19 / 30
にー。
9
しおりを挟む
「あ、由藍。俺先に帰るわ。」
ピーピー鳴る腕時計を見て慌てて服を着替える。
そろそろ帰らないと怪しまれる。
「おっけー。
あ、お姫様にいつかあわせてよー?」
「…考えとくわ。」
由藍に手を振り車に乗り込むと行きには居なかった聡が居た。
「藍、話は通しといたよ。
それと、顔に血ついてる」
「ん、サンキュ」
一応確認したけど、返り血がついていたようだ。
危ない危ない。
「あっちの言い値で払うって言ったら即了承取れたよ。誓約書も作ったし問題はない」
「やっぱりか。」
蘭の両親は、借金地獄に陥ってる。
まぁそうさせたのは俺でもあるけど、俺はこっちにも道はあるんだと教えてあげただけ。
崖を転がり落ちて行ったのはあいつらの意思だ。
ホス狂いにギャンブル依存症。
普通に働いて返せる金額など当の昔に終わっていた。
「念の為引っ越しもさせたし
接近禁止の念書もあるから出会う事はないとは思うよー」
「これで、遠慮なく蘭と暮らせる。」
あぁ、嬉しい。
本当に蘭が頼れるのは俺だけになった。
名実ともに俺のものになる日もそう遠くない。
「あ、そういえばそっちはどうだったの?」
「ん?蘭が受けた倍の苦痛味あわせて
時間になったから切り上げてきたけど
由藍が居るから…良くてお人形じゃない?」
由藍は趣味が悪いからなぁ。
人を壊すのが好きだし、人が苦しむのを見るのが好きだ。
その副作用なのかはわからないが由藍が壊した人間は、お人形の様に言いなり君になる奴が多い。
由藍の言う事は絶対。死ねと言われれば死に、殺せと言われれば殺す。
神でも崇めてんのかってぐらいの崇め方だ。
廃人かお人形。どっちが幸せなんかね?
家に着いてリビングに行くと蘭が本を読んでいた。
「あ、もう夕方か。
それじゃあ藍ちゃん。私帰るね。」
俺を見て、用意していたのか横に置いていた鞄を持って立ち上がる蘭。
帰る?どこへ?
「え?何で?」
「何でって……」
「蘭の家族にはちゃんと話をつけたよ?
荷物とかも明日届くし。
蘭は俺と一緒なの嫌?俺は蘭とずっと居たいよ?」
問題なんて何もない。なのにどうして帰ろうとするんだ?わからない。
わからない。
「嫌とか…じゃなくて…」
「ならいいじゃん。
蘭、蘭が好きな映画借りてきたんだ。
一緒に見よう?」
「う、うん…」
帰すわけない。もう離れるなんて耐えられない。
欲望は静かに大きく膨らんでいく。
「蘭、面白かったねこの映画。
続編あるみたいだし明日帰りに借りてこようか」
「う、うん。そうだね。」
ぎこちなく笑う蘭の頬にキスをして、俺は晩御飯の準備を始めた。
腑に落ちない顔でぼーっとする蘭を見て
もっと鳥籠の強化をするべきだなと思った。
最悪風切り羽を切ってしまってもいい。
俺の元に居てくれるなら。
その為なら俺は手段を選ばない。
ピーピー鳴る腕時計を見て慌てて服を着替える。
そろそろ帰らないと怪しまれる。
「おっけー。
あ、お姫様にいつかあわせてよー?」
「…考えとくわ。」
由藍に手を振り車に乗り込むと行きには居なかった聡が居た。
「藍、話は通しといたよ。
それと、顔に血ついてる」
「ん、サンキュ」
一応確認したけど、返り血がついていたようだ。
危ない危ない。
「あっちの言い値で払うって言ったら即了承取れたよ。誓約書も作ったし問題はない」
「やっぱりか。」
蘭の両親は、借金地獄に陥ってる。
まぁそうさせたのは俺でもあるけど、俺はこっちにも道はあるんだと教えてあげただけ。
崖を転がり落ちて行ったのはあいつらの意思だ。
ホス狂いにギャンブル依存症。
普通に働いて返せる金額など当の昔に終わっていた。
「念の為引っ越しもさせたし
接近禁止の念書もあるから出会う事はないとは思うよー」
「これで、遠慮なく蘭と暮らせる。」
あぁ、嬉しい。
本当に蘭が頼れるのは俺だけになった。
名実ともに俺のものになる日もそう遠くない。
「あ、そういえばそっちはどうだったの?」
「ん?蘭が受けた倍の苦痛味あわせて
時間になったから切り上げてきたけど
由藍が居るから…良くてお人形じゃない?」
由藍は趣味が悪いからなぁ。
人を壊すのが好きだし、人が苦しむのを見るのが好きだ。
その副作用なのかはわからないが由藍が壊した人間は、お人形の様に言いなり君になる奴が多い。
由藍の言う事は絶対。死ねと言われれば死に、殺せと言われれば殺す。
神でも崇めてんのかってぐらいの崇め方だ。
廃人かお人形。どっちが幸せなんかね?
家に着いてリビングに行くと蘭が本を読んでいた。
「あ、もう夕方か。
それじゃあ藍ちゃん。私帰るね。」
俺を見て、用意していたのか横に置いていた鞄を持って立ち上がる蘭。
帰る?どこへ?
「え?何で?」
「何でって……」
「蘭の家族にはちゃんと話をつけたよ?
荷物とかも明日届くし。
蘭は俺と一緒なの嫌?俺は蘭とずっと居たいよ?」
問題なんて何もない。なのにどうして帰ろうとするんだ?わからない。
わからない。
「嫌とか…じゃなくて…」
「ならいいじゃん。
蘭、蘭が好きな映画借りてきたんだ。
一緒に見よう?」
「う、うん…」
帰すわけない。もう離れるなんて耐えられない。
欲望は静かに大きく膨らんでいく。
「蘭、面白かったねこの映画。
続編あるみたいだし明日帰りに借りてこようか」
「う、うん。そうだね。」
ぎこちなく笑う蘭の頬にキスをして、俺は晩御飯の準備を始めた。
腑に落ちない顔でぼーっとする蘭を見て
もっと鳥籠の強化をするべきだなと思った。
最悪風切り羽を切ってしまってもいい。
俺の元に居てくれるなら。
その為なら俺は手段を選ばない。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
【1/23取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
【完結】この胸が痛むのは
Mimi
恋愛
「アグネス嬢なら」
彼がそう言ったので。
私は縁組をお受けすることにしました。
そのひとは、亡くなった姉の恋人だった方でした。
亡き姉クラリスと婚約間近だった第三王子アシュフォード殿下。
殿下と出会ったのは私が先でしたのに。
幼い私をきっかけに、顔を合わせた姉に殿下は恋をしたのです……
姉が亡くなって7年。
政略婚を拒否したい王弟アシュフォードが
『彼女なら結婚してもいい』と、指名したのが最愛のひとクラリスの妹アグネスだった。
亡くなった恋人と同い年になり、彼女の面影をまとうアグネスに、アシュフォードは……
*****
サイドストーリー
『この胸に抱えたものは』全13話も公開しています。
こちらの結末ネタバレを含んだ内容です。
読了後にお立ち寄りいただけましたら、幸いです
* 他サイトで公開しています。
どうぞよろしくお願い致します。
麗しのラシェール
真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」
わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。
ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる?
これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。
…………………………………………………………………………………………
短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる