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異変は突然に
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目を覚ますと、見覚えのない天井だった。
一瞬焦ったが、頭や手に感じるひんやりとした感触に、ホッと一息つく。
「目覚めたか?」
「……俺どれくらい寝てた?」
「まぁ、数時間ってとこだな。」
アレは夢だったんだ。多分最近疲れてたせいだと思う。ほら、体は疲れなくても精神はガンガン削られたから、うん絶対そのせい。
そう思い込もうとした俺の視界にチラチラと紅髪が入ってくる。
そのせいで夢じゃないのだと思いこむ事ができなかった。
「…………取り敢えず、クーリングオフが出来ないなら詳しい説明を求む」
起き上がってラー君を抱き締めながら言えば、ひょっこりヴィルヘルムが顔を出した。
「詳しいといわれても、僕は無を司る者としかいえない。
精霊でも神でもない。ただそこにある。それが僕。」
「……無は何?それは属性なの?」
確かに無属性というものはあるし、属性神というものや属性を司る精霊だっている。だが、無属性は聞いたことがない
「属性……なのかな?んー、人間にわかりやすく言うとなんだろう。僕はね、全てのものが最後に行き着く所の王様…?なのかな?」
首を傾げてクッキーを食べるヴィルヘルム。
「それじゃあ、質問変えよう。貴方は何ができる?」
「何が、か。家事とか……あぁ、有を無にする事もできるかな」
その言葉にヴィルヘルムの方を見れば、よく見ててと俺に言ってヴィルヘルムは1枚のクッキーを手のひらにおいた。
そして、ヴィルヘルムが息を吹きかけるとクッキーは無くなった。
飛んでいったとか、では無くて息がかかった所から文字通り無くなっていった。
「これでこのクッキーの存在はなかった事になった。
今回はクッキーだったから分かりづらいかもしれないけど、人で今のを試せばその人がいた事実が無くなる。有った物を無に返す。それが僕にできる事かな?あぁ、色々と制限はあるけど戻す事もできるよ。ほら、こんな風にね」
ヴィルヘルムが手をサッと翳せば、さっき消えたのと同じクッキーがそこに有った。
「…………チートにチートが重ねられていく」
「あぁ、この姿が嫌なら変えられるから、主様の好きな姿になってあげられるよ。」
「………例えば、狼とか?」
その言葉を言い切る前に、パチンっという音と共にヴィルヘルムの姿が変わった。ふさふさの紅色の狼が俺の方へ歩いてきたかと思ったら、俺の膝の上に顔を乗せた。
「これが好きなの?主様」
「いや、ただかっこいいもふもふが見たかっただけ。」
これなら案外いけるかもしれないと、少しだけ未来に希望が持ててきた。イー君達と戯れるヴィルヘルムを横目に見て、ジンを見れば何か悟りを開いたかの様な顔をしていた。
「この件はここだけの話にしておこう。兄貴には言うが……他に話したら厄介な火種になるからな。」
「それは有り難い。それで?ジンはやったのか?普通の陣ぐらいならすぐに描けるぞ」
「それなら頼むわ」
その言葉に頷き、スラスラと普通の魔法陣を宙に描き、さっきと同じ様に地面から数ミリ浮いた所へと設置した。
ジンが陣の中に入り、指を切り呪文を唱えれば、淡く魔法陣が輝く。
最近作った醤油煎餅を食べながら見ていると、カッコよさそうな黒色の馬が出てきた。少しの会話の後、馬と共にこちらへ歩いて来た。
「上手くいった?」
「おう。コイツはセイン。種族は魔馬だ。」
「魔馬か……お前の力にしては、予想外な所だな」
魔馬はそこまでランクが高くない魔物だ。
人語を話すことは出来ず、契約者のみ意思疎通が可能になる。普通の馬より強く、魔法は使えるが個体差が大きい魔物として知られている。
「俺が契約しているのが、焔龍だからな。
