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私はあの後病院に連れて行かれ少しの間入院となった。
私は気付かなかったけど骨が折れていたようだ。
つーくんは私が入院している間私から一度も離れなかった。
入浴も何故か看護師さんじゃなくてつーくんがやってたし、トイレもつーくんが多目的トイレまで連れてく始末だった。
「蜜樹、家帰っても安静にするんやで。」
そして、今日はやっと退院です!
つーくんは外に出ても私を抱き締めて離さなかった。
「うん。」
とは言っても、いつも安静にしてる私からすれば通常の生活をすればいいだけである。
「帰ったら蜜樹の好きなアイス食べよな」
「うんっ」
あの日つーくんが泣いてから表面上は何も変わってない。
だけど、たまに夜中に難しい顔をしてつーくんが電話で言い争ってる声が聞こえる。
それにたまに私の手を握りながら震えてる。
私?私は何も変化ないよ。
あんな事、あの家でされた事と何も変わらない事だから。
慣れたとかじゃなくて、そういうものだと思ってる。
私の普通は、ああいうことが起こるのが普通で
つーくんとの日常は非日常なんだ。
だから、こんな事で変わるもクソもない。
「蜜樹、痛なったらすぐ言うんやで」
つーくんに連れられて着いたのは前とは違う家だった。
前は和一色だったのに今度は床がフローリングだ!
「つーくん、ここ何処?」
「ん?僕と蜜樹の新しい家やで。
蜜樹がしたいように部屋の中も変えてえぇからね。
取り敢えず適当に揃えただけやから」
「わかった。」
モノクロで統一された部屋。
たまにペンギンとか白いアザラシのぬいぐるみがある。
これは前の家に置いてあったつーくんからのプレゼントだ。
ある日突然大きなぬいぐるみ抱えて笑顔で渡してきたんだよね。
触り心地抜群で中々気に入ってる。
でかいソファーに座り私を膝の上に乗せるつーくん。
やっぱり何かおかしい気がする。
だけど、触れていいのかわからない。
あの人達は分かりやすかった。何が駄目で何がいいか。
でもつーくんの許容範囲が未だに掴めない。
「蜜樹はどんな部屋がえぇ?」
つーくんは、私に見えるように携帯を持ちスッスッと操作していく。
色んな部屋を見たけど、私にはどれもピンとこなかった。
私には自分の家も部屋もなかった。
だから、どんな部屋がいいと言われてもよく分からなかった。
私にとって部屋とは犯される場所であり殴られる場所だった。
あぁ、でもつーくんと過ごしたあの畳の部屋が私の部屋だったのならあんな部屋が良い。
穏やかで、私を傷つけるモノが何もない部屋。
「どれもピンとこんか?」
「私こういうの良くわからない。
前につーくんと過ごした部屋みたいに、穏やかでつーくんの匂いがするなら何でもいい。」
つーくんを見上げながら言えば、つーくんはキョトンとした顔をして何度も瞬きを繰り返す。
……私そんなに変な事言ったかな
「っ………そか。そんならモノは蜜樹が気に入ったモン出来た時に変えよか。」
「うん」
ぎこちなく笑うつーくんは今にも泣きそうで、私はソレに触れずにつーくんの胸にもたれた。
私を抱く手が震えている事も気付かないフリをして、私は静かに彼の腕の中にいた。
私は気付かなかったけど骨が折れていたようだ。
つーくんは私が入院している間私から一度も離れなかった。
入浴も何故か看護師さんじゃなくてつーくんがやってたし、トイレもつーくんが多目的トイレまで連れてく始末だった。
「蜜樹、家帰っても安静にするんやで。」
そして、今日はやっと退院です!
つーくんは外に出ても私を抱き締めて離さなかった。
「うん。」
とは言っても、いつも安静にしてる私からすれば通常の生活をすればいいだけである。
「帰ったら蜜樹の好きなアイス食べよな」
「うんっ」
あの日つーくんが泣いてから表面上は何も変わってない。
だけど、たまに夜中に難しい顔をしてつーくんが電話で言い争ってる声が聞こえる。
それにたまに私の手を握りながら震えてる。
私?私は何も変化ないよ。
あんな事、あの家でされた事と何も変わらない事だから。
慣れたとかじゃなくて、そういうものだと思ってる。
私の普通は、ああいうことが起こるのが普通で
つーくんとの日常は非日常なんだ。
だから、こんな事で変わるもクソもない。
「蜜樹、痛なったらすぐ言うんやで」
つーくんに連れられて着いたのは前とは違う家だった。
前は和一色だったのに今度は床がフローリングだ!
「つーくん、ここ何処?」
「ん?僕と蜜樹の新しい家やで。
蜜樹がしたいように部屋の中も変えてえぇからね。
取り敢えず適当に揃えただけやから」
「わかった。」
モノクロで統一された部屋。
たまにペンギンとか白いアザラシのぬいぐるみがある。
これは前の家に置いてあったつーくんからのプレゼントだ。
ある日突然大きなぬいぐるみ抱えて笑顔で渡してきたんだよね。
触り心地抜群で中々気に入ってる。
でかいソファーに座り私を膝の上に乗せるつーくん。
やっぱり何かおかしい気がする。
だけど、触れていいのかわからない。
あの人達は分かりやすかった。何が駄目で何がいいか。
でもつーくんの許容範囲が未だに掴めない。
「蜜樹はどんな部屋がえぇ?」
つーくんは、私に見えるように携帯を持ちスッスッと操作していく。
色んな部屋を見たけど、私にはどれもピンとこなかった。
私には自分の家も部屋もなかった。
だから、どんな部屋がいいと言われてもよく分からなかった。
私にとって部屋とは犯される場所であり殴られる場所だった。
あぁ、でもつーくんと過ごしたあの畳の部屋が私の部屋だったのならあんな部屋が良い。
穏やかで、私を傷つけるモノが何もない部屋。
「どれもピンとこんか?」
「私こういうの良くわからない。
前につーくんと過ごした部屋みたいに、穏やかでつーくんの匂いがするなら何でもいい。」
つーくんを見上げながら言えば、つーくんはキョトンとした顔をして何度も瞬きを繰り返す。
……私そんなに変な事言ったかな
「っ………そか。そんならモノは蜜樹が気に入ったモン出来た時に変えよか。」
「うん」
ぎこちなく笑うつーくんは今にも泣きそうで、私はソレに触れずにつーくんの胸にもたれた。
私を抱く手が震えている事も気付かないフリをして、私は静かに彼の腕の中にいた。
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