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第12話 お吸い物パスタとお嬢と私
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アルバイトを終え、いつも通り自宅玄関の扉を開く。
「おかえりなさい、しおりさん!」
「どうした?…あ、ただいま」
同居人のまい子が出迎えてくれたが、彼女だけはいつもと様子が違っていた。
普段は落ち着いた印象の彼女の顔に、ニカーッとした不自然な笑顔が貼り付けられている。
聞くと、学校で先生から「レディはいつでも笑顔でいること」と教わったという。その言葉が愛想をあちこちに振りまくタイプではない彼女には刺さったのだろう。
レディになるための努力は構わないが、不自然な笑みをこのまま向け続けられるのはこちらとしても居心地が良くない。もとの彼女に戻ってもらわなければ。なんとか彼女を傷つけない方法はないか考えながら笑顔のまい子を背に夕ご飯作りを開始する。
○材料(2人分)
・パスタ(200g)
・お吸い物のもと(2袋)
・バター(お好み。今回は10g)
・麺つゆ(お好み。今回は大さじ2)
○作り方
パスタを表示の時間通りに茹でる。
茹で上がったら軽く湯を切り、ボウルに移す。
麺が温かいうちに、お吸い物のもと、バター、麺つゆを合わせてよく混ぜる。
器に盛って完成!
夕ご飯の支度をしながら小学生の頃を思い出す。自分自身も「いつも笑顔で」みたいなスローガンを真に受け、いつ何時でも笑顔を心がけた時期がある。
しかし、ある日廊下で鉢合わせた若い女教師に「なにニヤニヤしてんの!」と突然怒鳴られたのをキッカケにぱたりと辞めたしまった。この時の光景は未だに覚えている。というか、根に持っている。
まい子も自分と同じようなことをしているとは可愛いじゃないか。笑顔を貼り付けたまま支度の手伝いをする彼女に声をかける。
「お嬢よ、笑顔は大事。とっても大事だと思うよ。でもさ、訳もなく無理やり口角を上げてるだけじゃ折角の可愛い顔がもったいないと思うよ」
先程思い出していた自分の話をしたあと、適当なスローガンに2人で文句を言いあったりした。
「まあ、つまりはさ笑いたくなったら笑えばいいのよ!さ、食べよ!」
「あまりにも乱雑な終わらせ方…。いただきます」
まい子はパスタをくるりと巻いてひとくち食べると、いつもの可愛らしい笑顔を見せてくれた。
笑ってばかりいられない時だってある。だからこそ心から湧き出る笑顔こそ尊いのかな。
そんなことを思いながら昔の自分も慰めるのだった。
「おかえりなさい、しおりさん!」
「どうした?…あ、ただいま」
同居人のまい子が出迎えてくれたが、彼女だけはいつもと様子が違っていた。
普段は落ち着いた印象の彼女の顔に、ニカーッとした不自然な笑顔が貼り付けられている。
聞くと、学校で先生から「レディはいつでも笑顔でいること」と教わったという。その言葉が愛想をあちこちに振りまくタイプではない彼女には刺さったのだろう。
レディになるための努力は構わないが、不自然な笑みをこのまま向け続けられるのはこちらとしても居心地が良くない。もとの彼女に戻ってもらわなければ。なんとか彼女を傷つけない方法はないか考えながら笑顔のまい子を背に夕ご飯作りを開始する。
○材料(2人分)
・パスタ(200g)
・お吸い物のもと(2袋)
・バター(お好み。今回は10g)
・麺つゆ(お好み。今回は大さじ2)
○作り方
パスタを表示の時間通りに茹でる。
茹で上がったら軽く湯を切り、ボウルに移す。
麺が温かいうちに、お吸い物のもと、バター、麺つゆを合わせてよく混ぜる。
器に盛って完成!
夕ご飯の支度をしながら小学生の頃を思い出す。自分自身も「いつも笑顔で」みたいなスローガンを真に受け、いつ何時でも笑顔を心がけた時期がある。
しかし、ある日廊下で鉢合わせた若い女教師に「なにニヤニヤしてんの!」と突然怒鳴られたのをキッカケにぱたりと辞めたしまった。この時の光景は未だに覚えている。というか、根に持っている。
まい子も自分と同じようなことをしているとは可愛いじゃないか。笑顔を貼り付けたまま支度の手伝いをする彼女に声をかける。
「お嬢よ、笑顔は大事。とっても大事だと思うよ。でもさ、訳もなく無理やり口角を上げてるだけじゃ折角の可愛い顔がもったいないと思うよ」
先程思い出していた自分の話をしたあと、適当なスローガンに2人で文句を言いあったりした。
「まあ、つまりはさ笑いたくなったら笑えばいいのよ!さ、食べよ!」
「あまりにも乱雑な終わらせ方…。いただきます」
まい子はパスタをくるりと巻いてひとくち食べると、いつもの可愛らしい笑顔を見せてくれた。
笑ってばかりいられない時だってある。だからこそ心から湧き出る笑顔こそ尊いのかな。
そんなことを思いながら昔の自分も慰めるのだった。
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