どうやら焔龍のバイスの気配に耐性があるのがセインだけだったらしい。」
「あぁ、なるほどな。」
焔龍は、かなり…かーなーりっ!高ランクな生き物だ。
生きてる内に出会えたらラッキーぐらいな確率で出現する為、文献も余り残っていないが、出てくる度に大事になっていたらしい。
そんな焔龍を使い魔召喚で召喚した上に、マブダチみたいになったジンは色んな意味で注目され、王座に担ぎ上げられそうになって大変だったといつだかの飲み会で言っていた。
「よし、召喚も終わったし、必要はないかもしれんが念の為勉強しようぜ。」
「あぁ、そうだな」
ベットから下り、ソファーへと座った。
ーー…
それから4日間、ユーリンは勉強漬けの日々を過ごした。
俺とジンは探られても困らない様に、過去設定を考えたりと、中々に忙しい日々を過ごしていた。
「主人~!スーが起きたー!って!」
「お、やっと馴染んだか。ありがとうイー君。あ、ジンはどうする?来るなら連れてくけど」
「今回の事話さなきゃならんからな、俺も行く」
念の為ジンの影武者を置いて、家に戻ると自分の手を光に向けてひらひらとさせているソフィアさんの姿があった。
「体の調子は、どうかな?違和感とか、動かないとかある?」
「あ、だ、大丈夫ですわ。何処もおかしな所は………っ!?」
「今回は内密の対談だから畏まる必要はないよ。」
「わ、わかりましたわ。」
ジンを見て、慌ててベットから下りようとしたソフィアさんを制し、俺達は近くに椅子を持ってきて座った。
4日間会えなかったから、甘えん坊のスー君を腕の中で甘やかしながら、視線をソフィアさんの方へ移す。
「今回の件なんだけどね、やっぱり思ってたより大事だったみたいなんだよね。だからジンも内密に手を貸してくれることになった。」
「大事………ですか?」
「今回の件は不可侵な学園内で起きた事だが、基本的に学園内だろうと罪を犯せば管轄は学園からコチラへ移る。
シンから聞いた話だと、貴方は罪を犯したから殺されたと聞いたが、コチラにはそんな情報は上がってきてない。
それにくわえ、ミスティラク家当主は貴方は病で死んだと報告をしてきた。」
話を引き継いだジンの話をソフィアさんは静かに聞いていた。
「だが、それはおかしい。そんな報告を平気であげることも、学園内で私刑をする事もおかしい。それはわかるかい?」
「は、い…。ですが、貴族が死んだら王家に連絡するのが普通です。父の報告はそんなにもおかしかったのでしょうか?」
「ソフィア嬢は知らないかもしれないが、後継者は病で死にはしないのだ。そしてその事を当主となった者は必ず知る事になる。これを聞けばソフィア嬢ならおかしい事がおわかりなのでは?」
「……そういう事でしたら、父の報告は、おかしいですわ。」
元々馬鹿だったのなら話は簡単だが、調べた限りだとそうでもなかったみたいなのだ。ソフィアさんの感じ的にも違和感があるみたいだし、となると、増々俺の予測に現実味が帯びてきた。
「もう知っているとは思うが、今回の件、中心に居る人物の爵位も重要性も高い。
もしもなにか起きた時対処が出来る人間が居たほうが楽だろうと、私が出てきた訳だ。」
「そう、なのですね。それで、私はどうしていたらいいのでしょうか。何か、なにか私にできる事はありませんか?」
ソフィアさんの言葉に、ジンがチラリと俺を見た。
「今回、俺とジン、そしてユーリンが学園へ潜入する事にした。
惹き付けられたらラッキーだし、そうじゃなくとも少しでも欠片が掴めたらいいと思ってる。それで、ソフィアさんにはやって欲しい事があるんだ。余り、やりたくないとは思うんだけど、」
「やって欲しい事ですか?」
首を傾げるソフィアさんを見て、どう言うのが一番いいのかと考えてみたけど、全く思いつかない。
「悪女に、なってほしいんだよね。」
「悪女、ですか?」
「悪女というか、なんていうんだろう。大きな派閥を作って欲しいんだ。
