悪役令嬢の居場所。

葉叶

文字の大きさ
上 下
8 / 73
捧げ物になりました。

8

しおりを挟む
あの後私は魔神こと、ランを離すのを諦め
ポポとピピが持ってきてくれた本をベットの背にもたれながら読んでいた。
これが動ける限界だったんです!!

それにしても中々この本面白い…
魔法使い目線の勇者の物語なのだけれど
日記のように書かれていて
今日は勇者のズボンの紐をぬくというイタズラをしてみた。
勇者は気付かず戦いの最中にズボンが脱げ呆然としてる勇者が死にかけたけれどパンツのまま戦っていて笑いを堪えるのが大変だった
とか、そんな感じな事が書かれていた。
この魔法使いは、勇者にいたずらするのが好きだったようだ…

「んぅ……何してんだぁ…?」

目を擦りながら私を見るラン

「ピピとポポが持ってきてくれた本を読んでます」

ピピとポポは私の横ですやすや寝ている

「そうか…もうこんな時間か…
こんなに寝たのは初めてだ…」

時計をチラリと見て何故かまた私の腰に抱きつくラン。
何か段々慣れてきた…

「ランさん起きなくてもいいんですか?
また寝るなら一度離してもらいたいのですが…!」

「…………やだ」

そんな駄々っ子みたいな言い方されましてもっ!!
可愛いけどっ…可愛いけどさっ!

「どうしてですか?」

「…何かお前抱き締めてると落ち着く。」

「そ、そうですか…
私コレもう読み終わるので他の本持ってきたいんですが…」

ずっとボーッとしてるのは中々辛いんだぜ…

「んー…ちょっと待て」

ランが手を空中にかざすと小さな扉が出てきて
ランは扉を開けて中をガサゴソ漁る

「ジャンルは何でもいいのか?」

「ま、まぁ。
難しい本でなければ…」

「なら、コレくらいあればいいか?」

出した本をふよふよ浮かせベット横にある棚に置いた
10冊くらいある…

「あ、ありがとうございます。
まだ寝ますか?」

「わからん…
腹が減ったら言えよ。」

そう言いながらも目は徐々に閉じていっている

「はい。おやすみなさい。」

サラサラの黒髪がランが動く度さらっと動くのが気になってつい手が伸びた

気持ちよさそうに目を細め
少し経つと寝息が聞こえてきた。

「まるで、猫みたい。
さて、本読もうかなっ」

御令嬢時代は、本はその時の流行りしか読めなかった。
御令嬢同士の付き合いでやるお茶会では必ずその話になるし
話についていけないと色々言われてしまう。

まだここに来てそんなに経ってないのに
御令嬢時代よりここに居る方が凄く落ち着く。
誰も私を責めない。
媚びた目も見張る目もない。
一挙一動をずっと見て私が間違えるのを待つ人も居ない。
此処は気を張らなくて良くていいなぁ…



しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約者はお譲りします!転生悪役令嬢は世界を救いたい!

白雨 音
恋愛
公爵令嬢アラベラは、階段から転落した際、前世を思い出し、 この世界が、前世で好きだった乙女ゲームの世界に似ている事に気付いた。 自分に与えられた役は《悪役令嬢》、このままでは破滅だが、避ける事は出来ない。 ゲームのヒロインは、聖女となり世界を救う《予言》をするのだが、 それは、白竜への生贄として《アラベラ》を捧げる事だった___ 「この世界を救う為、悪役令嬢に徹するわ!」と決めたアラベラは、 トゥルーエンドを目指し、ゲーム通りに進めようと、日々奮闘! そんな彼女を見つめるのは…? 異世界転生:恋愛 (※婚約者の王子とは結ばれません) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

【完結】悪役令嬢のトゥルーロマンスは断罪から☆

白雨 音
恋愛
『生まれ変る順番を待つか、断罪直前の悪役令嬢の人生を代わって生きるか』 女神に選択を迫られた時、迷わずに悪役令嬢の人生を選んだ。 それは、その世界が、前世のお気に入り乙女ゲームの世界観にあり、 愛すべき推し…ヒロインの義兄、イレールが居たからだ! 彼に会いたい一心で、途中転生させて貰った人生、あなたへの愛に生きます! 異世界に途中転生した悪役令嬢ヴィオレットがハッピーエンドを目指します☆  《完結しました》

