上 下
3 / 30
どうやら俺は異世界に来たらしい

3

しおりを挟む
 あれから俺は着々とランクを上げて、今ではAランクである。
まぁ、未だにEランクとかのクエスト受けてるけど。
 いや、だってさ?だってだよ?上に行けば行く程採取クエないんだよ!!!解せぬ……もっと良さそうなの出てくんのかと思ったのに!!

「おっちゃん、何かいい採取クエは無いもんですかね」

 そして、おっちゃんと打ち解けた。
おっちゃんは俺が話しかけてほしくない時は本当に必要な事だけしか話しかけて来ないし、中々いい話し相手である。

「まぁ、此処は辺境の村のギルドだからな。
街に行けば多分もっとあるだろうな。
それか、アレだ。お前が試験受けりゃあ受けられる依頼も増えるぞ」
「いや、それは遠慮します」

 だってさー、そんなの絶対目立つじゃーん、無理無理。
この辺境のギルドでもたまに人多くて吐きそうなるのに。
 俺が行く時間帯大抵おっちゃんだけだからね。本当に此処最高!コミュ症引きニートにオススメギルドだぜ!

「そういえば、お前人多いの無理だったな」
「無理。この村の道歩くだけで既に気持ち悪い。街なんて言ったらゲロロード出来るよ。」
「お前が言う事はたまによく分からん。
まぁ、それなら此処から山を3つ越えた所にギルドがあるんだがな
そこでお前が好きそうな採取依頼が来たそうだ。」
「俺が好きそうな?」
「報酬もうまくないし、結構危険な場所にあるんでボードに埋まっとるらしい。
この前飲んだ時にボヤいとってな、お前ん所はどうなんだと言われたから
今は採取依頼が一個もないって言ってやったわ!!」

 ガハハハと笑うおっちゃん。いや、待て、それ全部やってんの俺な?

「まぁ、お前が暇なら行ってやってくれ
そこも此処と人の動きは変わらんからお前でも大丈夫だろ」
「ふーん。因みに依頼ってどんなのかーとか分かる?」
「確か、帰らずの森にある雛景色の採取だった筈だ。Aランクの依頼だった筈だからお前でも受けられるぞ。どうせ此処はそろそろ採取依頼が無くなる頃合いだ。いい機会じゃねぇか?」
「ふむふむ、ちょっと行ってくるー!あ…あっちでもギルド登録しなきゃいけない?」
「あ?お前知らねぇのか?ギルドカードは、何処でも共通だから1回登録しちまえばそれで終わりだぞ?」
「なるほど!それじゃあ今度こそ行ってくるー」

 おっちゃんに手を振って俺はまず……………家に帰った。
いや、ほら、ね?準備とかあるし?うんうん。
おっちゃんと話して満足したとかじゃないから、うん

「すー君ただいまー!そういえば、お前らに色つけられるかもだぞー」

 ウリウリとスライムに頬ずりをしてムニムニする。
なんかさ、何か食わしたら色変わりそうで怖いからずっと魔力だけ上げてたんだけど、コイツラの艶と触り心地がどんどん良くなるんだが??
これは俺の魔力のせいなのかな?まぁ、最近枕と抱き枕として大活躍してるからいいんだけど。

「ご主人!オカエリ!どこ行く?」
「帰らずの森ー。名前からして危ないよなぁ
あ、その前にギルドか。えーと山3つ越えた所にあるギルドはっと……」

 あぁ、ここか。うん、此処なら行けるかも。
写真のさびれた感じがおっちゃんの所と似てる。
場所は分かったし……

「お前達!行くから小さく纏まって」

 そう、このスライム君達纏まる事が出来るんです!
しかも大きさ自在。なんて便利なことか。
 手乗りサイズになったスライム君を帽子の中に入れて俺は転移した。

「フッフッフ……今回の俺に抜かりはない」

 前回は村の方に出たから、俺は吐き気と戦う羽目になった。
今回はちゃんと事前に近くの路地を探しておいたからな
 ギルドの中に入ると見覚えのあるおっちゃんが居た。
あれ?おっちゃん?なんでここに居るんだ?え?俺入るギルド間違えてないよな?え?名前合ってる。ん??

 俺の知るおっちゃんそっくりのおっさんが居て、戸惑いながらもボードに行くと討伐クエストの下に沢山の採取クエストが残っていた。
 お、どれもまだ未収穫のだ。ラッキー。
取り敢えず帰らずの森とその周辺のクエストをゴソっと持っておっさんの所へ行った。

「ねぇ、おっさん、探し人の童子に居る受付のおっちゃんと双子?それともそっくりさん?」

 おっさんがクエストを処理してる間に、気になり過ぎて聞いてしまった。

「ん?あぁ、お前さんダグの事知ってるのか
ダグは俺の双子の兄ちゃんだ。ほい、これリストな」
「おぉー、だから飲んでた時に聞いたって事か、ふむふむ」

 ん?というか、俺おっちゃんの名前初めて知ったわ。ダグっていうのか

「ん?お前もしかしてダグが言うとったシンか?」
「ん?多分?え?わからない。」
「採取依頼ばっか受ける変わり者って聞いとったけど、ほんまに採取依頼しか受けへんのやな」
「え、だって今は採取優先だから。ついでに受けられるのなら受けるけど………んー、肉とか腐らせるし………必要かと言われると……んー…」

 魔法使えばいいじゃんと思うかもしれないが、そこまでする?って思っちゃうんだよなぁ

「ダグの言っとった通り変わり者やな。普通は報酬が多い討伐に皆行くんに。まぁ、俺としては採取依頼が消化されるんは嬉しいけ、えぇんやけどな。」
「変わり者……なのかね?分からんけど
取り敢えず採ったら持ってくるー、おっさんバイバーイ」

 えー…帰らずの森か。

 転移するといかにもおどろおどろしい森が目の前にあった。
これアレだわ、ラスボス手前に来る様な感じだわ。急に敵のレベル強くなる奴じゃん

「まぁ、行くかー」

 行かなきゃ何も分からん!スライム君たちを元のサイズに戻して森の中へと入った
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

コミュ障王子は引きこもりたい!

花京院陽菜
ファンタジー
前世の記憶を思い出した陽翔。でも、すでに現世の自分は誘拐されていて、生きて残れないと言われる森に捨て置かれていた!?でも、このキャラは前世の妹がやっていた乙女ゲームで、悪役ヒーローでチートなキャラであった事に気が付く。 チート能力を使って、この森で引きこもります!決して、悪役にはならないから!

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。 異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。 そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。 異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。 龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。 現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります

古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。 一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。 一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。 どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。 ※他サイト様でも掲載しております。

王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」 公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。 血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。

処理中です...