簡単に調べたら、今あの学園にはある女の派閥しかない。
俺はそこにぶつける派閥が欲しいんだけど、生憎信用できる人間は男ばかりでね。女に変える事はできても派閥を作るどころか弾き出されてしまいそうなんだ」
色々とジン達と話し合った結果、これが一番いいだろうという事になった。ユーリンやジンを女化する事も考えなかった訳ではないが、女の世界に入れる程女の考えを分かる奴は残念な事に俺含め誰も居なかったのだ。
その点ソフィアさんは公爵家の令嬢であり、元は派閥を築いていた人間である。男がやるより成功率は高い。
「……ですが、私は死んだ人間です。もう私には人脈も力も、何一つ残っていませんわ」
「そこは大丈夫。ジンの隠し子って事で入学出来る様になっているし、ジンと王様の人脈をフルに使って、信頼できる者には話が通ってる。だから築く土台は作ってあるんだ。」
「……それならば、出来るかもしれませんが具体的にシン様はどうなさりたいのでしょうか。昔の私はガイ様の為の人脈作りや、公爵家として恥じない様な派閥を作っておりました。
シン様のお考え次第で、私もどう動くのか、誰と付き合うのかが変わりますわ。」
先程より姿勢を正し、真っ直ぐにこちらを見るソフィアさん。
「俺はあの女の力を削ぎ落としたいんだ。
俺達が信者を少しずつどうにかしていくから、ソフィアさんは派閥を大きくしていってほしい。最終的には派閥同士の闘いになると思うけど、その闘いを少しでも長引かせて、そちらに目がいくようにしたい。そしたら俺達が動きやすくなる」
「………わかりましたわ。それが私に出来る事ならば、完璧にやり遂げてみせます。その上でお願いしたいのですが、私の死後に変わった事や産まれた人間。後私の出生の書類など、全ての資料を下さいませんか。2日で、全て覚えますわ。」
「ん、そっちは任せて。ジンがやってくれるから。
よし、それじゃああとの話の詰めはジンに任せたから。」
ジンとハイタッチをして、スー君達を連れて自室へ戻った。
「後は、不足の事態に備えてポーション達生産しとくか」
「スー達手伝う!」
一瞬焦ったが、頭や手に感じるひんやりとした感触に、ホッと一息つく。
「目覚めたか?」
「……俺どれくらい寝てた?」
「まぁ、数時間ってとこだな。」
アレは夢だったんだ。多分最近疲れてたせいだと思う。ほら、体は疲れなくても精神はガンガン削られたから、うん絶対そのせい。
そう思い込もうとした俺の視界にチラチラと紅髪が入ってくる。
そのせいで夢じゃないのだと思いこむ事ができなかった。
「…………取り敢えず、クーリングオフが出来ないなら詳しい説明を求む」
起き上がってラー君を抱き締めながら言えば、ひょっこりヴィルヘルムが顔を出した。
「詳しいといわれても、僕は無を司る者としかいえない。
精霊でも神でもない。ただそこにある。それが僕。」
「……無は何?それは属性なの?」
確かに無属性というものはあるし、属性神というものや属性を司る精霊だっている。だが、無属性は聞いたことがない
「属性……なのかな?んー、人間にわかりやすく言うとなんだろう。僕はね、全てのものが最後に行き着く所の王様…?なのかな?」
首を傾げてクッキーを食べるヴィルヘルム。
「それじゃあ、質問変えよう。貴方は何ができる?」
「何が、か。家事とか……あぁ、有を無にする事もできるかな」
その言葉にヴィルヘルムの方を見れば、よく見ててと俺に言ってヴィルヘルムは1枚のクッキーを手のひらにおいた。
そして、ヴィルヘルムが息を吹きかけるとクッキーは無くなった。
飛んでいったとか、では無くて息がかかった所から文字通り無くなっていった。
「これでこのクッキーの存在はなかった事になった。
今回はクッキーだったから分かりづらいかもしれないけど、人で今のを試せばその人がいた事実が無くなる。有った物を無に返す。それが僕にできる事かな?あぁ、色々と制限はあるけど戻す事もできるよ。ほら、こんな風にね」
