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その頃国では…
国王side
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彼女との出会いは、突然だった。
「やっほー、おっじゃましまーす!」
「骸…姫様…僕が抱く…」
「駄目っすよ!」
「本当にこの国でいいのかえ?
警備も甘くて妾心配じゃ…」
人ならざるものに突然囲まれ驚き恐怖した。
それは、扉の外から見える兵士の死体が見えたからではない。
そんな中でキャッキャッ笑う赤子を彼らが大事そうに守っていたからだ。
人外である彼らは、人外であるが故に人間と相容れない。
どうしても考え方が違うのだ。
「っ…何が目的じゃ。
此処にはお前たちが望むような…モノはないぞ」
だからこそ、こんな小さな国に何しに来たのかわからなかった。
「ねぇ、王様ー
僕達はね、君に提案があってきたんだよ?」
「提案…?」
「姫様を守り愛してくれるなら
僕達は、この国を守り繁栄を約束してあげる。」
「詳しくは此方に私達の要求が書いてあります。
承諾するのであれば、サインを」
執事の様な格好をした男が私に紙とペンを渡した。
そこには、小さな愛くるしい姿の男が言っていた事が何項目にも分かれて書かれていた。
大まかに言えば
1、姫様を幸せに暮らさせる事
2、姫様を傷つけない事
3、それが守られている限り繁栄を約束する
4、その間彼らは姿を隠す事。会う場合は国の外で会う事。
5、1名だけ国に住まわせ定期的に姫様に会わせる事
6、もし契約違反が判明した場合報いを受ける事。
「もし断った場合…どうなる…?」
「それは、勿論…ねぇ?
貴方にもわかるんじゃありませんか?」
ニタァと笑う執事の様な格好の男。
断ればこの国ごと消す…という事か
「…わかった。」
あの赤子を傷つけねばいいのだ。
取り敢えず最初は良識ある貴族の家に住まわせ
自分の息子と結婚させ手元に置いて大事に育てよう…
さすれば、この国は栄えるのだから…
サインをし男に紙を渡す
「こちらは、写しでございます。
それでは、契約成立…ですね。
忘れないでくださいね。姫様を傷つければ今回この場にいる種族だけではなく全種族を怒らせる事を…。
姫様、暫しお別れです。元気に育ってくださいね」
私に向けた顔は全く違い慈愛に溢れた顔で赤子を見つめる男。
人外の者達は皆赤子との別れを惜しむかの様にお別れを言っていく。
「骸、姫様頼んだ…よ。
本当は…頼みたく…なんて…ないけど」
「ちゃんと妾が作った服も着せるのじゃぞ!?」
「ご飯は僕が持ってきたのね!!
作り方もちゃんと書いたから!」
「わかったわかった!
俺の鞄の中は、お前達に渡された書類でいっぱいだわ!空間も服で溢れてんだよ!
ほれ!さっさと帰れ!ちゃんと代わりの兵隊置いて帰れ!」
赤子を抱きしめた骸と呼ばれる男は、シッシッと手で追いやる。
「死体は…僕が貰ってく…''影喰い''」
倒れていた兵士は影にのまれ消えていく。
「兵隊は、妾の担当じゃったな。
お前達、変化なさいな。」
どこからか狐が現れポフンッと音がしたかと思うと見慣れた兵士になった。
「これで元通りだねぇ。
まぁ、後で兵士は自分の増やせばいいよー
姫様、大きくなったらまた会おうね。
僕…待ってるからね」
「妾も待っているぞよ。
姫様の可愛い笑顔早く見せに来ておくれ。」
「姫様…本当は…離れたくない…けど
何処にいても…姫様を…想ってる
…絶対…会いに…来てね。…待ってるから…」
最後に赤子の手に口づけそれぞれ帰って行った。
「それじゃあ、王様ーこれからお世話になりますわ。」
ニコッと笑うこの男が残る者か。
「取り敢えず今日は客室を使ってくれ。
メイドも居らぬし私が案内しよう。」
「お願いしまーす」
「ウェエエエン」
赤子の鳴き声にビクッと体が反応する。
そういえば、傷つけるとは何処までなのだろうか。
「あちゃ、姫様ご機嫌ななめか。
ほーら、姫様が大好きなもふもふだよー?」
残った骸という者は、鞄からサッと出した何かの尻尾のようなモノで赤子のほっぺたにフニフニさせた後赤子に渡すと赤子はキャッキャ笑い始めた。
「…傷つけたとはどうやってわかるんだ?
どういう基準なのだ?」
「ん?それは姫様が傷つけられたと思ったらだよ。
姫様の強い感情は俺にもわかるんだよ。
小さいのは本当にうっすらしかわかんねぇけど。
まぁ、赤子の内は仕方ねぇよ。
やりたい事もやれねぇんだからさ。
まぁ、そんなビクビクしてたらこの先もたねぇよ」
ケタケタ笑う男。
コヤツも人外なのだろうか…?
