっちゃうのかなぁ?」

軽快に笑う声が聞こえてくるけれど
もうそんな事を気にする事すら出来なかった。

「…ねぇ、僕を見て。
僕を…忘れないで。瑠璃。」

突然私達の周りだけ明るくなり
一瞬青い瞳を悲しげに震わせた白髪男が見えた。

「え…?ちょっ!んっ…まっ!」

私が驚いている間に口を塞がれ口内に舌が入り込んでくる。
逃げる私の舌を追いかけ…捕まえ…絡めとる。

「アハハッ、いい顔。」

彼が離れるとツーっと私と彼を繋ぐ透明な糸が出来る。
それをグイッと拭き取りニヤァっと笑う彼。

逃げなきゃいけないのに体が動かない。
拒絶しなきゃいけないのに、彼の顔を見るとそんな声も出ない。
私は…彼を知っている。
だけど、どこで見たのか
彼が誰なのか思い出せない。

だけど…私は彼を知ってる。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

転生侍女は完全無欠のばあやを目指す

ロゼーナ
恋愛
十歳のターニャは、前の「私」の記憶を思い出した。そして自分が乙女ゲーム『月と太陽のリリー』に登場する、ヒロインでも悪役令嬢でもなく、サポートキャラであることに気付く。侍女として生涯仕えることになるヒロインにも、ゲームでは悪役令嬢となってしまう少女にも、この世界では不幸になってほしくない。ゲームには存在しなかった大団円エンドを目指しつつ、自分の夢である「完全無欠のばあやになること」だって、絶対に叶えてみせる! *三十話前後で完結予定、最終話まで毎日二話ずつ更新します。 (本作は『小説家になろう』『カクヨム』にも投稿しています)

【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい

三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。 そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。

【完結】婚約者はお譲りします!転生悪役令嬢は世界を救いたい!

白雨 音
恋愛
公爵令嬢アラベラは、階段から転落した際、前世を思い出し、 この世界が、前世で好きだった乙女ゲームの世界に似ている事に気付いた。 自分に与えられた役は《悪役令嬢》、このままでは破滅だが、避ける事は出来ない。 ゲームのヒロインは、聖女となり世界を救う《予言》をするのだが、 それは、白竜への生贄として《アラベラ》を捧げる事だった___ 「この世界を救う為、悪役令嬢に徹するわ!」と決めたアラベラは、 トゥルーエンドを目指し、ゲーム通りに進めようと、日々奮闘! そんな彼女を見つめるのは…? 異世界転生:恋愛 (※婚約者の王子とは結ばれません) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました

冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。 家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。 過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。 関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。 記憶と共に隠された真実とは——— ※小説家になろうでも投稿しています。

【完結】悪役令嬢のトゥルーロマンスは断罪から☆

白雨 音
恋愛
『生まれ変る順番を待つか、断罪直前の悪役令嬢の人生を代わって生きるか』 女神に選択を迫られた時、迷わずに悪役令嬢の人生を選んだ。 それは、その世界が、前世のお気に入り乙女ゲームの世界観にあり、 愛すべき推し…ヒロインの義兄、イレールが居たからだ! 彼に会いたい一心で、途中転生させて貰った人生、あなたへの愛に生きます! 異世界に途中転生した悪役令嬢ヴィオレットがハッピーエンドを目指します☆  《完結しました》

公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。

三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*  公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。  どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。 ※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。 ※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。

悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。 女神『はい、あなた、転生ね』 雪『へっ?』 これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。 雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』 無事に完結しました! 続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。 よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m

転生悪役令嬢は冒険者になればいいと気が付いた

よーこ
恋愛
物心ついた頃から前世の記憶持ちの悪役令嬢ベルティーア。 国の第一王子との婚約式の時、ここが乙女ゲームの世界だと気が付いた。 自分はメイン攻略対象にくっつく悪役令嬢キャラだった。 はい、詰んだ。 将来は貴族籍を剥奪されて国外追放決定です。 よし、だったら魔法があるこのファンタジーな世界を満喫しよう。 国外に追放されたら冒険者になって生きるぞヒャッホー!

処理中です...