ヴィルヘルムが手をサッと翳せば、さっき消えたのと同じクッキーがそこに有った。
「…………チートにチートが重ねられていく」
「あぁ、この姿が嫌なら変えられるから、主様の好きな姿になってあげられるよ。」
「………例えば、狼とか?」
その言葉を言い切る前に、パチンっという音と共にヴィルヘルムの姿が変わった。ふさふさの紅色の狼が俺の方へ歩いてきたかと思ったら、俺の膝の上に顔を乗せた。
「これが好きなの?主様」
「いや、ただかっこいいもふもふが見たかっただけ。」
これなら案外いけるかもしれないと、少しだけ未来に希望が持ててきた。イー君達と戯れるヴィルヘルムを横目に見て、ジンを見れば何か悟りを開いたかの様な顔をしていた。
「この件はここだけの話にしておこう。兄貴には言うが……他に話したら厄介な火種になるからな。」
「それは有り難い。それで?ジンはやったのか?普通の陣ぐらいならすぐに描けるぞ」
「それなら頼むわ」
その言葉に頷き、スラスラと普通の魔法陣を宙に描き、さっきと同じ様に地面から数ミリ浮いた所へと設置した。
ジンが陣の中に入り、指を切り呪文を唱えれば、淡く魔法陣が輝く。
最近作った醤油煎餅を食べながら見ていると、カッコよさそうな黒色の馬が出てきた。少しの会話の後、馬と共にこちらへ歩いて来た。
「上手くいった?」
「おう。コイツはセイン。種族は魔馬だ。」
「魔馬か……お前の力にしては、予想外な所だな」
魔馬はそこまでランクが高くない魔物だ。
人語を話すことは出来ず、契約者のみ意思疎通が可能になる。普通の馬より強く、魔法は使えるが個体差が大きい魔物として知られている。
「俺が契約しているのが、焔龍だからな。
どうやら焔龍のバイスの気配に耐性があるのがセインだけだったらしい。」
「あぁ、なるほどな。」
焔龍は、かなり…かーなーりっ!高ランクな生き物だ。
生きてる内に出会えたらラッキーぐらいな確率で出現する為、文献も余り残っていないが、出てくる度に大事になっていたらしい。
そんな焔龍を使い魔召喚で召喚した上に、マブダチみたいになったジンは色んな意味で注目され、王座に担ぎ上げられそうになって大変だったといつだかの飲み会で言っていた。
「よし、召喚も終わったし、必要はないかもしれんが念の為勉強しようぜ。」
「あぁ、そうだな」
ベットから下り、ソファーへと座った。
ーー…
それから4日間、ユーリンは勉強漬けの日々を過ごした。
俺とジンは探られても困らない様に、過去設定を考えたりと、中々に忙しい日々を過ごしていた。
「主人~!スーが起きたー!って!」
「お、やっと馴染んだか。ありがとうイー君。あ、ジンはどうする?来るなら連れてくけど」
「今回の事話さなきゃならんからな、俺も行く」
念の為ジンの影武者を置いて、家に戻ると自分の手を光に向けてひらひらとさせているソフィアさんの姿があった。
「体の調子は、どうかな?違和感とか、動かないとかある?」
「あ、だ、大丈夫ですわ。何処もおかしな所は………っ!?」
「今回は内密の対談だから畏まる必要はないよ。」
「わ、わかりましたわ。」
ジンを見て、慌ててベットから下りようとしたソフィアさんを制し、俺達は近くに椅子を持ってきて座った。
4日間会えなかったから、甘えん坊のスー君を腕の中で甘やかしながら、視線をソフィアさんの方へ移す。
「今回の件なんだけどね、やっぱり思ってたより大事だったみたいなんだよね。だからジンも内密に手を貸してくれることになった。」
「大事………ですか?」
「今回の件は不可侵な学園内で起きた事だが、基本的に学園内だろうと罪を犯せば管轄は学園からコチラへ移る。
シンから聞いた話だと、貴方は罪を犯したから殺されたと聞いたが、コチラにはそんな情報は上がってきてない。
それにくわえ、ミスティラク家当主は貴方は病で死んだと報告をしてきた。」
