悪役令嬢の居場所。

葉叶

文字の大きさ
上 下
4 / 73
捧げ物になりました。

4

しおりを挟む
「…落ち着いたか?」
「ずびまべん…」

渡されたティッシュで鼻をかむ。

「少しお前に興味が出た。何があったか話してみろ。」

いつの間にか私は魔神の膝の上で後ろから抱きしめられていた。
うろ覚えではあるけど、泣いてる最中
あ、これ中々手が辛いとか
お、これは楽だぞとか聞こえた気もするけど!!
正気が戻って来ると同時に恥ずかしくなったが
どうせいつ死ぬかわからないのだから恥なんて気にしてられない!という謎理論でそのままの体制で卒業パーティーであったことを話した。

「別に婚約者が好きだった訳じゃないんですよ?
普通に婚約破棄を言っていただければ私は全然構いませんでした!けど、まず!この婚約じたいあちら側から頼み込まれたものなんです!!
なのに、やってもいない罪をかぶせられるし、両親もその話を信じて捨てられるし…
私何かしましたか?両親の為に仕事も大幅に拡大させて働きましたし王妃としての修行も努力してました!
1日の睡眠時間2時間ですよ!?休憩なんてとれたらいいほうだし!!私…っ、わたし…そんないけないことしましたか…?」

父と母を助ける為寝る間も惜しんで勉強して、仕事の売上も年々倍になっていたし、王妃としてのレッスンも担当の先生方にはとても褒められた。私…ここまでされるような事しましたか?

「うむぅー…俺はそちらの世界の常識はよくわからんが、お前が沢山努力をしたのはわかるぞ。
お前の手は、努力の証が沢山ついているからな。」

私の手を触り優しく言った。
私の手は令嬢らしくない手だ。傷まみれでタコもいくつも出来てる。
ハンドクリームを塗っても追いつかないから、いつもは手袋をして隠していた。

「…っ」
「お前帰る家ないんだったな。仕方ないから俺が面倒を見てやる。
まぁ、お前が住んでた世界の様な贅沢は出来ないがな」

スッと私を抱いたまま立ち上がる

「えっ!?わ、私重いから!下ろしていいよ!?」
「こんなの軽い。俺を誰だと思っているんだ?魔神だぞ?人ひとり持つのが辛いわけなかろう」

いや、恥ずかしいから!!こんなの前世でもされたことないから!!

私の必死の訴えなど聞かずそのまま魔神はスタスタ歩き始めた。


    
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

[完結済み]メイドの私から証拠隠滅できると、お思いですか?

BBやっこ
恋愛
ショートショート『お嬢様、いろんな方との恋の駆け引きを楽しんでいらっしゃいますが、証拠隠滅するのは私なんですね?』からの長編版。読まなくてもわかるように展開。 マライヤ・チェンバラスは、令嬢ながらメイドとして王城で働いていた。 実家の財政危機のため、決まっていた婚約を破棄。 相手への気持ちを封印して、日々仕事に励んでいた。その相手は次期宰相。家同士の婚約だったが、親愛の情を育んでいた。しかし。マライヤの実家が嵐の被害で復興に集中する以上。宰相家の負担になる。 若い2人の間を考え、家長同士の婚約破棄に。 …その後の2人は? 大賞向けに1ヶ月で完結まで書き上げるぞ!と気合を入れて。投稿中です。

悪役令嬢を演じて婚約破棄して貰い、私は幸せになりました。

シグマ
恋愛
伯爵家の長女であるソフィ・フェルンストレームは成人年齢である十五歳になり、父親の尽力で第二王子であるジャイアヌス・グスタフと婚約を結ぶことになった。 それはこの世界の誰もが羨む話でありソフィも誇らしく思っていたのだが、ある日を境にそうは思えなくなってしまう。 これはそんなソフィが婚約破棄から幸せになるまでの物語。 ※感想欄はネタバレを解放していますので注意して下さい。 ※R-15は保険として付けています。

【完結】婚約者はお譲りします!転生悪役令嬢は世界を救いたい!

白雨 音
恋愛
公爵令嬢アラベラは、階段から転落した際、前世を思い出し、 この世界が、前世で好きだった乙女ゲームの世界に似ている事に気付いた。 自分に与えられた役は《悪役令嬢》、このままでは破滅だが、避ける事は出来ない。 ゲームのヒロインは、聖女となり世界を救う《予言》をするのだが、 それは、白竜への生贄として《アラベラ》を捧げる事だった___ 「この世界を救う為、悪役令嬢に徹するわ!」と決めたアラベラは、 トゥルーエンドを目指し、ゲーム通りに進めようと、日々奮闘! そんな彼女を見つめるのは…? 異世界転生:恋愛 (※婚約者の王子とは結ばれません) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

所(世界)変われば品(常識)変わる

章槻雅希
恋愛
前世の記憶を持って転生したのは乙女ゲームの悪役令嬢。王太子の婚約者であり、ヒロインが彼のルートでハッピーエンドを迎えれば身の破滅が待っている。修道院送りという名の道中での襲撃暗殺END。 それを避けるために周囲の環境を整え家族と婚約者とその家族という理解者も得ていよいよゲームスタート。 予想通り、ヒロインも転生者だった。しかもお花畑乙女ゲーム脳。でも地頭は悪くなさそう? ならば、ヒロインに現実を突きつけましょう。思い込みを矯正すれば多分有能な女官になれそうですし。 完結まで予約投稿済み。 全21話。

忘れるにも程がある

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたしが目覚めると何も覚えていなかった。 本格的な記憶喪失で、言葉が喋れる以外はすべてわからない。 ちょっとだけ菓子パンやスマホのことがよぎるくらい。 そんなわたしの以前の姿は、完璧な公爵令嬢で第二王子の婚約者だという。 えっ? 噓でしょ? とても信じられない……。 でもどうやら第二王子はとっても嫌なやつなのです。 小説家になろう様、カクヨム様にも重複投稿しています。 筆者は体調不良のため、返事をするのが難しくコメント欄などを閉じさせていただいております。 どうぞよろしくお願いいたします。

モブ令嬢、当て馬の恋を応援する

みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。

【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。

なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。 本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!

処理中です...