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俺、遂にランク試験受けるってよ

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「おっちゃーん!何か面白い依頼あるー?」

 手当り次第受けていたせいか、最近持ってる物ばかりでマンネリである。いや、本当にね、図鑑全然埋まってかないんだよね。
そんなことを思いながら俺は扉を開けて固まった。

「お、丁度いいところに来たな………って逃げるな逃げるな」

 扉を開けた先にいつもの光景が広がってると疑わなかった俺は、いつもの様に無防備に扉をあけて後悔した。
 何故ならおっちゃんの側に知らんイケメンが居たからだ。
知らない人の存在に思わず後退りする。

「彼がアノ?」
「あぁ、だが人間嫌いなんで説明は俺がする。アンタはそこから動くなよ。」

 おっちゃんがカウンターから出てきて入り口の近くに居る俺の所まで歩いてくる。
 いやね?だって、時間帯変えてからこのギルドで人と会ったの初めてなんだよ!俺変化に弱いから!本当に!!昨日まであった物が無くなるとかそういうの無理なんで!増えるのも同じで!!

「おっちゃん、あの人誰。てか、帰っていい?いいよね?本当に無理。何であの人俺ガン見してるの?え?怖い、無理無理」
「取り敢えず話だけ聞いてくれるか?少々面倒な事になっててな」
「おっちゃんの頼みなら聞いてあげたいし話聞くのはいいけど、あの人どうにかして!!このままガン見され続けるなら俺帰る!!無理!本当に吐く、胃に穴が開く、ストレスマックスで死にます」

 無理無理と首を振るとおっちゃんがイケメンと何やら話していた。少しでも気分を和らげたくて、帽子からスー君達を取り出してぎゅうっと抱きしめる。

「これで大丈夫か?」
「うん。それで、話って何?」

 スー君達をムニムニしながら聞くとおっちゃんがハァとため息をつく。余程お疲れの様子だ

「前に採取依頼は人気がねぇって言ったの覚えてるか?」
「うん。おっちゃんの弟の所もゴッソリ残ってたし。」

 まぁ、そっちも全部やっちゃって出てくるの待ちしてるんだけどさ

「どこのギルドでも採取依頼は人気がない。
なんでかって言うと割に合わんからだ。
遠い所まで採りにいってもランクは上がらねぇ、金は少ねぇで皆受けたがらん。ランクが下がれば下がる程、その傾向は強い。
だから俺達も出来るだけ依頼が受けられる様に工夫したり、ずっと貼られたままのは俺がお前に頼んだ様に声をかけたりするんだ」

 まぁ、そりゃあそうだろうなぁ。そうしなきゃボードが採取クエで埋まるもんなぁ

「だが、最近俺の所も弟のパクの所も採取依頼が全く無いだろ?どうやらその話が他のギルドに回っちまったらしくてな。遂に俺の所もやって欲しいと昨日押しかけてきたんだよ。大勢」

 え、昨日行かなくてよかった。大勢とか無理無理。
本当は行こうかなぁなんて思ってたんだよ?俺。
思ってたけど、ゲームしてたら時間過ぎちゃって来れなかったんだよね。

「そういう顔になるだろうと思ってたわ。
受けてくれるハンターは人嫌いで人が多い所には顔を出せんと追っ払ったんだが、一部の奴はそれでも頼むと縋ってきてな……それで、こっからが本題なんだが」
「はぁ。」
「お前も最近同じのばっかだーって唸ってたろ?
お前は新しい採取依頼が受けたいけど、人混みは無理。それなら俺が他のギルドの採取依頼を受け取ってお前がやりたいって言ったのだけ、受けて貰えればお互いにとっていいんじゃねぇかって思ったんだ。まぁ、あくまでもお前次第だ。無理強いはさねぇ。」

 ふむ、条件としては中々良いのではないか?
俺新しいの欲しい、だけど人混み無理。それが解決するなら別に良くね?おっちゃんも助かるんだし

「別にいいよ。おっちゃん経由なら。」
「そんで、あと一個あるんだわ」
「ん?何?」

 スー君達って本当によく伸びる。
たまにちぎれない不安になる。
それでも伸ばしてしまう魅惑のほっぺ。けしからん、実にけしからん

「お前のランクをSにして欲しいってのも殺到してな……。そうすれば行ける場所も増えるだろ?」
「………それって試験あるんじゃなかったっけ」
「あるなぁ。」
「しかも、それ王都にあるギルドの本店みたいな所でやらなきゃいけないって言ってなかったっけ?」
「そうだなぁ。」

 おっちゃんは俺の答えがわかってるのか少し遠い目で頷く。

「…………お断りします。そんな所に行ったら俺死んじゃう。無理だよ、無理無理。断固拒否の姿勢を俺は貫く!!」

 手でばってんを作って首を何度も振った。俺にとってそんなの自殺行為だ!