話を引き継いだジンの話をソフィアさんは静かに聞いていた。
「だが、それはおかしい。そんな報告を平気であげることも、学園内で私刑をする事もおかしい。それはわかるかい?」
「は、い…。ですが、貴族が死んだら王家に連絡するのが普通です。父の報告はそんなにもおかしかったのでしょうか?」
「ソフィア嬢は知らないかもしれないが、後継者は病で死にはしないのだ。そしてその事を当主となった者は必ず知る事になる。これを聞けばソフィア嬢ならおかしい事がおわかりなのでは?」
「……そういう事でしたら、父の報告は、おかしいですわ。」
元々馬鹿だったのなら話は簡単だが、調べた限りだとそうでもなかったみたいなのだ。ソフィアさんの感じ的にも違和感があるみたいだし、となると、増々俺の予測に現実味が帯びてきた。
「もう知っているとは思うが、今回の件、中心に居る人物の爵位も重要性も高い。
もしもなにか起きた時対処が出来る人間が居たほうが楽だろうと、私が出てきた訳だ。」
「そう、なのですね。それで、私はどうしていたらいいのでしょうか。何か、なにか私にできる事はありませんか?」
ソフィアさんの言葉に、ジンがチラリと俺を見た。
「今回、俺とジン、そしてユーリンが学園へ潜入する事にした。
惹き付けられたらラッキーだし、そうじゃなくとも少しでも欠片が掴めたらいいと思ってる。それで、ソフィアさんにはやって欲しい事があるんだ。余り、やりたくないとは思うんだけど、」
「やって欲しい事ですか?」
首を傾げるソフィアさんを見て、どう言うのが一番いいのかと考えてみたけど、全く思いつかない。
「悪女に、なってほしいんだよね。」
「悪女、ですか?」
「悪女というか、なんていうんだろう。大きな派閥を作って欲しいんだ。
簡単に調べたら、今あの学園にはある女の派閥しかない。
俺はそこにぶつける派閥が欲しいんだけど、生憎信用できる人間は男ばかりでね。女に変える事はできても派閥を作るどころか弾き出されてしまいそうなんだ」
色々とジン達と話し合った結果、これが一番いいだろうという事になった。ユーリンやジンを女化する事も考えなかった訳ではないが、女の世界に入れる程女の考えを分かる奴は残念な事に俺含め誰も居なかったのだ。
その点ソフィアさんは公爵家の令嬢であり、元は派閥を築いていた人間である。男がやるより成功率は高い。
「……ですが、私は死んだ人間です。もう私には人脈も力も、何一つ残っていませんわ」
「そこは大丈夫。ジンの隠し子って事で入学出来る様になっているし、ジンと王様の人脈をフルに使って、信頼できる者には話が通ってる。だから築く土台は作ってあるんだ。」
「……それならば、出来るかもしれませんが具体的にシン様はどうなさりたいのでしょうか。昔の私はガイ様の為の人脈作りや、公爵家として恥じない様な派閥を作っておりました。
シン様のお考え次第で、私もどう動くのか、誰と付き合うのかが変わりますわ。」
先程より姿勢を正し、真っ直ぐにこちらを見るソフィアさん。
「俺はあの女の力を削ぎ落としたいんだ。
俺達が信者を少しずつどうにかしていくから、ソフィアさんは派閥を大きくしていってほしい。最終的には派閥同士の闘いになると思うけど、その闘いを少しでも長引かせて、そちらに目がいくようにしたい。そしたら俺達が動きやすくなる」
「………わかりましたわ。それが私に出来る事ならば、完璧にやり遂げてみせます。その上でお願いしたいのですが、私の死後に変わった事や産まれた人間。後私の出生の書類など、全ての資料を下さいませんか。2日で、全て覚えますわ。」
「ん、そっちは任せて。ジンがやってくれるから。
よし、それじゃああとの話の詰めはジンに任せたから。」
ジンとハイタッチをして、スー君達を連れて自室へ戻った。
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