元悪役令嬢は何でも屋になる。

葉叶

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ようこそ、Diabloへ。

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「こっち終わったよー」

ギュッと私の腰に抱きつくエル

「後はもう居ないかしら…」

辺りをキョロキョロ見渡すと

「ねぇ、あれ生きてるの?」

エルが指さす先を見ると真っ白な髪の毛の男の子が牢屋の隅っこで埋まっていた
見えている手足はとても細くて骨と皮だけだった

「貴方、帰る場所はなくて?」

近づくと微かに息が聞こえる。
だから、問うた

「……な………いっ…………」

絞り出した声はとても小さく耳を澄ませてなければ聞き逃す所だった

「エル、アレ持ってきてるかしら?」

「普通のと改良版の試作があるけど」

「普通のでいいわ
話せる様になれば今はそれでいいから」

エルはポッケから蛍光ピンクの液体が入った小瓶を出し私に渡した

私は男の子の口に瓶を当てゆっくり傾けていく
少し口から漏れていたがちゃんとコクコクと飲んでいった

これは即効性の栄養剤
緊急事態の時に使う物で仕事柄奴隷ややせ細った人間達と出逢う機会が多くその時に使う物だ
健康体の人に使うと栄養が多すぎて逆に体を壊すからね

「さて、貴方に問いましょう
貴方の望みは何かしら?」

「ぼ…くは……生きたいっ…!
し…あわせにっ…なりたい…っ!
愛されたい…っ」

涙をボロボロ流しながら告げた。

「例え誰かを殺しても
例え誰かを不幸にしても生きたい?幸せになりたい?」

「っ…な…りたいっ!!
僕だって…っ…幸せになりたいっ!!
何でっ…なに…も…して、ないのにっ…僕だけがっ…苦しまなきゃっ…いけないんだ…!」

フット現れる憎悪。
その眼を見て体がゾクゾクする

あぁ、イイモノ見つけちゃった

笑みを深める私を見てエルが溜息をついた
きっと私が何をしようとしてるのか分かったんでしょうね

「貴方、私達の所に来ない?
貴方が頑張れば皆褒めてくれるわ
貴方が私に忠誠を誓い働いている限り私は貴方を守り愛しましょう。
働きながら貴方の幸せを探すお手伝いも致しますわ」

どうかしら?
と首を傾げれば目を見開き私を見つめる

「ほ…んとに…?
僕を…愛してくれる…?
褒めて…くれるの?」

「えぇ、貴方が裏切らない限り、ね?」

どんな者も受け入れる
だけど、裏切り者には地獄を見せる。
それがDiabloだ。

「っ…誓うっ…貴方と行くっ」

「…ハル、お目当て来るよ」

あら、もう見回りの時間?

「私は、ハルエル
貴方の名前は今日から、ハクよ。
これからよろしくね、ハク。」

「…はいっ!」

ニコッと笑う笑顔がとても可愛いです…!!
可愛いは正義!

「えーと、あ、あったあった。
今からちょっと騒がしくなるし危ない事が起きるけど
これがある限りハクには危害がないわ。
さ、行きましょうか」

どうやら、ハクはゆっくりなら歩けそうだし
牢屋で戦って生き埋めになんてなりたくないからさっさと此処から出ちゃいましょう


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