いや、人間では…ないか。
この強さ…そして人外達に対する態度。
この先どうか赤子が幸せに過ごせるよう神に祈り
私は私なりに頑張ろう。
愛する妃を…子供を…そして国民を守らねばならぬ。
私はそう強く決意した筈だったのに…
「やっほー、おっじゃましまーす!」
「骸…姫様…僕が抱く…」
「駄目っすよ!」
「本当にこの国でいいのかえ?
警備も甘くて妾心配じゃ…」
人ならざるものに突然囲まれ驚き恐怖した。
それは、扉の外から見える兵士の死体が見えたからではない。
そんな中でキャッキャッ笑う赤子を彼らが大事そうに守っていたからだ。
人外である彼らは、人外であるが故に人間と相容れない。
どうしても考え方が違うのだ。
「っ…何が目的じゃ。
此処にはお前たちが望むような…モノはないぞ」
だからこそ、こんな小さな国に何しに来たのかわからなかった。
「ねぇ、王様ー
僕達はね、君に提案があってきたんだよ?」
「提案…?」
「姫様を守り愛してくれるなら
僕達は、この国を守り繁栄を約束してあげる。」
「詳しくは此方に私達の要求が書いてあります。
承諾するのであれば、サインを」
執事の様な格好をした男が私に紙とペンを渡した。
そこには、小さな愛くるしい姿の男が言っていた事が何項目にも分かれて書かれていた。
大まかに言えば
1、姫様を幸せに暮らさせる事
2、姫様を傷つけない事
3、それが守られている限り繁栄を約束する
4、その間彼らは姿を隠す事。会う場合は国の外で会う事。
5、1名だけ国に住まわせ定期的に姫様に会わせる事
6、もし契約違反が判明した場合報いを受ける事。
「もし断った場合…どうなる…?」
「それは、勿論…ねぇ?
貴方にもわかるんじゃありませんか?」
ニタァと笑う執事の様な格好の男。
断ればこの国ごと消す…という事か
「…わかった。」
あの赤子を傷つけねばいいのだ。
取り敢えず最初は良識ある貴族の家に住まわせ
自分の息子と結婚させ手元に置いて大事に育てよう…
さすれば、この国は栄えるのだから…
サインをし男に紙を渡す
「こちらは、写しでございます。
それでは、契約成立…ですね。
忘れないでくださいね。姫様を傷つければ今回この場にいる種族だけではなく全種族を怒らせる事を…。
姫様、暫しお別れです。元気に育ってくださいね」
私に向けた顔は全く違い慈愛に溢れた顔で赤子を見つめる男。
人外の者達は皆赤子との別れを惜しむかの様にお別れを言っていく。
「骸、姫様頼んだ…よ。
本当は…頼みたく…なんて…ないけど」
「ちゃんと妾が作った服も着せるのじゃぞ!?」
「ご飯は僕が持ってきたのね!!
作り方もちゃんと書いたから!」
「わかったわかった!
俺の鞄の中は、お前達に渡された書類でいっぱいだわ!空間も服で溢れてんだよ!
ほれ!さっさと帰れ!ちゃんと代わりの兵隊置いて帰れ!」
赤子を抱きしめた骸と呼ばれる男は、シッシッと手で追いやる。
「死体は…僕が貰ってく…''影喰い''」
倒れていた兵士は影にのまれ消えていく。
「兵隊は、妾の担当じゃったな。
お前達、変化なさいな。」
どこからか狐が現れポフンッと音がしたかと思うと見慣れた兵士になった。
「これで元通りだねぇ。
まぁ、後で兵士は自分の増やせばいいよー
姫様、大きくなったらまた会おうね。
僕…待ってるからね」
「妾も待っているぞよ。
姫様の可愛い笑顔早く見せに来ておくれ。」
「姫様…本当は…離れたくない…けど
何処にいても…姫様を…想ってる
…絶対…会いに…来てね。…待ってるから…」
最後に赤子の手に口づけそれぞれ帰って行った。
「それじゃあ、王様ーこれからお世話になりますわ。」
ニコッと笑うこの男が残る者か。
「取り敢えず今日は客室を使ってくれ。
メイドも居らぬし私が案内しよう。」
「お願いしまーす」
「ウェエエエン」
赤子の鳴き声にビクッと体が反応する。
そういえば、傷つけるとは何処までなのだろうか。
「あちゃ、姫様ご機嫌ななめか。
ほーら、姫様が大好きなもふもふだよー?」
残った骸という者は、鞄からサッと出した何かの尻尾のようなモノで赤子のほっぺたにフニフニさせた後赤子に渡すと赤子はキャッキャ笑い始めた。
「…傷つけたとはどうやってわかるんだ?
どういう基準なのだ?」
「ん?それは姫様が傷つけられたと思ったらだよ。
姫様の強い感情は俺にもわかるんだよ。
小さいのは本当にうっすらしかわかんねぇけど。
まぁ、赤子の内は仕方ねぇよ。
やりたい事もやれねぇんだからさ。
まぁ、そんなビクビクしてたらこの先もたねぇよ」
ケタケタ笑う男。
コヤツも人外なのだろうか…?
いや、人間では…ないか。
この強さ…そして人外達に対する態度。
この先どうか赤子が幸せに過ごせるよう神に祈り
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