モブ令嬢ですが、悪役令嬢の妹です。

霜月零
恋愛
 私は、ある日思い出した。  ヒロインに、悪役令嬢たるお姉様が言った一言で。 「どうして、このお茶会に平民がまぎれているのかしら」  その瞬間、私はこの世界が、前世やってた乙女ゲームに酷似した世界だと気が付いた。  思い出した私がとった行動は、ヒロインをこの場から逃がさない事。  だってここで走り出されたら、婚約者のいる攻略対象とヒロインのフラグが立っちゃうんだもの!!!  略奪愛ダメ絶対。  そんなことをしたら国が滅ぶのよ。  バッドエンド回避の為に、クリスティーナ=ローエンガルデ。  悪役令嬢の妹だけど、前世の知識総動員で、破滅の運命回避して見せます。 ※他サイト様にも掲載中です。

悪役令嬢のビフォーアフター

すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。 腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ! とりあえずダイエットしなきゃ! そんな中、 あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・ そんな私に新たに出会いが!! 婚約者さん何気に嫉妬してない?

寝る間が極楽、だが寝れない

Hk
恋愛
【第14回恋愛小説大賞にて奨励賞を頂きました】  修道女のステファニーは国王の庶子だが、幼い頃から修道院で暮らしていた。ある日還俗してオーウェン・バートン伯爵の元へ降嫁することを命じられる。  一方、オーウェンは自身が携わった鉱山採掘における崩落事故のトラウマで、不眠と閉所恐怖症に悩まされていた。強制的な結婚だったので、3年で離縁することをステファニーに約束するオーウェン。  しかし降嫁してきたステファニーはなんだか変わっていて、一緒に過ごすうちにトラウマが薄れだんだんステファニーのことが気になって仕方なくなってきて… ※本編完結。たまに番外編を更新しています ※他サイトにも投稿しています ※主人公の仕事については一部ふわふわ設定です ※表紙イラストはあまもり様(@amamori_stst)に描いて頂きました

【完結】悪役令嬢になるはずだった令嬢の観察日記 

かのん
恋愛
 こちらの小説は、皇女は当て馬令息に恋をする、の、とある令嬢が記す、観察日記となります。  作者が書きたくなってしまった物語なので、お時間があれば読んでいただけたら幸いです。

婚約破棄された悪役令嬢にはヤンデレ婚約者が宛がわれました

荷居人(にいと)
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢の結末って死ぬ運命にあるか国外追放か。で、乙女ゲーム転生で悪役令嬢になっちゃったといえば死なないためにふんばるか、国外追放やっほーいな気分でそれを目指して平民になろうとするかだと私は思ってる。 大抵転生悪役令嬢はなんだかんだいいポジション枠で幸せになるよね! なのに私は悪役令嬢に転生してると記憶を取り戻したのはいいとして既に断罪される直前。お決まりの婚約破棄後に言われたのは強制的な次の婚約先!その相手は悪役令嬢のストーカーモブで………。 「あれ?意外にいい男だ」 乙女ゲームでは声のみ出演だったモブは悪役令嬢側からしたらなしでも、私からすればありありの婚約者でした。 寧ろ推しより好みです!ストーカー、ヤンデレ、束縛上等!だってそれだけ愛されてるってことだもんね!

悪役令嬢は婚約破棄したいのに王子から溺愛されています。

白雪みなと
恋愛
この世界は乙女ゲームであると気づいた悪役令嬢ポジションのクリスタル・フェアリィ。 筋書き通りにやらないとどうなるか分かったもんじゃない。それに、貴族社会で生きていける気もしない。 ということで、悪役令嬢として候補に嫌われ、国外追放されるよう頑張るのだったが……。 王子さま、なぜ私を溺愛してらっしゃるのですか?

処理中です...