破滅お断り。

葉叶

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「クリストファー王子、貴方はいくつか誤解をしているようですわ」

「誤解だと?」

眉間にシワを寄せこちらを睨む

「えぇ、まず私が彼女を虐げ彼女をならず者に襲わせた。そう申しましたがそれは無理ですわ」

「何人もの証人がいるのにしらばっくれるつもりか!?」

今にも私に掴みかかりそうな王子を近衛兵が抑える

「しらばっくれるも何も
私、この学校を彼女が入学する前に卒業してましてよ?
ですから、彼女と会うのは今日が初めてですわ。
どうやって彼女を虐げるのです?
この学校は、沢山の御令嬢や御子息達が通う学校です。
その為警備も厳重で在校生以外の立ち入りは特別な時しか許されてませんのよ?」

例え卒業生でも許されない。
何かあってからでは遅いからこそ、不安の種を全てつみとっているのだ。

「卒業…?だが、だとしたら何故ここに居る…」

ポカンとしている王子達。
この学校は飛び級が出来る
まぁ、飛び級をする為にはかなり難易度が高いテストと論文の提出をやらねばならないのだけど
それさえクリアすればどんどん飛び級出来るのだ
もしかしたら何もしてなくても罪を被せられるかもしれないと思い私は彼女が来る前にとっとと学校を卒業したのだけど
どうやら知らなかったみたいですね

「えぇ。今回私がここに居るのはパーティーに招待されたからですわ。
卒業パーティーでは婚約者が居る者は婚約者を招待し踊るのが常識ですわ。
ですから、卒業はしましたが私はここに居ますのよ」

ニコリと微笑めば、何がなんだか理解できてないのか相変わらずポカンとしている王子達
ヒロインは、顔を顰めてますけどね

「それと、先程私との婚約破棄、と申しましたが
私とクリストファー王子は婚約しておりません。
確かに顔合わせはありましたが
その2年後に婚約するという話自体無かった事になってますのよ?」

「な、なんだと!?私は何も聞いてないぞ!
それに、なら何故お前は王宮に来ていた!?」

「それは私が王国一の魔術師であり、アルフォンス王太子の妻だからですわ。
今日も夫であるアルフォンス王太子からの招待でここに来ておりますのよ」

あの時どうにかして状況を変えられないかと探した結果見つけたのは魔術師への道だった。
幸い私は魔力が強く才能があったからかいつの間にやら最年少の王国一の魔術師となっていた
その時に国王陛下が何でも私の言うことを一つ聞いてくれると言ったので
婚約自体を無かったことにしてほしいと頼んだ。
それを叶えてくれるなら私はこの国を守りますと約束し。

アルフォンス王太子との結婚は
まぁ…色々…うん…あって…まぁね、うん。触れないでくれ!

気付けばアルの手が私の腰に添えられ
先程までの胡散臭い笑顔は何処かへ行ったのか蕩けそうな笑顔で私に微笑む
微笑んでいる筈なのに私のドレスと同じ色の赤い目は今にも私を食べてしまいそうな程ギラついていた。

「誰の情報で私が犯人に仕立て上げられたのかわかりませんが先程言った事は全てデタラメですわ。
彼女を害す理由が私にはありませんしね。」

理解が追いついてないのかポカンと間抜け面をしている王子達。

「ユリア、君は今日もなんて美しいんだ。
やっぱり誰にも見せたくなかったな」

私の手を取りキスしながらギラギラした目で私を見つめる

「アル様!嘘じゃないんです!本当なんです」

突然の衝撃に受け身も取れずその場に尻餅をつく
何が起きたのかと思い前を見るとヒロインがアルに抱きついていた
涙目で谷間を強調させたドレスを存分に活かし腕に胸をくっつけていた

「ユリア!大丈夫か…?」

その手を振り払いすぐ様私に駆け寄るアルの手を握り立ち上がる

「えぇ、大丈夫ですわ。落ち着いて下さいませ」

私が両手でアルの手を握り微笑むと納得はしてないだろうが取り敢えず理解はしてくれたようだ

「私は彼女がお前達には何もしないでほしいと
私は関わらないでほしいと言ったから
今まで私はお前達がどれ程馬鹿な事をしようと目を瞑ってきたが
我慢にも限界がある。
彼女のお腹には時期国王である私の子供がいる。
大事にしてなければいけない時期の身重の女性を突き飛ばすなんて言語道断だ。」

「国王陛下である父上もこれまでの件には御立腹だ。
お前達の両親も厳しい処罰をと私達に頼んできた。
今回の件だけではなくお前達には幾つもの罪状が上がっている。
暫く冷たい牢屋で頭を冷やすといい。
連れて行け!」

唖然とする王子達とよくわからない事を叫ぶヒロインは兵に連れられ出ていった

「この度は大事なパーティーを邪魔してすまなかった。
お詫びに王宮料理長達からの料理を堪能してくれ。」

辺りから拍手が鳴り響き彼はニコリと笑い私の腰に手を添え国王陛下の元へ向かう

「国王陛下、妻を休ませてきてよろしいでしょうか?
大丈夫と言ってはいますが何かあってからでは遅いので」

「あぁ。孫に何かあったら大変だからな。
ユリアンディーネ嬢私の愚息が迷惑をかけてしまってすまない。
ゆっくり休んでくれ」

「いえ、気にしないでくださいませ。
今は私…幸せですから。
それではお先に失礼致します」

私と彼との出会いは偶然だったけど
魔術師を目指さなければなかった未来。

足掻いて良かった
諦めなくて良かった

「ユリア?どうかした?」

「んーん、何でもないわ」

優しく微笑む彼の手を握り私は会場を後にした
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