悪役令嬢の居場所。

捧げ物になりました。

7

「ん…………ん！？」

目を開けて目に入った光景を疑った。
何度も瞬きしたり自分のほっぺたをつねってみたけど何も変わらない。

目の前にはすぅすぅ寝息をたてて眠る魔神。
何故か抱きしめられる形で…
しかも！何故か魔神は半裸！？
くぅっ！見てはいけないけど目が勝手に程よくついた筋肉にっ！！

「んぅ…あぁ、起きたのか…？」

「え、あっ、えっと」

目をショボショボさせて何故か私の胸元に頭をグリグリ擦り付ける。
これ夢かな？うん、夢に違いない！
あ、魔神寝癖ついてるー。ハハッ…ハハハッ

「お前…俺と同じ石鹸なのに…何か良い匂いすんな…」

「お、おおおお同じ石鹸…！？」

「昨日お前倒れちゃって
そのまま寝かせようにもドレスは泥まみれだし汗かいてたから風呂に入れた…ふわぁーあ」

眠そうに欠伸しながら淡々と告げる魔神

「お、おおお風呂に入れた…っ！？」

中々の問題発言だと思うんですが！？
い、いやね、その親切心はとても有り難いけど！裸を見られたってことじゃん！？冷静でいられるわけないじゃん！

「うむ…」

コックリコックリ私の胸元でする魔神は今にも眠ってしまいそうだ。
よく見てみれば私が来ている服はラフな男物のTシャツ。

「ま、ままま魔神様…！
ね、寝る前に離して下さいませ！」

私の力では腰に巻き付くこの手を引きはがせない…！

「むぅー…俺は…ランだ…それに…離すのは嫌じゃ…」

ぎゅうっと抱きしめる力は強くなり魔神からはすぅすぅ寝息が聞こえ始めた

ラン…それが名前なのかな…

っていうか…！寝られてしまった！！
こんな安らかな寝顔見たら起こせないじゃないか！！
くぅ！どうすればいいんだ！！