「そう言うと思って、俺もそう言ったんだ。王都のギルドの奴等に。そしたら此方から審査官を一名送るからそれでどうだと言ってきてな、お前の返事を聞かん事には何も言えんって言ったんだが………すまねぇな」

 つまりあのイケメンは審査官という事か。
なんだ、審査官になるには顔も良くなくてはいけないなんて規則があるのか。前の世ならアイドルレベルだぞ

「……おっちゃんは悪くないよ全部傲慢な奴等が悪い。
何か試験受けないとおっちゃんもっと窶れちゃいそうだし、受けるのはいいけど…試験って何するの?」
「試験は、実技試験だ。Sランクからは依頼のランクが上がる。
討伐依頼が多くなるし、それをこなす為にはそれ相応の力が必要になる。
審査官と戦い審査官が合格といえる戦いをしたら試験に合格だ」
「ん?倒しちゃ駄目ってこと?」
「審査官は、最高ランクSSSランクだ。
そう簡単に倒せる訳…………お前まさか倒せるのか…?」

 小声で俺に聞くおっちゃん。
 勿論倒せるから頷くと、おっちゃんは深いため息をついた。

「てかね、俺が殺らなくてもスー君達で倒せるよ?
この前ジャイアント猪の群れ5分位で食べてたし」

 採取してたらドドドドドって凄い足音が後ろからして振り返ったら、ジャイアント猪の群れが俺めがけて走ってきてて本当に驚いた。
 どうしようかな、別に轢かれても死なないんだけどいい気分ではないんだよなぁ、なんてのほほんと思ってたらスー君達がジャイアント猪達を包み込んで溶かしてたんだよね。
しかもね?偉い所がさ、ご主人が使いそうな所は残したよ?なんて言うんだよ?可愛くない?その後めちゃくちゃ褒めたよね、うん

「まぁ、お前の好きな様に戦えばいい。
俺はアイツに承諾が取れた事を伝えてくる」
「はーい!スー君達戦う?あ、でも食べるのは駄目だよ?服を溶かすならいいけど。」
「スーとラー戦う!コイツラ戦う、まだ危ない!
スーとラー強い!大丈夫!」
「ん、それじゃあ頑張ってね。」

 抱き締めていたスー君達を机の上に置くと、スー君とラー君が分離する。

「シン、準備はいいか?」
「いつでもいいよー」
「それじゃあ、着いてこい」

 おっちゃんの後ろを着いて歩くと、何か地下みたいなところに来た

「ルールは、相手が降参を認めるか、俺が戦闘不能と判断したら終わりだ。シン、遠慮はいらねぇ。好きなようにやりな。」
「はーい!」
「試合、開始!」
「スー君、ラー君。行ってきな」

 相手は様子を窺っていた。
だけどね、皆スライムだと油断すんのよね。
まぁ、最弱って言われてるからかもだけどさ、うちの子結構強いから、うん。野良の子とは食べてる物が違うからね!

 まぁ、野良の子も本当に倒そうと思ったら結構面倒なんだけどね。スライムは核を壊さない限り死なないし、その核も体のどこかにあるビー玉サイズだし。
それに加えて体の中を無尽蔵に動いている核を一発で壊さなきゃいけないんだから、達人でもない限り無理だよねぇ。
しかも、強くなればなる程その核は小さく早く動く。
 うちの子は、俺がゲームしてる間に何やらいつもやってる。本人達曰く特訓…との事だったけど、実際はよく分からん。俺にはプルンプルンハネてるようにしか見えなかったけど、可愛いから俺は生暖かく見守っている。

「あ、やば。おっちゃん、止めないと死んじゃうけど………大丈夫?」

 ガボガボと藻掻きながらスー君達の中で魔法を撃っているけど吸収されるだけだからね。
魔力吸い尽くされて死ぬのが先か、溺死するのが先か……どっちだろ?

「試合止め!勝者シン!」
「スー君、ラー君帰っておいでー。バッチイからぺってするんだよー」

 声をかけると本当にぺっと吐きすてて、ポヨンポヨン跳ねながら戻ってきた

「スー達勝った!」
「うん、勝ったね。よく頑張った」

抱き上げて頬擦りすると嬉しそうにフルフル震えた。

「あー、こりゃあ起きそうにないな。シン、わりぃが詳しい事は明日でも大丈夫か?」
「うん、大丈夫ー。それじゃあまた明日ー。」

 家に帰り、頑張った二人には特別に多めに魔力をあげた。
俺の魔力は美味しいらしくて、嬉しそうに飛び跳ねていた。

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